東京・ミニシアター生活

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【4/8公開】『連鎖』“信じる”とはどういうことなのか?…知的障がいの青年を追い詰める、哀しき負の連鎖 

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知的障がいをもつ善良な青年と彼を取りかこむ人々が、予期せぬ出来事によって翻弄される悲劇を描く。30代だが8歳の知能である“ソック”という難役に挑むのは、キム・デミョン(『賢い医師生活』)。彼の良き理解者である神父役にキム・ウィソン(『新感染 ファイナル・エクスプレス』)、善意の人でありながら偏見の火種を持つ青少年センターの所長・キム先生にソン・ユナ(『ウェディングドレス』)。監督・脚本は本作が長編監督・初挑戦のキム・ジョンシク。

俳優の繊細な演技と緻密なストーリー展開で、偏見と偶然が生む「負の連鎖」を見事に組み上げていく。観る者に疑問を投げかけながら、静かに深く広がる哀しみを体感させてくれる注目作。

2022年4月8日(金)より シネマート新宿シネマート心斎橋ほか 全国順次公開

主人公は知的障がいの青年ソック

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本作の主人公は30代にして8歳の知能であるソック。この難役を説得力をもって演じているのがキム・デミョンだ。帽子へのこだわり、抑えられない好奇心など、ストーリー半ばまでは障がいをもつ人の特徴を示しながら、村の人との交流や友だちとの関係、1日のルーティーンなどをごく自然に演じている。

彼の演技に心を奪われるのがある出来事の“後”からだ。彼の身近な存在だった村の人々や、かつての友人が次々とソックに冷たく当たるようになっていく。自分の居場所を奪われたソックは、状況を理解しきれずに混乱し、親しかった人々から激しく拒否されながら、こぼれないギリギリの涙をたたえた瞳で、自分が訴えるべき言葉を必死に探す。

このうまく伝えられないもどかしさや悔しさ、理解されない哀しみの感覚は、言葉数が少なかった8歳の頃、あるいはその年頃までに誰もが通ってきている道なのではないだろうか。これは、知的障がいをもつ人物に、誰もが通り過ぎた幼い世代を重ねることで、多くの人がソックに共感しやすいようにと選ばれたアプローチなのかもしれない。

人を信じるとはどういうことなのか

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“人を信じる”ということは美徳であるとともに、生きていく上で必要なことでもある。誰も信じずに生きていくことは、あまりに困難だ。そして例えば、聖職者という立場においては、“人を信じる”ということは、あらゆる行動・考え方の土台となるのだろう。彼らは、何も前提とせず、ただ“人を信じる”のだ。

しかし万が一の深刻な事件が起こってしまったとき、“誰かを信じる”という意味やベクトルはシンプルでなくなる。人を“どのように信じるか”という選択に変わってしまうだろう。

神父が「人を信じること」を語る状況というところで、重松清の小説『疾走』を思い出した。キリスト教そのものが作品のテーマでなくとも、“人を信じる”ことを語るとき、神父(聖職者)が物語にかかわっていくことで、ドラマは深みを増す。

本作で神父を演じているのは、キム・ウィソン。思慮深く、ソックとともに苦しむ優しさが心に残る。それにしても、この俳優キム・ウィソンの、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』でのヒールっぷりを思い出すと、その振り幅に驚かされるだろう。

胸に迫る「その後」の変化 哀しいソックのルーティーン

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いたずらやいじめの芽が出てくれば、誰かがそれをさっさと摘み取る。村の人々のそんな優しさの中で生きていたソック。親が残してくれた精米所で働き、8歳の知能のままであっても、地味ながら自立した生活を立派に成り立たせていた。同じような毎日の暮らし中で喜びを見出せる“善き人”、それはソックだけでなく彼の周りの村の人たちも同様だ。

そんな、判で押したような生活のなかでも「朝のルーティーン」をソックは事件後もなぞろうとする。しかし状況はまるっきり変わってしまっている……村の人々の態度も、だ。その対比が哀しさを際立たせる。

作品ニュース

俳優仲間からのコメント動画

チョン・ウソン(『無垢なる証人』『藁にもすがる獣たち』「私の頭の中の消しゴム』)、カン・ドンウォン(『1987、ある闘いの真実』「新感染半島 ファイナル・ステージ』)、EXOのチャニョルの3人からのコメント動画がアップされている。それぞれが出演者への応援や、作品の感想などを語る。

オススメしたい『連鎖』

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  • 説得力ある家出少女ウンジとソック、2人の友情
  • 負の連鎖を重ねていく緻密なストーリー
  • “人を信じること”の意味を探す神父の苦悩
  • ソックを演じるキム・デミョンの繊細な演技

『連鎖』作品情報

 【あらすじ】
30代で知能が8歳ほどの青年ソック(キム・デミョン)は、小さな農村で精米所を運営しながら友人や近所の人々と穏やかに暮らしていた。村の祭りの日、財布がすられる騒ぎが起こると、最近やって来たばかりの家出少女ウンジ(チョン・チェウン)が犯人だと疑われるが、ソックが真犯人を見つけ、誤解を晴らす。これを機に、ソックとウンジは友だちとして信頼関係を築き、いつも一緒に過ごすようになっていく。

ウンジを保護していたキム先生(ソン・ユナ)は2人の関係性を心配したが、ソックと家族のように思う神父(キム・ウィソン)はただ2人を見守ろうと宥めるのだった。

しかしある夜、ソックの精米所に1人でいたウンジに予期せぬ事故が起こる。倒れていたウンジを見つけ、介抱しようとしたソック。それを目撃したキム先生は叫び声をあげて…。

監督・脚本:キム・ジョンシク
出演:キム・デミョン、ソン・ユナ、キム・ウィソン、チョン・チェウン ほか
原題: 돌멩이
英題:Stone Skipping
配給:ライツキューブ
<韓国/韓国語/2020年/107min/ステレオ/DCP>

日本語字幕:安河内真純
字幕制作:株式会社ワイズ・インフィニティ
2022年4月8日(金)より シネマート新宿シネマート心斎橋ほか 全国順次公開

stoneskipping-jp.com

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