
大学卒業間近のパパ活女子・ダニエルは親戚の家で行われるシヴァ(ユダヤ教の葬式)にしぶしぶ参列。そこへ、同性の元恋人、不躾に詮索する親族、さらにさっきまで会っていたパパ活相手が家族連れで登場し……。あらゆる感情を揺さぶられ続け崩壊していく女子大生の、悪夢のような数時間を滑稽に描く。
監督は『ボトムス 〜最底で最強︖な私たち〜』(23)で注⽬を集める新鋭エマ・セリグマン。わずか78分の尺に、濃厚に煮詰められた見事なシチュエーションコメディが展開する。
2026年2月27日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
若者を追い詰めるには刃物は要らぬ…

主人公ダニエルは卒業間近の大学生。裕福な年上男性と“パパ活"関係を持ち、学業や将来の目標も曖昧なまま自信のない日々をやり過ごし、自分が何者なのかを定義できずにいる。
そんなある日、親に引っ張ってこられた親類のシヴァ(ユダヤ教の葬式)の場で、元恋人である女性マヤと鉢合わせ。同世代の彼女は、将来も順風満帆といった態度でダニエルを刺激する。さらに親族や大人たちの詮索、無遠慮な質問が次々とダニエルに襲いかかる。さらにそこへまさかの偶然、パパ活相手のマックスが妻子連れで現れ、ダニエルの心は乱れに乱れる。
物語の大半は一軒家の室内で展開。絶え間なく鳴り響く会話や視線、ひそひそ話と逃げ場のない空間に押し込められたダニエルの動揺や焦燥を、アップの表情でコミカルかつ切実に見せ続ける。大人たちの一見何気ない「将来はどうするの?」「最近何をしているの?」といった問いかけは、将来が不安でブレブレの若者には、刃のように鋭く刺さる。
描かれるのは意外にも「普遍的な痛み」

ダニエルの置かれた状況は、パパ活をしていることやユダヤ教の一族という特定の背景を持つ。しかし、彼女のような環境とは無縁であっても、「将来への不安」「嫉妬」「混乱」「ヤケクソ」「心残り」といった感情の揺れには強く共感できてしまうはずだ。
親の期待に応えられていないという焦り。かつての恋人が自分よりも堂々として見えるときの苦さ。自分を“うまくやっている人間”に見せたい虚勢。取り繕おうとするほどにほころびが広がっていく感覚。それらは誰しもが人生のどこかで味わう普遍的な痛みなのだ。
そして、ダニエルも決してやられっぱなしではない。ときにずるく反撃し、見栄で相手を試すような態度もとる。その複雑さがまたリアル。だからこそ、彼女の狼狽や小さな選択が自分事のように胸に刺さるのだ。
誰もが経験した“あの日の居心地の悪さ”を思い出す

閉ざされた一日の出来事を通し、若者が抱えるアイデンティティの揺らぎや、誰かとの比較にさらされる苦しさを鮮烈に描き出す本作。ダニエルの息苦しさに身を重ね、彼女の視線の先にある未来を想像するとき、私たちは自分自身の不安や未練とも向き合わされる。
笑えるのに胃がキリキリ。滑稽なのにやけに切実。そのアンバランスさこそが本作の最大の魅力。本作を通し、きっと誰もが自分の“あの日の居心地の悪さ”を思い出してしまうだろう。
オススメしたい『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』

- 逃げ場のない“シヴァ”空間が生むスリリングな演出
- 文化的背景を超えて刺さる「感情の普遍性」
- 共感と苦笑を同時に誘うリアルな主人公像
- コンパクトな尺に凝縮された濃密なドラマ
『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』 作品情報
【あらすじ】
大学卒業を間近に控えたダニエルは親戚のシヴァ(ユダヤ教の葬式)に参列。故人の自宅では、同性で幼なじみで元恋人のマヤがロースクールに合格したことで賞賛される一方、ダニエルは親類縁者たちから、冴えない進路や容姿の変化について不躾に詮索され、居心地の悪さを募らせていく。
そんな中、数時間前に会ったばかりのパパ活相手のマックスが、才色兼備の妻キムとベイビーを連れて、偶然登場したことで、ダニエルはますます混乱していく……。
監督・脚本:エマ・セリグマン
出演:レイチェル・セノット、モリー・ゴードン、ダニー・デフェラーリ、ダイアナ・アグロン、ポリー・ドレイパー、フレッド・メラメッド ほか
原題:Shiva Baby
配給・宣伝:SUNDAE
<2020/78分/英語/アメリカ、カナダ/G>
原題:Shiva Baby
字幕翻訳:内海千広
2026年2月27日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー


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