1980年に結成された知る人ぞ知るロックバンドTHE FOOLS(ザ・フールズ)のドキュメンタリー映画。客席を熱狂させるパフォーマンスを魅せたかと思えば、ステージの上でも下でもトラブル続出、活動停止と復活を繰り返してきたTHE FOOLSメンバーの、近年までの音楽活動と生き様を追う。監督は、フォトグラファーでもあり、前作の音楽ドキュメンタリー『Cu-Bop 』(『Cu-Bop across the border』)で注目を集めた高橋慎一。
2023年1月13日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
伝説のバンドTHE FOOLSとは?
1980年結成、名ギタリスト・川田良と唯一無二の存在感を放つボーカリスト・伊藤耕を中心にロックを体現してきたバンド「THE FOOLS」 (以下「FOOLS」 )。テレビという当時メジャーであったメディアに乗らなかったFOOLS は、同時代に生きた人にとっても、知る人ぞ知る存在といえるだろう。
しかし、本作を見れば、アンダーグラウンドシーンで、多くの表現者に多大な影響を与え、著名人からの人気が高かったことがわかる。FOOLSと対バンが多かったというバンドJAGATARA(じゃがたら)からOTO、EBBY、そしてザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトも、本作で熱っぽくインタビューに答えている。
揉め事、フロントマンの逮捕、メンバーの死
仲間や友だちへのリスペクトを抱きつつ、意地を通しては小競り合いを繰り返し、年を重ねても生き方のベクトルを変えることなく、ロックを貫いたFOOLSのメンバーたち。破滅主義ではなくあくまで「フリーダム」なフロントマン伊藤耕は、薬物の使用による逮捕で、繰り返し塀の中に入り、その度にバンドの活動もストップしてきた。まさにトラブル続き、ミュージシャンとして順調な道を歩むことはなかった。
さらに2017年10月、出所間近というタイミングで伊藤が、まさかの獄中死を迎える。出所シーンがクライマックスとなる予定だったこの映画の完成も危ぶまれて……と思いきや、起死回生。高橋監督は、伊藤の葬儀、さらに現在も続く裁判についても作品に組み込むことで、伊藤の家族や仲間にも、より肉薄する結果となった。どこまでも前代未聞のドキュメンタリー作品である。
どう観るかは観客次第
伊藤だけでなくメンバーが次々と早世、もはや生のステージを見ることは叶わないFOOLS。それだけに収録されている貴重なライブはもちろん作品の観どころだが、本作を通し、例えばアーティストのあるべき姿とかFOOLSはこういうバンドであったといった「観客をここへ誘おう」という監督の主張は見えてこない。おそらく本作をどう観るかは、観客にドン、と大きく委ねられているのであろう。
本作は1980年からの日本のアンダーグラウンドにおけるロック史ではあるのだが、バンドメンバーの生き様、そして特異なキャラクターが突出している上に、関係者(インタビュアーである監督を含め)の個性までが強い。善にも悪にも偏らず、ただ熱い想いと愛があることが、滑稽でも寂しくも嬉しくもある。ぜひ劇場へ足を運んで「感じて」欲しい、戸惑いのような不思議な後味を残すドキュメンタリーだ。
作品ニュース
FOOLSの歴史を書籍化
志田歩氏によるノンフィクション書籍も、先月12月に発売されたばかり。本作とともにFOOLSを身近に感じられる一冊。
劇場で復刻版バンドTなどグッズを販売
ヒューマントラストシネマ渋谷で公開記念グッズを発売予定。今後入手困難となる可能性も大!
『THE FOOLS 愚か者たちの歌』
— ヒューマントラストシネマ渋谷 (@htc_shibuya) 2023年1月12日
\公開記念 グッズ販売/
復刻版バンドTシャツ、手ぬぐいほか、CD・アルバムも多数入荷予定🎧
1/13(金)より劇場7F売店にて販売開始! pic.twitter.com/TbWoAvgH00
オススメしたい『THE FOOLS 愚か者たちの歌』
- 伝説のバンド“THE FOOLS”の名ライブシーンを多数収録
- 逮捕、死、トラブル…“THE FOOLS”メンバーの荒削りな生き様
- 歯に衣着せぬ発言、関係者インタビュー
- 1980年からのアンダーグラウンド音楽史を知る
『THE FOOLS 愚か者たちの歌』作品情報
【作品概要】
アンダーグラウンドのカリスマと呼ばれるロックバンド、THE FOOLS。1980年の結成以来、メジャーな音楽産業とは一線を画した活動がロックファンの間で熱く支持されてきた。彼らは音楽性の高さに加え、ステージ外での破天荒さ、メンバーの薬物使用による度重なる逮捕等が、語り継ぐ者の間で伝説となっていった。
本作はバンドの活動の最晩年である2012 年から2020 年の8年間をかけて彼らを追い、メンバーの逮捕、そして相次ぐ死を間近に記録し続けた。テレビやラジオ、音楽雑誌では決して報道されない、もう一つの音楽シーンの真実を描写した作品である。
監督・撮影:高橋慎一(『Cu-Bop 』『Cu-Bop across the border』)
出演:伊藤耕、川田良、福島誠二、村上雅保、關口博史、若林一也、大島一威、
中嶋一徳、高安正文、栗原正明、庄内健 ほか
ラインプロデューサー:伊賀倉健二
編集:遠山慎二
ノベライズ:志田歩『THE FOOLS MR.ロックンロールフリーダム』(東京キララ社)
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
<2022年/113分/日本>
2023年1月13日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
©2022 愚か者たちの歌
〔AD〕
(最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)