怪奇小説の先駆者として日本でも熱烈なファンをもつH・P・ラブクラフトが、1933年に手がけた短編「魔女屋敷で見た夢」を原案にスペインの鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアが製作、ジャウマ・バラゲロ(「REC レック」)が監督を務めた壮絶なサバイバルホラー。
主演は「スペイン現代美の象徴」とも評される俳優・モデルのエステル・エクスポシト。幼い少女を守りながら怪異×犯罪組織との三つ巴のサバイバルバトルを繰り広げる。
2025年5月9日(金)新宿シネマカリテほか全国ロードショー
恐怖の古アパート“ヴィーナス”へ迷い込むダンサー
ナイトクラブを盛り上げるため毎夜踊るダンサー、ルシア。そんな日々に風穴を開けるためなのか、店からドラッグを大量に強奪し、逃げようとする。しかし怪しんだ用心棒から、いきなり深手のケガを負わされて……。
そんなルシアが逃げ込んだ先は、疎遠になっていた姉と姪が住むいわくつきの古アパート“ヴィーナス”。クライムサスペンスのような冒頭だが、“ヴィーナス”に一歩足を踏み入れた瞬間から、本作は一気にホラーへと傾いていく。
母性に目覚めたヒロインは、怪奇現象から姪を守れるか
突然姉が行方をくらまし、姪と2人残されたルシアは、「ダンサーなんでしょ? 踊り方教えて」と慕ってくる姪の可愛さにほだされたか、徐々に姪に対し母性的に変化していく。
一方、日食が近づくにつれ、アパート“ヴィーナス”での怪奇現象は深刻になり、外では霊媒師の力を借りてルシアの居場所を突き止めたギャングが“ヴィーナス”に乗り込もうとしていた。姪アルバを狙う怪異、報復を目論む組織の暴力、その両方に立ち向かい、ルシアはアルバを守り、自らも生き残ることができるのか……。
怪奇×暴力 絶体絶命、美しき血まみれヒロイン
バトルの絶頂でヒロインに背負わせる歌入りの楽曲や、ラストシーンの決まり方など、要所要所でちょっとクセのある演出が楽しめる本作。監督の手腕でもあり、スペイン映画の味わいでもあるのだろう。
とはいえ暴力と怪異の両面から、痛みを伴うグロテスクなスプラッターシーンは思わず目を覆うほど。痛めつけられ踏みにじられ、追い詰められ倒れても、再び闘おうとするタフな血みどろヒロインの美しさをご堪能あれ。
オススメしたい『VENUS/ヴィーナス』
- 幼い少女を守るため闘う美しくタフなヒロイン
- スペイン映画ならではの味、クセのある演出
- ファンタジーホラーのグロテスクな造形・描写
- ギャング、怪奇アパートの住人らの独特なキャラ
『VENUS/ヴィーナス』作品情報
【あらすじ】
ナイトクラブで働くダンサー、ルシアは雇い主の犯罪組織から大量のドラッグを盗み逃亡。逃げる際に組織の用心棒から痛手を負わされた彼女は、疎遠になっていた姉ロシオと幼い姪が暮らす郊外の老朽化したアパート“ヴィーナス”へ身を隠す。しかし何かに怯えるロシオは、ルシアの元に姪を残したまま姿を消してしまう。
ルシアを探し当てた犯罪組織が迫るなか、世界は異例の日食に恐れ慄いていた。そして、連動するかのようにアパートでは未曾有の怪異が目を覚まして……
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:エステル・エクスポシト、イネス・フェルナンデス、アンヘラ・クレモンテ、マグイ・ミラ、フェルナンド・バルディビエルソほか
脚本:ジャウマ・バラゲロ、フェルナンド・ナバーロ
製作:アレックス・デ・ラ・イグレシア
音楽:バネッサ・ガルデ
撮影:パブロ・ロッソ
原案:H・P・ラヴクラフト「魔女屋敷で見た夢」(「アウトサイダー―クトゥルー神話傑作選―」所収/新潮社刊)
原題:VENUS
配給:クロックワークス
<2022年/スペイン/スペイン語/カラー/シネスコ/5.1CH/101分/R15+>
字幕翻訳:金関いな
2025年5月9日(金)新宿シネマカリテほか全国ロードショー
© 2022 Pokeepsie Films SL – The Fear Collection II A.I.E.
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