東京・ミニシアター生活

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【12/18先行上映】『誰かの花』ある日突然「被害者遺族」の立場が揺らぎ始める親子の物語

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横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画として製作された作品。主演は『ケンとカズ』のカトウシンスケ、脚本・監督は本作が劇場公開2作めとなる奥田祐介(『世界を変えなかった不確かな罪』)。主人公の両親に、吉行和子と高橋長英、突然シングルマザーになる主婦に和田光沙、その息子に太田琉星。他にも村上穂乃佳、篠原篤と安定感あるキャストが揃う。

両親の住む団地で突然起きた鉢植えの落下。この事故で、兄を交通事故で亡くした過去を持つ主人公の「被害者家族」という立場が複雑に揺らぎはじめ、さまざまな葛藤に悩むことになる。脚本も巧みなヒューマンドラマ。

 2021年12月18日(土)ジャック&ベティにて先行上映、ほか全国順次公開

「誰かの花」は危険な鉢植え

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タイトルの「花」というアイテムから「誰かから贈られる花」といった優しげなストーリーを思い浮かべるかもしれないが、本作はその裏返しの物語だ。それは団地のベランダに置かれた鉢植えの花であり、風の強いある日、落下して1人の男性の死の原因となってしまう花なのである。

認知症の父、年老いた母、もういない兄

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鉄工所で働く孝秋は、すっかり認知症が進んだ父と、甲斐甲斐しくその世話をする母を気にかけ、時々2人の住む団地を訪ねている。彼らはヘルパーの女性や引っ越してきた家族と交流し、そこそこ平和な親子に見える。しかし彼らは、孝秋の兄、両親にとっては長男が交通事故で亡くなっており、心の奥に癒えぬ傷を抱えた「被害者家族」でもある。

ある日両親の団地で、件の鉢植えの落下による死亡事故が起きた。事故の直後、孝秋は被害者が父ではなかったことに安堵するも、両親宅に駆け込んだとき、違和感を感じる。認知症の父が謎の行動をした形跡があったのだ。そして「父は落下事故に関係しているのかもしれない」という疑念が湧いてくるのだった……。

「被害者家族」である過去と、加害者家族「なのかもしれない」今

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母も不安にさせたくない。孝秋は真実を追求するよりも、知らぬふりを決め込もうとする。しかし、ひたすら知らぬふりを続けてはいられない状況になっていく。

鉢植えの持ち主が責められ、自責の念にも苦しんでいるのを知る。新たに「被害者家族」となり、哀しみを受け止めきれずにいる被害者の妻、静かに憎しみを募らせる子ども目の前にいる。さらにこの疑わしい状況を知る者からは咎められる。

しかし孝秋がどんなに不安と葛藤に苛まれても、当の父は認知症のせいで、状況をちっとも把握していない。

そんな状況で、迎える兄の命日。孝秋のなかで「被害者家族」である過去と、加害者家族「なのかもしれない」今が交差する…。

作品ニュース

初日、舞台挨拶あり

15:10回上映前に舞台挨拶が予定されている。詳細や追加情報は『誰かの花』ツイッター公式アカウントなどでご確認を。

チラシは8種類

メインチラシのほか、キャスト7名ごとのチラシが作られている。それぞれの立場を強く感じさせるセリフとともに、1人ずつお登場人物がクローズアップされている。

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オススメしたい『誰かの花』

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  • 「被害者家族」と「加害者家族」を描く
  • 偽りと真実、紙一重の可能性
  • 認知症の人物を配置した巧みな脚本
  • 実力派・個性派揃いのキャスト

『誰かの花』作品情報

 【あらすじ】

鉄工所で働く孝秋は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義とそんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は、数年前に死んだ孝秋の兄と区別がつかないのか、彼を見てもただぼんやりと頷くだけであった。

強風吹き荒れるある日、事故が起こる。団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となったのだ。父の安否を心配して慌てた孝秋であったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。だがベランダの窓は開き、忠義の手袋には土が…。

監督:奥田裕介
出演:カトウシンスケ、吉行和子、高橋長英、和田光沙、村上穂乃佳、篠原篤、太田琉星、大石吾朗、テイ龍進、渡辺梓、加藤満、寉岡萌希、富岡英里子、堀春菜、笠松七海 ほか

撮影: 野口高遠 照明:高橋清隆 録音:高島良太 衣装:大友良介
ヘアメイク:ayadonald、大久保里奈
制作:佐直輝尚 助監督:松村慎也、小林尚希、高野悟志
音楽:伴正人 整音:東遼太郎

エクゼクティブプロデューサー:大石暢、加藤敦史、村岡高幸、梶原俊幸
プロデューサー:飯塚冬酒

製作:横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画製作委員会
宣伝・配給:GACHINKO Film

<2021年/日本/115分/5.1ch/アメリカンビスタ>

 2021年12月18日(土)ジャック&ベティにて先行上映、ほか全国順次公開

g-film.net


©横浜シネマ・ジャック&ベティ30周年企画映画製作委員会

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