
日本では毎年約8万人が失踪し、そのうち数千人は完全に姿を消してしまうという。そんな日本の「蒸発」という現象を題材にしたドキュメンタリー。ドイツのアンドレアス・ハートマン、日本の森あらた、2人の映像作家が共同で監督を務めている。
リアルな「夜逃げ屋」の仕事や、蒸発者と残された人々の心の葛藤や和解の道のりを没入感ある映像で味わうことができる。
※本作では、出演者たちの身元を保護する目的で、AI技術を用い一部の顔や声に加工を施しています。
2026年3月14日(土)よりユーロスペース ほか全国順次公開
暗く行き詰まった状況ばかりではない「蒸発」

「蒸発」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、借金や人間関係などの悩みを抱えて突然姿を消した家出人や、残された家族や関係者が必死に行方を探す姿ではないだろうか。ニュースやドラマでも、蒸発はどこか暗く、行き詰まった末の出来事として描かれることが多い。
しかし本作はそんな固定観念を静かに揺さぶってくる。作品の中で語られる「蒸発」は、単なる逃避や失踪だけではない。むしろそこには、自分の人生を立て直すための選択としての「蒸発」というものも存在する。
たとえば、追い詰められた環境から抜け出すための前向きな夜逃げ。あるいはDVや犯罪、暴力的な人間関係から身を守るために姿を消す人たち。誰にも知られずに生活を変えることが、命や尊厳を守る唯一の方法になることもある。「蒸発」は必ずしも絶望の行為ではなく、再出発のための手段でもあり得るのだ。
あまりに自然な表情も…AIによる驚きの加工技術

本作では登場人物のプライバシーを守るための映像表現も独特だ。事情を抱えた人々が語る場面では、画面にはっきりと顔が映っているように見える。しかし実際には、その多くがAIによる加工で再構成された映像だという。
匿名性を守りながら、当事者の表情や存在感を伝えるための技術が用いられ、言われなければ気づかないほど自然な映像で、ドキュメンタリーの新しい表現方法としても驚かされる。
希望ある「蒸発」とその余韻

社会のなかで「消える」ことは、しばしばネガティブな出来事として語られる。しかし本作は、その裏側にある多様な事情や人間の選択を丁寧にすくい上げていく。
誰かが姿を消すとき、それは単なる逃避ではなく、人生を守るための決断である場合もある。蒸発という行為の背景にある複雑な現実と、その先にある再生の可能性を静かに見つめ、「消えること」が必ずしも終わりではないと気付かされる。名前や場所を変えながらも、人は生き続け、やり直すこともできる。本作は、そんな希望や静かな余韻を残すドキュメンタリー作品だ。
作品ニュース
公開初日、監督2名が舞台挨拶で登壇
・event・
— 映画『蒸発』公式 (@johatsu_film) 2026年3月10日
映画「#蒸発 」
公開初日・舞台挨拶決定!
全国公開の初日3/14(土)#ユーロスペース にて開催。
詳しい時間などは各劇場HPをご確認ください。
▶︎東京:ユーロスペースhttps://t.co/Rh9FKkCDYN
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★3/14(土)より[東京]#ユーロスペース ほか全国順次公開https://t.co/tH6ktH4G0C… pic.twitter.com/OV7DNIctuN
オススメしたい『蒸発』のみどころ

- 貴重な証言による、あらゆるパターンの「蒸発」が登場
- 「夜逃げ屋」という仕事の実情を具体的に紹介
- 人生の可能性の広がりに触れることができる
- 身元保護のために活用されているAI技術の進化
『蒸発』作品情報
※本作では、出演者たちの身元を保護する目的で、AI技術を用い一部の顔や声に加工を施しています。
【内容】
⽇本では毎年、約8万⼈が失踪し、数千⼈は完全に姿を消してしまう。失踪の理由は、⼈間関係のトラブル、借⾦、ヤクザからの脅迫などさまざまだ。彼らは「蒸発者」と呼ばれ、中にはいわゆる「夜逃げ屋」の⽀援を受け、すべてのしがらみを断ち、⾒知らぬ⼟地で新しい⽣活を始める者もいる。失踪者と残された⼈々が抱える⼼の葛藤、和解に⾄るまでの道のりなど、多くの証言を収録、その顛末を追う。
監督:アンドレアス・ハートマン & 森あらた
助成:ドイツ連邦政府文化メディア庁(BKM) Film- und Medienstiftung NRW
配給:アギィ
<ドイツ・日本/2024年/カラー/DCP/86分>
2026年3月14日(土)よりユーロスペース ほか全国順次公開






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