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【7/4公開】『「桐島です」』49年間逃亡を続けた桐島聡の「失われた青春」を綴ったヒューマンドラマ

2024年1⽉、日本中を驚愕させるニュースが駆け巡った。末期がんで神奈川県内の病院に⼊院していた男が「最期は本名で迎えたい」と、自分が1970年代の連続企業爆破事件で指名手配されていた桐島聡容疑者であることを告白。彼はその直後に70歳でこの世を去った。この桐島の逃亡生活を、毎熊克哉を主演に高橋伴明監督が映画化。逃亡者の哀しさが強く印象に残るヒューマンドラマとなった。

2025年7月4日(金)より新宿武蔵野館ほかにて公開

死の直前まで逃げ切った桐島の哀しい青春

49年間もの間、指名手配され続けながら偽名で生活し、逮捕されることなく逃げ通した桐島聡。昭和・平成・令和と張り続けられた桐島の指名手配ポスターに見覚えがある人も多いだろう。

若い桐島は、身分を明かさなくても雇用してもらえるという理由で土木関係の住み込みの仕事に就き、長い潜伏を成功させた。しかし、運転免許証も健康保険証も持つことができない偽名での生活は、彼の貴重な青春を犠牲にするものであった。

70歳で亡くなる直前に自分の本名を告白、逮捕されることなく死を迎えたのだから逃げ切ることができたとは言える。しかし逮捕され、更生という道のりを踏むことで、日の当たる生活や、自身の本物の人生が送れたかもしれない。そんな運命の皮肉を思わずにはいられない、切ない物語が綴られる。

音楽好きだったと語られている桐島

桐島聡の事件については本作のほかに、今年3月に足立正生監督も『逃走』のタイトルで古舘寛治を主演に映画化している、しかし、2作品は全くベクトルの違う作品となった。本作では桐島の優しさにフォーカスし、悲劇的な運命に流された青年として描かれる。

実際に桐島は音楽好きで地元のライブバーの常連だったと伝えられている。そのエピソードを作品に組み込み、アマチュアミュージシャンの女性に心を寄せる心情も描かれ、桐島の失われた青春がそこに凝縮される。

女優・北⾹那が小さなライブバーで心を込めて歌う歌手キーナを演じており、昭和のヒット曲をギターで弾き語るシーンも見どころだ。そのまっすぐな歌声に、毎熊演じる桐島が心を動かされるという展開にも説得力を感じさせる。

優しさ溢れるキャラクターたち


ほのかに恋を通わせる歌手役の北⾹那のほか、盟友・宇賀神を演じる奥野瑛太、雇用主の小林社長を演じる⼭中聡ら、情の深さが滲み出るキャラクターが何人も登場し、本作の人間ドラマをより深く見せている。

1970年8月30日、多数の死者が出た「三菱重工ビル爆破事件」には、桐島は直接関与していなかったという。冒頭にそんな桐島の立場に理解を求める場面も描かれ、桐島の哀しい人生に想いを寄せる作品となっている。

作品ニュース

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オススメしたい『「桐島です」』

  • 運命に翻弄され、自身の人生を失った男の哀しさを描く
  • 若き日の恋愛、青春の尊さが染みる
  • 優しさに重きを置いた毎熊演じる桐島
  • 弾き語りで新たな魅力を発揮した北⾹那ら、脇役の魅力

『「桐島です」』作品情報

【あらすじ】
1970年代、⾼度経済成⻑の裏で社会不安が渦巻く⽇本。⼤学⽣の桐島聡は反⽇武装戦線の活動に共鳴し、組織と⾏動を共にする。しかし、⼀連の連続企業爆破事件で犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織は警察当局の捜査によって、壊滅状態に。

指名⼿配された桐島は偽名を使い逃亡、やがて⼯務店での住み込みの職を得る。ようやく⼿にした静かな⽣活の中で、ライブハウスで知り合った歌⼿キーナの歌に⼼を動かされ、相思相愛となるが……。

監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴、高橋伴明

出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北⾹那、原⽥喧太、⼭中聡、影⼭祐⼦、テイ⿓進、
嶺豪⼀、和⽥庵、伊藤佳範、宇乃徹、⻑村航希、海空、安藤瞳、咲耶、⻑尾和宏、
趙珉和、松本勝、秋庭賢⼆、佐藤寿保、ダーティ⼯藤、⽩川和⼦、下元史朗、
甲本雅裕、⾼橋惠⼦ ほか

音楽:内田勘太郎 撮影監督:根岸憲一
配給:渋谷プロダクション
<2025年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/日本語/105分>
2025年7月4日(金)より新宿武蔵野館ほかにて公開

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