東京・ミニシアター生活

主に都内のミニシアターで上映される新作映画の紹介をしています。

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【12/22公開】『家(うち)へ帰ろう』88歳のユダヤ人男性が70年ぶりの友に会いに行く! 粋なほろ苦ロードムービー

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老人ホーム行きを家族に突きつけられた88歳のユダヤ人、元仕立て屋のアブラハムが、人生でやり残したこと。それは若き日に過ごした国・ポーランドにいた恩人に、自分の仕立てたスーツをプレゼントすることだった。しかし時はすでに70年経っている……。

ホロコーストを扱った作品は、今まで数多く生まれ「語り尽くされたホロコースト」などと言われてもきた。
しかし近年では、本作や『ブルーム・オブ・イエスタディ』(2017年日本公開 クリス・クラウス監督作品)など、今現在、目の前にある「ホロコーストの影響」を織り込んだ映画も登場している。これらの作品は、全体の印象がコメディ寄りであるところに意欲を感じる。
本作も、まさに笑いながら心にグッとささるヒューマンドラマなのだ。

2018年12月22日(土)よりシネスイッチ銀座にて全国順次ロードショー

ユダヤ人あるある満載の、笑いとほろ苦感

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一般に「ユダヤ人は子沢山」といわれている。また、家族の繋がりを大事にするから、家族総出でのイベントも多いとも。本作では、そんな風景が、主人公・アブラハムの日常として冒頭で描かれている。
ユダヤ人ならではの、ウィットに富んだ会話は世代を超えて交わされ、お金への執着もジョークのように登場し、笑いを誘う。「ユダヤ人あるある」といったところだ。

本作の脚本も書いているパブロ・ソラルス監督は、自身がユダヤ人の血を受け継ぐゆえに、自分の周りに「ユダヤ人あるある」が溢れているそうだ。それを作品のそこここに巧みに織り込み、笑わせたり、ほろ苦さをじんわりと感じさせてくれる。


本作のモデルとなる人物・エピソードは実在する

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パブロ・ソラルス監督の祖父は、ポーランドに住んでいたユダヤ人であり、実際に迫害を受け、国を追われた人だった。だから、その祖父の家では「ポーランド」という国名自体を口にすることがタブーだったという。

本作は、そんな監督の体験をもとに発想を得ている。さらに「何十年会っていない友人を捜しに行く」というこの作品の重要な設定にも、モデルとなる話がある。それは監督が偶然カフェで耳にした話だったそうだ。
この作品の展開が、荒唐無稽ではなくリアルに感じられるのは、こうした確かな裏付けがあるためなのかもしれない。

ちなみに、アブラハムの娘の腕に、ホロコースト時代のようなタトゥーがさりげなく見えるシーンが登場し「世代が違うのになぜ?」と気になる方も多いだろうだろう。
現在、戦後世代の若いユダヤ人が「ホロコーストを忘れない」という意味で、あえてタトゥーを入れこともあるそうなのだ。

細かなところまで作り込まれている本作は、注意深く見ていると、気になってくるポイントがいろいろと現れるだろう。

次々現れる女性がアブラハムの心と道を開く

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家出同然に、1人旅立つアブラハム。しかし、ポーランドの友を訪ねる旅は、決して気安いものではない。蘇る恐ろしいトラウマもある……どうしたって、ドイツを通りたくない。それに、高齢者の1人旅を襲う危険なことも起こる。

そんなアブラハムの旅で、窮地を救う人物が何人も登場する。それがみな女性なのだ。女性であることに特に深い意味はないそうなのだが、いろんなタイプのかっこいい・素敵な女性が次々と登場し、観る者をときめかせてくれる。
そしてアブラハムが少しずつ変わっていくことによって、監督が女性への深い敬意抱いていることを感じとれる素敵な作品なのだ。

作品ニュース

アブラハムの旅をジオラマで再現

上映館のシネスイッチ銀座では、現在アブラハムの辿った旅をジオラマで展示。作品を観る前と観た後で、違った印象が生まれるかも。

 

 
特典付き前売り券発売中

オリジナルポストカードの特典付き前売り券発売中。これは、作品を観た後、きっと愛しくなるシーン。数量限定なので、ぜひお急ぎを。

 

オススメしたい『家へ帰ろう』

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  • ホロコーストが残した現代の問題を浮き彫りに
  • タイプの違う「かっこいい女性」が登場
  • 素晴らしい音楽
  • 実話がモデルでリアル
  • 愛を込めてユダヤ人を描く

これは過去のホロコーストを再現するのではなく、今現在リアルに存在する「ホロコーストが残した問題」を浮き彫りにする作品。これらの問題を観客が知り、ともに考えることができる。

また、この作品は、ロマっぽさを感じる楽器使いで、音楽が非常に魅力的だ。アブラハムの幼い頃の記憶が、音楽に彩られていることで、思い出の美しさをより感じられるようにもなっている。本作が細部まで愛で満たされているのは、音楽が担うところもあるだろう。

『家へ帰ろう』作品情報

【あらすじ】
アルゼンチンに住む88歳の元仕立屋アブラハムは、施設入りを逃れるため家出をし、痛む足を引きずりながらポーランドへ向かう。旅の目的は70年前に体験したホロコーストで、命の恩人となった親友に、自分が仕立てたスーツを渡すこと。
慣れぬ旅に四苦八苦するアブラハムだったが、旅の途中で出会う人たちの心が、彼の頑なさをほぐしていく。そして、たどり着いた場所で、アブラハムは70年も関係を放置してしまった親友と再会できるのか。人生最後の旅に“奇跡”は訪れてくれるのだろうか……。

youtu.be

監督・脚本:パブロ・ソラルス
音楽:フェデリコ・フシド (『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』『瞳の奥の秘密』)
撮影:フアン・カルロス・ゴメス
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ (『タンゴ(1998)』)、アンヘラ・モリーナ(『ライブ・フレッシュ』『シチリア!シチリア!』)、オルガ・ボラズ、ユリア・ベアホルト、マルティン・ピロヤンスキー、ナタリア・ベルベケ 
原題:EL ULTIMO TRAJE 英題:The Last Suit
配給:彩プロ 協力:朝日新聞
後援:アルゼンチン共和国大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京

<2017年/スペイン・アルゼンチン/スペイン語/カラー/スコープサイズ/5.1ch/93分>
2018年12月22日(土)よりシネスイッチ銀座にて全国順次ロードショー
© 2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A

uchi-kaero.ayapro.ne.jp

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