東京・ミニシアター生活

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【10/29公開】『モーリタニアン 黒塗りの記録』ジョディ・フォスターとベネディクト・カンバーバッチの競演! 同時多発テロの後に作られたアメリカの闇

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2001年、世界に衝撃を与えたアメリカ同時多発テロ事件。その首謀者として疑われ、不当に拘禁されたモーリタニア人男性・モハメドゥの手記を元に映画化。レジェンド、ジョディ・フォスターを主演に迎え、今を時めく俳優ベネディクト・カンバ―バッチが競演、という映画ファン垂涎のキャスティング。見ごたえたっぷりのリーガルドラマであり、アメリカの闇を暴く問題作だ。

2021年10月29日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

ジョディ・フォスターが演じる、実在の人権派弁護士

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子役から大人の女優になるまで、常に第一線を駆け抜けてきたジョディ・フォスター。近年は監督やプロデューサー業に力を入れていて、そちらでの評価も、安定して高い。そんななか、本作では久々の主演である。

今回大役を引き受けたジョディ・フォスターは、おそらくファンの期待を軽々と乗り越えている。ごく自然に振舞いながら、ピーク時と変わらぬ存在感を放ち、ストーリーに観客を引き込んでいく。シルバーヘアも美しく、熟練女優として新たなシーズンを予感させる。

演じる役どころは、百戦錬磨の弁護士ナンシー・ホランダー。「テロリストの弁護士」などと批判を浴びながらも信念を貫き、アメリカの闇を暴いた実在の人である。本作ではキャラクターとしてクールな面を強く押し出しているが、実際の彼女は人情に篤いタイプらしい。

ナンシーが合衆国の法に則り、救い出そうと奮闘するのは、モーリタニア人の男性・モハメドゥ。当時彼は、2001年アメリカ同時多発テロの首謀者として不当に拘禁されていた。

 

米国の闇「グアンタナモ収容所」

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同時多発テロ以降、アルカイダ幹部やテロリストを収容するために、米国はキューバのグアンタナモ湾にある米軍基地内に「グアンタナモ収容所」を設置した。この収容所には、子どもを含む780人という人々が東南アジア、中東、アフリカなどから連行されてきたという。

そして裁判などの司法手続きもなしに「反テロ」の名目のもと、連日厳しい尋問や恐ろしい拷問が行われ、長期拘束を強いた。彼らの多くがモハメドゥの例のように、明確な証拠も根拠もなく連れてこられたことが想像できる。あの多くの人の命を奪った9.11のテロに対する怒りや憎しみから、米国はあまりにも暗い闇を生んでしまったのだ。

やがてモハメドゥの手記が公表され、グアンタナモ収容所の恐るべき実態が明らかになり始めると、米国は国際社会や人権団体から相次いで非難されることになった。これを受け、オバマ政権が2009年に収容所閉鎖を表明したものの、実は現在も、閉鎖実現には至っていないという。

ベネディクト・カンバ―バッチを魅了した原作の手記

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2015年にモハメドゥの手記がアメリカで出版されたが、書籍の多くのページに、アメリカ政府の検閲による黒い塗りつぶしがあった。しかもグアンタナモ米軍基地に収容されている人物が著者だという。アメリカの人々はこの異例づくしの刊行に驚き、そして本を読んで魅了される。米国で大ベストセラーとなり、その後、世界20カ国でも翻訳・刊行された。

この手記の映画化を切望したのが、俳優ベネディクト・カンバーバッチだった。ピークのジョディ・フォスター並みに、良作へのオファーが続く人気俳優でありながら、当初はプロデューサーに専念して映画を制作することを決めたのだという。だが、出来上がった脚本の素晴らしさに感銘を受け、改めて出演を希望。

カンバーバッチが演じるのは、モハメドゥ起訴の命を受ける米軍のスチュアート中佐。弁護士ナンシーを演じるジョディ・フォスターと初めて向き合うシーンでは、思わずソワソワ、テンションが上がってしまう映画ファンも多いだろう。

モハメドゥを挟んで相対する2人の関係はどうなるのか、彼らの信念は交わるのか。最後まで見どころ満載のドラマなのだ。

オススメしたい『モーリタニアン 黒塗りの記録』

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  • レジェンド、ジョディ・フォスター“現在”の魅力
  • 同時多発テロの先に生まれたアメリカの闇を知る
  • 俳優カンバ―バッチを魅了した手記を映画化
  • ミステリー要素のある濃厚なリーガルドラマ

『モーリタニアン 黒塗りの記録』作品情報

 【あらすじ】
2005年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はアフリカのモーリタニア出身のモハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。モハメドゥはアメリカ同時多発テロの首謀者の1人として拘束されたが、裁判は一度も開かれず、キューバのグアンタナモ収容所で地獄のような投獄生活を何年も送っていた。

ナンシーは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。時を同じくして、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴を担当する。真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた……。

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバーバッチ、タハール・ラヒム、シャイリーン・ウッドリー、ザッカリー・リーヴァイ ほか

原題:THE MAURITANIAN
原作:モハメドゥ・ウルド・スラヒ『グアンタナモ収容所 地獄からの手記』(河出書房新社刊)

提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ

<2021年/イギリス/英語・アラビア語・フランス語/129分/ドルビーデジタル/カラー/スコープ/G>
字幕翻訳:櫻田美樹

2021年10月29日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

kuronuri-movie.com

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