東京・ミニシアター生活

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【12/8公開】『マチルダ 禁断の恋』マチルダ役のミハリナ・オルシャンスカ、来日インタビュー

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映画『マチルダ 禁断の恋』は史実に基づく物語。舞台は、19世紀の滅びゆく帝政ロシア。火遊びのつもりで恋をした次期皇帝は、男たちを狂わせる美しいバレリーナ・マチルダと強く惹かれ合い、周囲を巻き込みながら「帝位継承か、戴冠を辞退か」2つの選択の間で揺れる。

この作品のマチルダを演じた、ポーランドの女優ミハリナ・オルシャンスカが来日。映画そのままの美しさではあるものの、人柄はあまりにフレンドリーだった! 本作の裏話やマチルダを演じた経験などのお話を、時間いっぱい聞かせていただいた。とにかく驚きの連続。ぜひ最後までお読みください!

シンデレラストーリーとしても観られる『マチルダ 禁断の恋』

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 ー日本には初めていらしたんでしょうか?

「はい。初めてです。昨日来たばかりで、街を散歩して東京の雰囲気を味わったんですけど、もっと観たいので、明後日フリーの日にいろんなところに行ってみたいです」

 ー早速、作品についてもうかがいます。本作は歴史もの、恋愛もの、バレエものなど、いろんなジャンルの要素があります。演じたミハリナさんは、女優としてこれはどれに属すると感じましたか?

「そうですね。私はジャンルとしてあまり考えたことがありませんでした。でも、演じながら『シンデレラ』みたいなおとぎ話のように感じていました。この作品は実話がベースですが、ビジュアルも映画の言語的にも、非常に美しくてユニーク。だから、歴史的なことを忘れ、ロマンスとして。お姫様とか王子様とか……そんな風に感じながら演じていました」

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 ーそれは意外です! 史実と聞いていたので、ついそういう目から入ってしまいました。でも、確かにおとぎ話のように楽しむこともできる作品ですね。
では、マチルダ役についてうかがいます。最初は小悪魔的だったマチルダが、ストーリーが進むにつれ、だんだんと恋愛にのめり込み、一途な女性に変化したように見えました。演じる上で、そういう心理の変化は感じていましたか?

「そこがまさに、みなさんに観て欲しいところです。現代の女性だったらわかると思いますが、女性なら綺麗だと思われたいし、まわりの人に崇拝されたいし、他の人から好かれたい。でも、”その人”に出会ってしまったら、そういうものを忘れてしまう、夢中になってしまう。それが、恋愛の美しさだと思うんです。そしてマチルダの、そんな現代女性的なところを見せたかったんです」

 ー今回の作品で、バレエのポージングや、ロシア語での演技など、新たな挑戦があったと思うんですが、ミハリナさんが一番苦労した点は?

「よく言っているのは『若かったので、丸々1年間、外国で撮影のために過ごすのがつらかった』ということなんですが。演技に限って言うとロシア語を習得するのも大変でしたし、バレエも難しかったです。少しは踊れるようにならなければ、ということと、監督に『バレリーナのように優美な動きをして欲しい』と言われて。元々私がそういうタイプの人間ではなかったので、難しかったですね」f:id:kappa7haruhi:20181207195241j:plain

 ーそうなんですか? とてもバレリーナ的な雰囲気をまとわれていました。

「特にマチルダ役をやる前が『ゆれる人魚』という作品で、人魚役を演じたので……動物的というか、ものすごく独特な動きをしていたので。そこから、バレリーナのまっすぐで、厳格で、優美な動きに急に変えるというのは、とても難しかったんです」

素顔はシャイ?! 演技の道を選んだミハリナ

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 ーミハリナさんは語学が堪能という印象もあります。チェコの映画ではチェコ語で演じられていましたよね。その時も1から覚えたのですか?

「そうですね、チェコ語の時もゼロの状態から習いました。でもセリフを覚えた、ということであって、話ができるというほどじゃないんです。私はずっと音楽をやっていたので、セリフを音楽のように扱いました。音をフレーズとしてキャッチする。だから特に語学が堪能ということではないんですよ」

 ーそうなんですね! もうペラペラなのかと思っていました。

「フランス語やドイツ語の映画にもそれぞれの言語で出たことがあるんですが、ポーランド語をしゃべる私にとって、ロシア語やチェコ語より難しかったです。でも、外国語の映画に出演してきたので、聞いて理解することはできます。私はシャイであまり喋らないんですが、外国語でまわりがしゃべっていると、わからないふりをしながら、実は何を話しているかはわかっていたりするんですよ!」

 ー面白いですね。ところでミハリナさん、シャイなのですか? 大胆な役どころが多いせいか、全くそんな印象がありませんが。

「俳優にはよくあると思うんですが、シャイであればあるほど大胆な役を演じるんじゃないでしょうか。ジキルとハイドのように。よくコメディ俳優やコメディアンの人って、実生活はおとなしそうだったり、鬱々としていたりするでしょう? 多分バランスをとっているんじゃないでしょうか。私の場合、女優のマスクをつけるとフリーになって言われたことが何でもできてしまう、という感じがします」

  ー先ほど「セリフを音楽として捉えている」というお話をうかがったんですが、もともとミハリナさんは音楽を勉強されていたんですよね? 現在も音楽活動もされているのですか?

「私はクラシックの音楽をやっていたので、演技か音楽か、どちらかを選ばなければなりませんでした。クラシックの音楽は、自分の生活を100%そちらに捧げなくてはならないんです。それで、私は演技の道を選びました。今でもヴァイオリンを弾くことはありますが、自分のために弾くだけです。でもそれはそれでいいこともあるんです。もう誰にも評価されなくていい。私は自分の音楽だけをやればいいんですから」

ポーランド女優から見たロシア人俳優は特別な存在

f:id:kappa7haruhi:20181207215454j:plain ー今回、この作品にマチルダ役で出演して得た最大ものは何ですか

「ポーランド人にとって、ロシアの俳優はイギリスの俳優同様、世界でもトップクラスの上手な人が揃っていると考えられています。そういう意味でも、彼らから学ぶということが大切でした。この作品では、1シーンを撮るのに3日から6日かけるんです。それはポーランドでは不可能です。ポーランドなら、1日で3シーンくらいを撮る感覚です。
このプロジェクトは1年かかりました。だからすごく集中力を要して、自分を律するということも学びました。撮影の経験、そのすべてが”演技教育”の一部だった、あるいは延長だったと考えています」

 ーそんなロシアの人々、今回の共演者の中で特に印象的だった方は?

「みなさん本当に素晴らしくて。例えばラース・アイディンガーは、演技が上手いだけでなく、人としても素晴らしい。ダニーラ・コズロフスキーもすごくカリスマがありました。一人ひとり言っていったらきりがないくらい。
素晴らしい俳優・女優さんばかりで、みなさんを尊敬しています。私は当時すごく若かったので、まだ自分は生徒みたいな気持ちで”習っている”という感じがしました。全員年上で、経験も豊富な方ばかりだったので、生徒としてたくさん学べて、すごく良かったです。とってもマジカルな時間だったので、今でも懐かしく思い出します」

人生を芸術作品に仕上げたマチルダ

f:id:kappa7haruhi:20181122011131j:plain ーそれでは最後に、これから作品を観る方へメッセージをお願いいたします。

「まずとても官能的で、視覚的に息を飲む素晴らしい映画だと思います。これだけでも観る価値があると思いますが、歴史が好きな方は、歴史ドラマ・伝記的なものとしても観られますし、歴史に興味のない方も、おとぎ話としてもすごく楽しめます。いろんな方が観て、それぞれに楽しめると思います」

「個人的には、私、心理的な葛藤を抱える役が多かったりして”美しくない役”が多いんですけど、この映画ではまるでお姫様で。本当に美しい世界で、美しいコスチュームを着て、美しさの中に浸れる役だったんです。ビジュアル的にも美しいし、関わってる人たちみんなの心が本当に美しいのが、この映画を観ても感じられると思います。ポジティブであたたかい映画になっていると思います」

 ーもう1つうかがわせてください。ミハリナさんは、マチルダの一生は幸せだったと思いますか?

「マチルダが一番大きな情事”LOVE AFFAIR”を持ったのは、自分の人生と、なんです。彼女は本当に生命力に満ちていて、欲しいものは、必ずつかんでいくというところがありました。『どんな状況もポジティブなもの、美しいものに変えていこう』という決心をして、努力していった人。彼女は自分の人生を、ある種、自分の芸術作品として作り上げていったのだと思います。そういう意味ですごく尊敬しています」

『マチルダ 禁断の恋』は12月8日から公開!

いかがでしたか? 最後には日本語で「アリガト〜」と言ってくれたミハリナ。素顔はシャイで、演技は大胆。美しさはスクリーンそのままでした。
彼女を成長させた『マチルダ 禁断の恋』は観応えたっぷりの、誰もが色んな楽しみ方をできる豊かな作品。ぜひ劇場でお楽しみください!

★『マチルダ 禁断の恋』作品紹介記事はこちら

12月8日(土)
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー!

ミハリナ・オルシャンスカ(Michalina Olszańska)インタビュー
作品画像:©2017 ROCK FILMS LLC.
撮影(インタビュー)、取材、編集:市川はるひ

 

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