東京・ミニシアター生活

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【5/17公開】『ありふれた教室』現代の学校の秩序崩壊をリアルに描くサスペンス・スリラー

盗難事件をきっかけに、新任教師の女性に降りかかる負の連鎖。やがて教師、保護者、生徒らへと動揺は大きく広がり、学校の秩序が崩壊していく。学校のみならずあらゆるコミュニティで勃発するかもしれない、現代特有の脅威を描くドイツ発、ノンストップのサスペンス・スリラー。

第73回ベルリン国際映画祭で上映されW受賞を果たしたのを皮切りに、世界の映画祭を席巻した話題作。

2024年5月17日(金)新宿武蔵野館シネスイッチ銀座シネ・リーブル池袋ほか全国公開

広がる波紋、止まらない秩序崩壊

ことの始まりは、中学校内で起こった盗難事件。赴任したばかりの教師のカーラは良心的で不条理な出来事にも屈しない勇敢さを持っている。寛容さや用心深さと教育熱心である部分のバランスもいい人物なのだが、ちょっとだけ正義感が感情的に先走った瞬間に、あっという間に足もとを救われてしまう。

同僚や上司、生徒、保護者とあらゆる方面から力が加わり、負の連鎖が起こって状況は雪だるま式にどんどん悪化していく。気丈なカーラでも弱ってしまうが、気を取り直しまた新たな展開に立ち向かう。やがて動き続ける火種はカーラ個人の受難ではなく、生徒や教師間へと問題は広がって秩序の乱れは止まらなくなっていく……。

あらゆるコミュニティに起こりうる現代特有の「負の連鎖」

本作では、連発する現代特有のトラブルが、どれも身近に感じられるのが、何よりもリアルで恐ろしい。

一昔前ならこの作品の展開が「露悪的」「悪趣味」などと見られたかもしれないが、現代において、この物語のような状況はいつ起こってもおかしくない。厳しすぎるコンプライアンスが横行して、あらゆることがやりづらく複雑になったかと思えば、PCやスマホといったツールの普及で、情報が広がるのは異常なほど早い。

コミュニティの中でも、特に教育現場では困難な問題が山積みだろう。組織独自のかたくなな謎ルール、モンスターペアレンツぎりぎりの保護者たちによる過剰反応、若い生徒たちの奔放さ一途さ残酷さ。そこに加わる、思わぬ同僚や上司の反発や裏切り……。正義と狂気がせめぎ合う現場、それが「学校」なのだ。

『ありふれた教室』独自の清々しさと巧妙な仕掛け

テーマの鋭さで注目を集めている本作だが、演出も抜かりない。停滞することのないテンポの良さが、最初から最後まで観るものを惹きつけ続ける。舞台をあちこちに移さずほぼ校内で完結させているのも、集中しやすくていい。

またギリギリ楽器と認識できる効果音のような劇判がまた秀逸だ。心理的に追い詰められ、焦燥感をキリキリと磨き上げられるようで、程よく印象的なのだ。

またこの物語は主人公がまさに「アー!」と叫びたくなる苛立ちと怒りと悲しみいっぱいの状況なのだが、ひたすら不快な、いわゆる「鬱映画」にならないのが何より素晴らしい点だろう。

ときには理解を示す同僚も登場するし、何よりも主人公のカーラ自身が、打ちのめされてへこんでも再び立ち上がり、冷静さを取り戻してたくましく奮闘する。だからひどい状況が描かれても(恐ろしくはあるが)、作品の色は清々しさを失わない。

現代社会の憂いを詰め込む一方で「そんなものを恐れて縮こまってないで、飲み込んでしまえ」と伝えているのだろうか。なんだか力が湧いてくるような後味も残るのだ。

 

作品ニュース

ポストカードプレゼント

鑑賞の記念にぜひゲットしたい! カーラのポストカードを各劇場・先着順で配布するそうです。数量限定なのでお早目に劇場へ。

新宿武蔵野館でコラボパン?!

武蔵野館では、ドイツをオマージュしたというコラボのパンを販売。温め推奨……。

オススメしたい『ありふれた教室』

現代特有の負の連鎖で、ノンストップのドラマを展開

テーマの鋭さだけでなく劇判や演出も巧み

教師たち、保護者、生徒、クセのあるキャラ揃い

主人公の教師カーラの闘いぶりがの清々しい

 

『ありふれた教室』作品情報

 【あらすじ】
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を獲得しつつあった。そんなある日、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として教え子が疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自の犯人捜しを開始。するとカーラが職員室に仕掛けた隠し撮りの動画には、ある人物が盗みを働く瞬間が記録されていた。やがて盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は噂となって広まり、保護者の猛烈な批判、生徒の反乱、同僚教師との対立を招いて……。

監督・脚本:イルケル・チャタク
出演:レオニー・ベネシュ(『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』『白いリボン』)、レオナード・ステットニッシュ、エヴァ・ロバウ、マイケル・クラマー、ラファエル・シュタホヴィアク

原題: Das Lehrerzimmer 
英題: The Teachers’ Lounge 

提供:キングレコード、ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム

<2022年/ドイツ/ドイツ語/99分/スタンダード/5.1ch/G>
日本語字幕:吉川美奈子

2024年5月17日(金)新宿武蔵野館シネスイッチ銀座シネ・リーブル池袋ほか全国公開

arifureta-kyositsu.com

 



©ifProductions Judith Kaufmann

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