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【9/24公開】『殺人鬼から逃げる夜』 機転を武器に「聞こえない目撃者」がその夜を生き抜こうとするサスペンススリラー

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街で続く連続殺人事件。サイコな犯人が次なるターゲットにしたのは「聞こえない」目撃者だった……次々と状況が変わりながらも、聴覚障がい者のヒロインが、夜の街をどこまでも走って逃げ続ける。キャストには、韓国トップ俳優が集結。

弱者の立場に甘んじることなく追い詰められても諦めず、他者すらも守ろうとするヒロインに引き込まれる。サスペンススリラーでありながら、聴覚障がい者が感じているであろうディスコミュニケーションのもどかしさも同時に描いている傑作スリラーだ。

2021年9月24日(金)TOHOシネマズシャンテ他 全国順次公開

聞こえなくても明るく積極的なヒロイン

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主人公は、お客様相談センターで手話部門を担当している聴覚障がいのあるギョンミ。職場の様子から、明るく前向きな性格が伝わってくる。健常の同僚がハラスメントで困っていれば助け舟を出し、同じ聴覚障がいがある母を大切にしている。自立しているだけでなく、他人を思いやる優しさと強さがある女性である。

しかしそれゆえに、彼女は事件に巻き込まれ、また誰かを庇うことで窮地を脱する機会を逃してしまう。機転を利かし、しつこいサイコ殺人犯から逃れようと諦めずに走り続ける、魅力溢れるヒロインだ。

ギョンミを演じるのは、チン・ギジュ(『リトル・フォレスト 春夏秋冬』)。韓国最大の財閥企業・サムスングループのエリート社員を辞めて報道記者となった後、モデルを経て俳優業へ転身を果たしたという異色の経歴でも人気を呼んでいる女優だ。

連続殺人鬼に追われ続ける、一夜の出来事

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連続殺人事件の犯人であるサイコパスのドシクは、堂々と警察にその顔を晒しながらも、賢く立ち回って快楽殺人を続けている。ある夜、そんなドシクの毒牙にかかった被害者から偶然助けを求められたことから、ギョンミはドシクに目をつけられ、次のターゲットにされてしまう。

大胆でずる賢く、体力もあるドシクに狙われ、ギョンミの抱える聴覚障がいは不利に働く。そんなギョンミをゲームを楽しむように追い、襲いかかるドシク。警察官も街ゆく人も、口頭で会話ができないギョンミとはコミュニケーションを取りきれず、誰も助けてはくれない。そんな絶望的な状況がもどかしい。それでも、ギョンミは機転を利かせ、体力の限界を超えながらギリギリの逃走を続ける。

果たして、ギョンミや母は無事逃げきれるのか。ドシクの悪事は暴かれるのか。全てが一晩の出来事に納められている脚本も秀逸だ。

聞こえない世界を観客と共有

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サスペンススリラーである本作の特徴はやはり、ヒロインが聞こえない世界にいる、というところだろう。逃げる側だけが聞こえないという状況での緊張感は非常に効果的だ。

時折サイレントの部分を作る演出で、観客も聞こえない世界を体験することができる。そんななかで、車に設置された騒音測定器やギョンミの家に設置された警報装置が反応するという視覚的な見せ方で、緊迫感は一気に高まる。

そしてギョンミは口頭では会話ができないことで周囲に状況を理解されず、事実も捻じ曲げられてしまう。このディスコミュニケーション問題は、現実の世界でも聴覚障がい者を悩ませていることが想像できる。

一方で、健常者の多くが読み取れない手話が、ギョンミたちの武器にもなりうることや、スマートフォンの利便性など、現実の聴覚障がい者の生活に重なる部分も多数見られる。本作は社会的意義も高い作品と言えるだろう。

作品ニュース

ファンタジア国際映画祭で受賞

海外からも高い評価を受けている本作。カナダのモントリオールで開催されている、ファンタジア国際映画祭では長編アジア映画 ・観客賞銀賞を受賞。

オススメしたい『殺人鬼から逃げる夜』 

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  • 聞こえない世界も体験できるサスペンススリラー
  • 一晩の出来事に集約した秀逸な脚本
  • スピード感と、最後まで続く緊迫感
  • 意表を突くクライマックス

聴覚障がいの世界にも触れられるという社会的意義を含みながら、ハラハラ感で観る者を惹きつけける、サスペンススリラーとしての純粋な面白さが魅力の作品だ。

『殺人鬼から逃げる夜』 作品情報

 【あらすじ】
お客様相談センターで手話部門を担当しているギョンミ(チン・ギジュ)は、自分と同じく聴覚に障がいのある母親(キル・ヘヨン)と二人で暮らしている。ある夜、血を流して倒れている女性を発見したギョンミは、近くに身を潜めていた連続殺人鬼ドシク(ウィ・ハジュン)の次のターゲットにされてしまう。聴覚が不自由なギョンミには、犯人が追いかけてくる足音も聞こえなければ、助けを呼ぶ言葉も届かない。ドシクはそんな彼女を、まるでゲームを楽しむかのように追い詰めていく……。

監督・脚本 :クォン・オスン
出演:チン・ギジュ、ウィ・ハジュン、パク・フン、キム・ヘユン、キル・ヘヨン ほか
原題:MID NIGHT
配給:ギャガ
<2021年/韓国/カラー/シネスコ/5.1ch/104分>
字幕翻訳:根本理恵
2021年9月24日(金)TOHOシネマズシャンテ他 全国順次公開

gaga.ne.jp

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