「夫婦とは、親子とは、家族とは何か」を問いかける、少年の成長物語。母にキャリー・マリガン、父にジェイク・ギレンホールをキャスティングし、俳優として高い評価を得ているポール・ダノ(『それでも夜は明ける』『ラブ&マーシー 終わらないメロディ』『スイス・アーミー・マン』)が初監督をつとめた。
父と母がそれぞれの立場でプレッシャーと戦い、時には愚かしい行動に走りながらも必死に生き抜こうとする姿を、14歳である息子の目を通して描くヒューマンドラマ。
2019年7月5日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
父は家を離れ、母は精神不安定に…少年にのしかかる過酷な運命
プライドをもって生きることは大切だ。子どもに背中を見せる親であればなおのこと。しかし、時として理想やプライドは、何より自分自身を追い詰めてしまうこともある。
14歳の少年ジョーの両親、父ジェリーにも母ジャネットにも、確固たるプライドがあった。息子の教育にも熱心、将来のこともしっかり考える理想的な両親…だったはず。しかし、ちょっとしたきっかけで狂いはじめた父と母の歯車は、どんどん噛み合わなくなっていく。
時は1960年代。古き良き父親のジェリーの失業は、一家にとって大打撃となる。プライドが仇になり、再就職を拒否したジェリーは「意義があることは何か?、自分がすべきことは?」などという”やり甲斐”に走って、残す家族も顧みずに、命がけのボランティアに出かけてしまう。
夫の再就職を無理強いしなかったのは、妻ジャネットのプライドだったのかもしれない。さらに夫が不在になっても、息子のジョーと共に健気に家計を支えようとする。しかし、不安と孤独の中でジャネットの限界はあっという間にやってくる。
そして、ジョーは14歳にして、精神崩壊していく母を目の当たりにする。何より、母のあけすけな性的言動は14歳の少年に大きな衝動を与えることに…。
30代になった演技派俳優ポール・ダノが撮った初監督作品
数々の名演を観せて来た俳優ポール・ダノ。20代のとき『リトル・ミス・サンシャイン』で注目を集めた彼も30代になった。そして今回、初めて監督業に挑戦。脚本は、パートナーで女優の、ゾーイ・カザン(『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』)との共同だ。
原作はリチャード・フォードの同名小説。もともと”家族について”の映画を撮ってみたいと考えていたポール・ダノは、この小説に出会い「家族とは何か?」という問いに思いを巡らせるうちに、本作のラストシーンが思い浮かんだという。
映画化権を得る際に「自由に自分の作品を作って欲しい」という原作者の言葉にも、勇気を得てメガホンを取った。ポール・ダノの鋭い感性は演技だけでなく監督・脚本業にも見事に発揮され、本作は初監督とは思えぬ、観ごたえある作品となった。
少年ジョーの目を借りたポール・ダノの眼差し
本作で最も大きく揺れるのは、母ジャネットだろう。凛とした母親だったのに、不安と恐れ、そして生きようという強い思いから、性まで武器にしようとする。キャリー・マリガンの表情というか目の輝き、その変化・振り幅が凄まじい。
父ジェリーには、目覚ましい活躍を見せるジェイク・ギレンホール。本作と『ゴールデン・リバー』は、両作ともジェイク・ギレンホールが出演しており、同じ7月5日(金)に日本公開を迎える。数多くの作品に出演しても、各作品にインパクトを残しながら、自然かつ雑味なく、渾身の演技を観せる。
そして、キャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールという実力派の2人と並んでも霞まない少年の俳優、エド・オクセンボールドも見事だ。本作の主人公は少年ジョーであり、最初から最後まで、14歳の少年の眼差しを通して、両親や大人たちが描かれる。
長回しも多く、ジョーのアップの表情で終わるシーンも多い。最終的にポール・ダノは、ジョー役に思いを集中しているのだろう。そういえば、なんとなくジョー役のエド・オクセンボールドは、監督のポール・ダノに似てはいないだろうか?
作品ニュース
著名人からもコメント
本作へのコメントが続々到着している
岸井ゆきのさんから
— 映画『ワイルドライフ』 (@wildlife_movie) July 2, 2019
コメント頂きました!
映画『ワイルドライフ』
7月5日(金)ロードショー#岸井ゆきの #愛がなんだ#ポール・ダノ #ゾーイ・カザン#キャリー・マリガン #ジェイク・ギレンホール#ワイルドライフ pic.twitter.com/y3ELxUQeOj
上映館でパネル展開
スタンディ、と呼ばれる等身大パネルが、新宿武蔵野館に設置されている。
『ワイルドライフ』
— 映画『ワイルドライフ』 (@wildlife_movie) June 26, 2019
新宿武蔵野館のロビーにて特製スタンディを展開中!
7月5日(金)ロードショー#ポール・ダノ 初監督作品#キャリー・マリガン #ジェイク・ギレンホール pic.twitter.com/9utsdaMXtk
オススメしたい『ワイルドライフ』
- 説得力ある、家庭が崩壊していくプロセス
- 家庭と家族の過酷な変化を乗り越えようとする少年の成長物語
- 母ジャネットを演じるキャリー・マリガンの大胆かつ繊細な演技
- ポール・ダノ初にして渾身の監督作
ジョーは生活のために始めた写真館のアルバイトで救われ、力を得ることに…後半、そのことが重要で象徴的なシーンへとつながっていく。
『ワイルドライフ』作品情報
【あらすじ】
1960年、カナダ国境付近モンタナ州の田舎町に移住してきた14歳の少年ジョーとその両親。生活が軌道に乗りはじめたころ、父ジェリーが突然、ゴルフ場での仕事を解雇されてしまう。さらに、山火事消火のボランティア同然の出稼ぎのために、ジョーや妻ジャネットをおいて、ジェリーは家を離れる。
家計のためジャネットはスイミングスクールで働き、ジョーまでも写真館でアルバイトを始めるが、生活は安定するわけもない。やがてジョーは、母が不安と孤独で不安定になり、生きるためにもがく姿を目の当たりにして…。
監督・共同脚本・製作:ポール・ダノ
出演:キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール、エド・オクセンボールド、ビル・キャンプ ほか
音楽:デヴィッド・ラング(『グランドフィナーレ』)
共同脚本・製作:ゾーイ・カザン
原題:WILDLIFE
配給:キノフィルムズ
<2018年/アメリカ/105分/カラー/アメリカンビスタ/5.1chデジタル/PG-12>
字幕翻訳:牧野琴子
2019年7月5日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
©2018 WILDLIFE 2016,LLC.
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(本ページの情報は2019年7月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)