夫が行方不明のまま再婚した妻と、その新たな夫。元夫にかけられた保険金の受け取りを巡り、それぞれ思惑を抱いていたところに、元夫にそっくりな男が現れて……。
約900本のMVやライブビデオ、CMなどを制作してきた小嶋貴之監督が、オリジナル脚本で芝居メインの短編に挑んだ、47分間のオリジナル・サスペンス作品。
2025年3月28日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
「失踪から7年で保険金が受け取れる」という法的事実
「配偶者が3年以上生死不明の場合、離婚訴訟を経て離婚ができる」「不在者の生死が7年間不明な場合、失踪の宣告をすることができ、死亡保険金受取人は保険金を受け取ることができる」。本作はこの法的事実に着想を得たサスペンス作品。
失踪3年で離婚、再婚を決め込んだ妻の佳奈は、元夫の保険金がおりる日を現在の夫とカウントダウン。心待ちにしている。一方で現在の夫の孝明は、妻に言えぬ秘密を抱え、やはり保険金を当てにしているのだった。
やがて、2人は元夫に瓜二つの男の存在を知る。彼の生死より、保険金の受け取りが危ぶまれることにヤキモキする、まだ若さの残る夫婦。2人は欲にまみれ「モラルぎりぎりのグレーゾーン」を漂っている。
夫役の卯ノ原圭吾は優柔不断なキャラクターでコメディの味わいも滲ませている。しかし女たちは、覚悟を決めたように修羅の道を突き進んでいく。その対比が面白い。
MV制作の腕を活かしながら、ざらざらした人間の欲望を描く
20年以上で1000本近くの作品を作ってきた映像のプロである小嶋貴之監督が「まだ自分の作品を撮っていない」と気づいたことで、腰を据えて挑んだという本作。MV作品ののようなスタイリッシュさではない、シンプルながら印象に残る映像に仕上げている。
「芝居の純粋性を中心に、エンタメ性の高い作品を」という信念で撮ったという本作は「混じりっ気なしの自分が投影できた」と監督自身が手応えを語る。
人間の欲望にスポットを当て、ノイズのようなざらざらとした後味がしっかり感じられるサスペンス作品。長尺の作品も多い中で、47分と気負わずに観られるサイズ感もいい。
作品ニュース
テアトル新宿にて舞台挨拶
お得感あり? 47分の上映に30分の舞台挨拶がついている回があります。
「#帰ってこなかった男」#テアトル新宿 の上映時間決まりました!!!
— 小嶋貴之「帰ってこなかった男」2025.3.28公開! (@kozyman313) 2025年3月25日
3/28、3/29、4/5 18:50〜 舞台挨拶あり
3/30 19:20(予告8分)
3/31~4/3 19:10(予告8分)
映画自体は47分、舞台挨拶は30分くらいを予定しています。
よろしくお願いします!! pic.twitter.com/dg5ldf1wYI
オススメしたい『帰ってこなかった男』
- MV制作などで長いキャリアを持つ小嶋貴之監督が取り組んだ人間ドラマ
- シンプルながら計算された映像美
- 欲に忠実な女たちの板挟みになる男の悲哀と狡さ
- サスペンスフルな展開
『帰ってこなかった男』作品情報
【あらすじ】
元夫・由紀夫の失踪から6年半。保険金受け取りまで半年に迫った持田佳奈(斎藤千晃)と現在の夫・持田孝明(卯ノ原圭吾)は、保険金が入ることを疑わず、将来の計画を立てている。
不倫をしている孝明は、会社を辞め、不倫相手・岸本あゆみ(実倉萌笑)らと設立するベンチャー企業に出資することにしていたが、ある日、佳奈がたまたま入った居酒屋で、由紀夫に瓜二つの男(宮本聖矢)に遭遇。真っ青になる二人だが、追い討ちをかけるように、あゆみは、佳奈はそもそも本当に生命保険をかけているのかと孝明の気持ちを試す。さらに孝明は、怪しむ居酒屋の店長(米元信太郎)に、あゆみといるところを見られてしまい……
監督・脚本・編集・製作:小嶋貴之
出演:卯ノ原圭吾、斎藤千晃、実倉萌笑、小幡貴史、松本響、島林瑞樹、八木亜希紗、鐘ヶ江佳太、佐藤達也、宮本聖矢、米元信太郎 ほか
配給:ジーンハート
<2024 年/日本/カラー/シネマスコープ/ステレオ/47分>
2025年3月28日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開










© takayukikojima
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