東京・ミニシアター生活

主に都内のミニシアターで上映される新作映画の紹介をしています。

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【6/1公開】『メモリーズ・オブ・サマー』少年が子どもでいられた最後の夏…痛みに満ちた思春期の記憶

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ポーランドの片田舎に住む12歳の少年が、ひと夏で体験した出来事を描く。父親不在の家庭で母と強い絆を育んできた少年が、孤独を知り、大人へと成長していく苦い記憶。ポーランドの新鋭、アダム・グジンスキ監督が自らの体験に重ね、脚本も担当。その夏、少年は最愛の母の愛情を見失い、初恋にゆらぎ、身近な死とすれ違う…。

2019年6月1日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

たった一夏で消えてしまった最愛の母との絆

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仕事で父親は不在、だからこそ息子と絆を深め、日々を楽しんできた魅惑的な母親のヴィシア。だがその魅力を持て余してか、やがてヴィシアには、外に夫以外の男性の影がちらつくようになる。

息子である自分との絆を手放し、情緒不安的になっていく母。そんな母をかばうことは、父への裏切りにもなるというジレンマを味わう、少年ピョトレック。

子どもを卒業するための儀式としては、いささかヘビーな体験だ。物語はアダム・グジンスキ監督の体験がのベースになっているというが、この母親や父親との関係も、監督自身の体験なのだろうか。

大人への不信、生と死、初恋…次々崩壊する少年の世界

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健全な12歳ともなれば、そもそも興味は家庭に収まらなくなっていくものだ。折しもピョトレックの意識は、歪み始めた母との関係から外界へと向けられるが、そこは田舎町。外をみつめても、大自然と、近しい友人たちとの人間関係があるのみだ。

 その年のピョトレック少年の夏は、母との関係の崩壊だけでは終わらない。都会からやってきた少女に淡い恋心を抱き、近しい関係になってときめくが、それはやがて苦い思いに転化してしまう。さらに同世代の少年や、仲間となった年上の友人と、さまざまなすれ違いを味わうことになる。

子どもではいられなくなるのに、十分すぎるひと夏の記憶。もう子どもではない私たちも、少年ピョトレックの目を通してそれを追体験することができる。そして傷を負った若い心がどうやって再生していったのか。 そんな記憶をも、観客の胸に蘇らせてくれる作品といえるだろう。

映画大国ポーランドの新たな才能

f:id:kappa7haruhi:20190531204518j:plainポーランドは、今までも名匠といえる監督を輩出してきた。『地下水道』(1957年)『灰とダイヤモンド』(1958年)のアンジェイ・ワイダ監督や『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)、『戦場のピアニスト』(2002年)などのロマン・ポランスキー監督、そして『ふたりのベロニカ』(1991)三部作『トリコロール』(1993〜1994年)クシシュトフ・キェシロフスキ監督など。

さらに近年では『ゆれる人魚』(2015年)のアグニェシュカ・スモチンスカ監督、日本での公開も近い『COLD WAR あの歌、2つの心』のパベウ・パブリコフスキ監督など、新たな才能も解き放たれた。まさにポーランドは映画大国だ。

本作『メモリーズ・オブ・サマー』が、長編2作目だというアダム・グジンスキ監督。普遍的なテーマをみずみずしい感性とで撮り上げたこの作品を知ることで、多くの人が、今後期待する新たな才能だと認めることだろう。

作品ニュース 

初の演技体験で受賞

主人公の少年・ピョトレック役のマックス・ヤスチシェンプスキは、ポーランドの映画祭「ネティア・オフカメラ2017」でライジングスター賞を見事受賞。揺れ動く思春期を表現する繊細さと、強い目の表情など、その魅力にあふれているのが本作の魅力だ。

 

オススメしたい『『メモリーズ・オブ・サマー』』

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  • 思春期の卒業を追体験するノスタルジー
  • レトロ感漂う’70年代末のファッション&音楽
  • 美しい母、多感な少年を演じるキャスト
  • ポーランド田舎町の魅力あふれる風景

情感豊かな少年と美しい母親が紡ぎ出し、やがて崩壊してゆく関係が、夏の終わりを告げるような、痛みを伴う物語。風景が美しい分、切なさも募る。

ちなみの本作は、ポーランドでは2016年公開なので、約3年のタイムラグがある。夏とともに少年時代の終わりを体験したピョトレック少年役のマックス・ヤスチシェンプスキも、今やハイティーンになっている年頃だ。この1人の俳優の微妙な世代を切り取ったという意味でも、貴重な作品といえるだろう。

『メモリーズ・オブ・サマー』作品情報

【あらすじ】
1970年代末、ポーランドの田舎町。父が外国に働きに出ている家庭で、12歳の少年ピョトレック(マックス・ヤスチシェンプスキ)は、友だちのように仲がいい母親・ヴィシア(ウルシュラ・グラボフスカ)と、深い絆を育んでいた。2人は家でチェスやダンスをしたり、石切場の池で泳いだり、その夏も楽しく過ごしていた。しかし、ヴィシアはある日を境にはおしゃれをして夜な夜な出かけるようになり、その様子にピョトレックは不安を感じるようになる。やがてピョトレックは、都会からバカンスにやってきた少女・マイカに恋心を抱くようになるのだが…。

監督・脚本:アダム・グジンスキ
出演:マックス・ヤスチシェンプスキ、ウルシュラ・グラボフスカ、ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ ほか

原題:Wspomnienie lata
撮影:アダム・シコラ 音楽:ミハウ・ヤツァシェク 録音:ミハウ・コステルキェビッチ
配給:マグネタイズ 配給協力:コピアポア・フィルム
<2016年/ポーランド/83分/カラー/DCP>
2019年6月1日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
© 2016 Opus Film, Telewizja Polska S.A., Instytucja Filmowa SILESIA FILM, EC1 Łódź -Miasto Kultury w Łodzi

memories-of-summer-movie.jp

 

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(本ページの情報は2019年6月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

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