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【9/18公開】『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』手に汗握る脱獄計画!“カギ”は木工細工にあり?

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1979年反アパルトヘイト運動で逮捕され、12年の刑を宣告された白人青年たちが、あまりにも意外な方法で脱獄にチャレンジした実話を映画化。主演はご存知、子役時代をハリーポッターとして過ごしたダニエル・ラドクリフ。本作が長編初監督となるフランシス・アナンは、脚本も担当。観客をグッと捉えて離さない、手に汗握るシチュエーションが見事なスリラー・サスペンス。

2020年9月18日(金)シネマート新宿ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国順次公開

実話を映画化!“良心の囚人”驚きの脱獄計画

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原作を執筆したティム・ジェンキンは、ダニエル・ラドクリフが演じている主人公その人。このストーリーはティムの実体験だ。

ティムは1948年南アフリカに生まれ、兵役を避けるために英国に渡り、劣悪な環境での低賃金労働を経験。それをきっかけに、社会システムというものに関心をもった。やがてケープタウン大学で出会ったスティーブン・リーの影響で、初めてアパルトヘイトに疑問を抱き、反アパルトヘイト運動に開眼。このスティーブンは、本作でダニエル・ウィバーが演じているティムの相棒、スティーブンその人である。

本作は、ティムとスティーブンが、反アパルトヘイト運動の最中に騒ぎを起こし、逮捕されるところから始まって、すぐに舞台は2人が収監された刑務所へと移る。ティムとスティーブンは、その政治的信念ゆえに与えられた12年という刑期が不当なものだと考えている。だからのっけから「脱獄する気マンマン」なのだ。

脆く繊細な“木の鍵”……折れる! バレる? と終始ハラハラ

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入所してすぐ「脱獄しようとすれば、すぐに銃殺されてしまうから刑期を全うしたほうがいい」と先輩囚人から勧められる2人。しかし、だからと言って諦めるわけにはいかない。そこで考え抜いてたどり着いたのが「コッソリ鍵を作って10の扉を開け、堂々と出て行く」という作戦だ。しかし刑務所の中で、鍵の材料にできるものは限られている。そこで目をつけたのが“木材”だ。

自分でも半信半疑ながら「どう考えてもこれしかない」と、木という素材に真剣に向き合い、最初の鍵を仕上げていくダニエル・ラドクリフ演じるティム。その姿は、まるで木工職人のようだ。

しかし、本来鍵は金属でできているもの。いかんせん木は脆い。粘り強く、試行錯誤を繰り返すしかない。しかも、脱獄のために最終的には10種類もの鍵を開けなければならない。この気の長い作業を見守っていると、なんとなく自分の手にも、その木の感触や脆さが伝わる気がしてくる。

バレたら全ての努力も計画も無に帰する……! 隠れて鍵を作るのも、看守の目をかいくぐってテストするのも命がけ。ティムとスティーブンのチャレンジは、観ていて「折れる〜!」「バレる?」とジリジリ、手に汗かきっぱなしになる。


執念、そして根性…… スポーツもののごとく盛り上がれる!

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本作は、ポリティカルサスペンスである割に、邪魔者になる要素が比較的少ない。もちろん看守や刑務所側の人々はすべて最大で最悪の障害だが、それ以外、タチの悪い性格や、チクる囚人仲間などは登場しない。

主人公たちは脆い木で精巧な鍵作りを試みながら、バレたら終わり、というヒヤヒヤする状況で、ひたすら目的達成に突き進む。このシンプルなシチュエーションによって、主人公たちの汗や努力に集中できるのが、思った以上に心地よく楽しい。その迷いのなさは、スポーツに邁進するかのような爽やかさだ。

はじめは、冷やかすように見守っていた刑務仲間たちも、ティムが初めて木の鍵で扉を開けることに成功すると、ワッと盛り上がる。

もちろん、1つの壁を乗り越えれば、次、その次と難易度は増していく。スポ根ものやサクセスストーリーを観る感覚で楽しめる作品だ。

また、ちょっと特殊なところではあるが、木工・彫刻が好きな人「木の扱いの難しさ」が体感として残っている人は、特別なシンパシーを感じるだろう。

『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』のおすすめポイント

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  • 70年代、反アパルトヘイトに奮闘した白人が体験した実話
  • 木材の脆さが生む、緊張感いっぱいのシチュエーション
  • 主人公の「目的達成」を見守る仲間との一体感
  • 黒人社会の自由と平等を勝ち取ろうとする強い信念

『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』作品情報

【あらすじ】
1978年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ。ティム・ジェンキン(ダニエルラドクリフ)とスティーブン・リー(ダニエル・ウェバー)は、は白人ながら“アフリカ民族会議”に参加し、反アパルトヘイト運動に参加している。ある日、爆破装置を使用したチラシ撒きをしている最中に、逮捕されてしまう。ティムは12年、スティーブンは8年の刑が宣告され、共に白人の政治犯が集まるプレトリア刑務所へ収監される。仲間に「刑期を全うする気は無い」と宣言し、脱獄を決意した2人は、やがてアイディアをしぼり、10もの扉の鍵を、木片で1つずつ作るという驚くべき計画を立てて……。

監督・脚本:フランシス・アナン
脚本: L.H.アダムス、カロル・グリフィス

出演:ダニエル・ラドクリフ、イアン・ハート、ダニエル・ウェバー、ネイサン・ペイジ、スティーブン・ハンター ほか

原題:Escape from Pretoria
原作:ティム・ジェンキン「脱獄」(同時代社刊)

配給:アット エンタテインメント
<2020年/<英・オーストラリア/英語/106分/カラー/シネスコ>


2020年9月18日(金)シネマート新宿ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国順次公開

<公式サイト>

www.at-e.co.jp

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