“スプリングブレイク”でメキシコのビーチやってきた男女5人の若者が、悪ふざけのつもりで、水上バイクを盗み沖に向かう。しかし、そこはホホジロザメの巣窟だった。『海底47m』の製作陣が、新たな海の恐怖を突き付ける。無軌道な大学生グループの、青春のいたずらが死の恐怖を招く、サバイバルスリラー。
2022年7月22日(金) 新宿バルト9 他 全国ロードショー
魅力的なメインキャストは5人とも新人
メインキャストである大学生役の5人は、スターではない新人ばかりを起用している。しかしみな存在感があって魅力的だ。女優2人は特に光っている。
ヒロインの優等生ナットはただ内気なわけではなく芯があり、半ばからびっくりするような勇気も発揮する。本作を彼女の成長物語としても観ることも出来、彼女を演じるホリー・アールが説得力を感じさせる。
一方でお色気ムンムンのブロンド娘“マイルド◯ッチ”のミリーは、悪さもするけれど、女友だちとの友情も、そこそこ大事にしている。でもやっぱり知らないところでコッソリ裏切っちゃう。悪さがバレて真っ向から追求されると「ごめんね」と上目使いで謝ったりして。いるいる、こういう女の子……。
メインキャストの5人はみなキャラクターがしっかり立っている。故に青春モノとしても秀逸な印象を受けるのだろう。
さまざまな予感を呼び起こす冒頭
たっぷりアルコールを楽しみ、冒頭から海岸でハメを外して海岸で騒ぐ5人。これはもう、運命の餌食まっしぐらのスタイル……彼らが盛り上がれば盛り上がるほど嫌な予感しかない。これぞパニックスリラーの痺れポイントだ。
追加のアルコールの買い出しに行くため、ナットが1人喧騒を離れると、突然「カネをくれ」と物乞いに話しかけられる。ナットは男の持つ紙コップに小銭を入れたうえに、食べ物が欲しいか、とまで尋ねる。品がある優しさに、観客の思い入れはグッとアップする。もうこの時点でヒロインは彼女決定!
さて、車椅子に座っているその物乞いの男には、膝から両足がない。彼女が思わず息を飲むと、ホホジロザメだ、と告げる。そこに様子を見にきたあとの4人が現れ、茶化しながらナットと男を離そうとするが、が物乞いは、ナットの腕を掴み「気をつけろ」と強く警告する。
男の両足の切断あとは生々しく、まだ登場してない獰猛なサメの存在感を感じられて、印象的なやりとりだ。
太陽ギラギラの大海原にサメ・サメ・サメ!
元祖「ジョーズ」からほぼ半世紀。CGの技術はどんどん進み、獰猛なサメを扱ったスリラーは数多く作られてきた。一時期は、新しい展開をに求めすぎたのか、空から降ってくるサメまで登場した。そうした設定もそれはそれで面白いのだが、サメそのもののファンとしては、やはり「海中で力強く泳ぎまわるなかで勝負をして欲しい」という強い欲求があるだろう。
そして本作はまさにその希望通り。鋭い歯と鍛え抜かれた筋肉。強い攻撃力を持つ海の王者、恐ろしいサメの本来の姿がある(実際にはサメが意思を持って人を襲うことがないとは言われてはいるが…)。
美しくどこまでも続く大海原にギラつく太陽も揃って、海洋の美しさと恐ろしさを存分に楽しめる。夏にぴったりの作品なのだ。
オススメしたい『海上48hours ―悪夢のバカンス―』
- 獰猛なホホジロサメのリアルな迫力
- 恋と友情のイザコザで青春モノも味わえる
- 果敢にサバイバルに挑むヒロインの成長物語
- 地中海マルタ島で撮影した美しい海洋風景
『海上48hours ―悪夢のバカンス―』作品情報
【あらすじ】
大学生が最も羽目を外す春休み:“スプリングブレイク”。メキシコのビーチでテキーラを浴びて馬鹿騒ぎをする男女5人組は桟橋に停められていた2台の水上バイクを盗み出し、沖へ出る。やがてチキンレースに発展、正面衝突。
1台は大破し、もう1台はエンジントラブルで身動きが取れない。しかも、仲間のひとりが足に大けがを負ってしまい、助けを呼ぼうにも携帯の電波は届かない中、浮気騒動までも発覚。そして、壊れたバイクで大海原を漂うパニック状態の彼らをさらなる危機が襲う。なんとそこは、凶暴なホホジロザメの巣窟だったのだ……。
監督:ジェームズ・ナン(ゲットバック -人質奪還-』)
出演:ホリー・アール、ジャック・トゥルーマン、キャサリン・ハネイ、マラキ・プラー=ラッチマン、トーマス・フリン ほか
脚本:ニック・ソルトリーズ(『暁に祈れ』)
原題:SHARK BAIT
配給:ギャガ
<2022年/イギリス/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/85分>
字幕翻訳:牧野琴子
2022年7月22日(金) 新宿バルト9 他 全国ロードショー
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