東京・ミニシアター生活

主に都内のミニシアターで上映される新作映画の紹介をしています。

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【2/22公開】『ビール・ストリートの恋人たち』気高く生きる恋人たちは、過酷な運命を乗り越えられるのか?

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『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が再び、美しくも切ない作品を撮り上げた。運命の絆で結ばれた、若く気高い恋人たち。強い意志のもと、2人が家族とともに悲劇を乗り越えようと闘う姿を描く。米アカデミー賞®受賞への期待も高まる、珠玉の名作だ。

2019年2月22日(金TOHOシネマズ シャンテ他全国公開


映像美が「内面の輝き」「人間の尊厳」を映し出す

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バリー・ジェンキンズ監督の前作『ムーンライト』は、映像が美しさが話題となった。前作で、海辺の月の光に、少年の肌が青味を帯びて輝いていたシーンが印象深い。

本作もまた、色が映える鮮やかな映像がとても美しい。衣装や小道具・美術もすみずみまで気配りされ、人物の肌や瞳も美しく輝く。どこを切り取っても美しい映像ばかりだ。とりわけ、メインキャストは美しく映し出されている。

たとえば、アーティストである主人公ファニーが、アートを手がけているシーンには、ファニーという青年の、高い芸術性と気高い人物像が浮かび上がってきて観るものの心に深く刻み付けられる。

本作は全篇が美しい映像であるが、その中にさらに、人の内面の美しさや気高さを表し、説得力を与える印象深いシーンが、たくさん見つけられるのだ。


「社会への怒り」と「みずみずしいラブロマンス」の共存

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本作には1974年に発表された原作がある。著者はジェイムズ・ボールドウィン。人種問題をテーマにした作品が多く、公民運動家でもあった作家だ。
本作で若い恋人たち・ティッシュとファニーは、人種差別によりあからさまな冤罪事件に巻き込まれ、引き裂かれてしまう。この事件を作品の主軸にしているのは、理不尽な差別が行われる社会へ示した、強い怒りの表れだろう。

その一方で、ジェイムズ・ボールドウィンは、官能的なラブロマンスの表現も得意とする作家だ。本作でも、そのもうひとつの面、若い恋人たちのみずみずしさ、ロマンチックなラブストーリーも描く。

社会的な怒りと、美しい愛を共存させるジェイムズ・ボールドウィンの世界観は『ムーンライト』で評価を得たバリー・ジェンキンズ監督との相性の良さを感じさせる。


ファッション性の高さにも注目!

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ティッシュのリヴァーズ家と、ファニーのハント家は、どちらもニューヨークのハーレムに住む黒人の一家。1970年代当時、ハーレム内では階級の差があったという。ハント家は、ハイクラスだ。それゆえにハント家の女たちは、ティッシュの妊娠を打ち明けられても、ティッシュとファニーの結婚を望まず祝福できない。

しかしティッシュも、19歳にしてデパートの香水売り場で働いているおしゃれな女性。おそらく、なんとかやりくりしながらおしゃれを楽しみ、美しく身なりを整えているのだろう。オードリー・ヘプバーンのように可憐で美しいスタイルだ。

ティッシュをはじめ登場する女性たちは、1970年代を意識した、美しくて仕立ての良い衣装を身にまとっている。ここも見どころなので、ぜひ素晴らしいファッションにもご注目を。


作品ニュース

レジーナ・キングがゴールデン・グローブ賞助演女優賞

ティッシュの母親・シャロンを演じたレジーナ・キングが、本作でゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞。テレビドラマでは、エミー賞を2度も受賞していたレジーナ・キング。今や映画界にも強い印象を与えている。

また、本作は米アカデミー賞®には、助演女優賞、脚色賞、作曲賞と3部門でノミネートされており、こちらでも受賞に期待が寄せられている。

 

恋人たちにオススメのダイニングカフェとタイアップ

本作は、プロジェクションマッピングを楽しめるダイニングカフェ「and people ginza(アンドピープル ギンザ)」とタイアップ中。作品をイメージさせるショコラスイーツが期間限定で登場。
and people ginzaのメインフロアでは、プラネタリウムが満天の星空を映し出すそうだ。作品を観た後に立ち寄れば、より気分も盛り上がりそうだ。

 

オススメしたい『ビール・ストリートの恋人たち』

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  • 人物の内面まで浮かび上がらせる、珠玉の映像美
  • カラフルで美しい、こだわりの衣装や美術
  • 理不尽な社会への怒りを込めた力強いメッセージ
  • 運命に挑む若い2人の強さと、ラブロマンス
  • 主人公たちを包む深い家族愛

リヴァーズ家のファミリー、そしてファニーの父フランクは、2人を祝福する。そして親身になって共に戦う家族愛の強さを見せてくれる。

中でもティッシュの母・シャロンのキャラクターは、特に印象深い。この印象深い演技で、レジーナ・キングは、いくつかの助演女優賞を受賞したりノミネートされたりしている。彼女の演じる母親像も大きな見どころだ。

『ビール・ストリートの恋人たち』作品情報

【あらすじ】
舞台は1970年代ニューヨーク・ハーレム。幼なじみだった19歳の少女ティッシュと22歳の青年ファニーは、運命の恋人同士となった。

やがてティッシュはファニーの子どもを身ごもるが、同じ頃、白人警官とトラブルを起こしたファニーは、まったく身に覚えのない罪で逮捕されてしまう。

面会室のガラス越しにしか会えなくなってしまった2人だが、冤罪を晴らしてファニーを助け出そうと、ティッシュとその家族は奔走する。しかしそこには様々な困難が待ち受けていた…。

監督:バリー・ジェンキンス
原作:「ビール・ストリートの恋人たち」ジェイムズ・ボールドウィン著(川副智子訳、早川書房刊)
出演:キキ・レイン、ステファン・ジェームス、レジーナ・キング、コールマン・ドミンゴ ほか
原題:If Beale Street Could Talk
配給:ロングライド
<2018年/アメリカ/英語/119分/アメリカンビスタ/カラー>
字幕翻訳:古田由紀子
2019年2月22日(金TOHOシネマズ シャンテ他全国公開
© 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

longride.jp

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(本ページの情報は2019年2月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

【イベントレポート】「2018年第92回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」主演賞サクラ&佑夫婦が受賞!新人賞『菊とギロチン』W受賞!

f:id:kappa7haruhi:20190211160742j:plain2019年2月10日、文京シビックホールにて「2018年第92回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」が開催されました。安藤サクラ、柄本佑の夫婦の主演賞W受賞ほか、是枝裕和監督『万引き家族』、そして瀬々敬久監督『菊とギロチン』から多数受賞など話題性たっぷりの授賞式となりました。
当サイト「東京★ミニシアター生活」でも登壇者コメントとオリジナル画像を中心にレポートします。

夫婦で主演賞を受賞!安藤サクラ&柄本佑

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主演女優賞は安藤サクラ(『万引き家族』)、主演男優賞は柄本佑(『きみの鳥はうたえる』『素敵なダイナマイトスキャンダル』『ポルトの恋人たち時の記憶』)が受賞。どちらも謙虚すぎる口ごもり気味なスピーチだったものの、二人並んでのインタビューになると二人の目からは涙があふれ、柄本家や奥田家の家族の話題も飛び出した。

安藤サクラのコメント

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「緊張しちゃって、上手く話せなくなってしまった、すみません。今までこういう感覚はなかったんですが『万引き家族』で演じた信代という役は、いまだによくわからなくて。だから、監督が作り上げた役でもあるのかな、と。監督、共演者の方々、スタッフの方々に、今この場所に導いていただいたという気持ちが強いです」

柄本佑のコメント

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「キネマ旬報・新人賞をいただいて以来の受賞です。受賞の実感がないんですが、まわりから『おめでとう』という言葉をたくさんいただきました。こういう賞をいただくと共演者、家族、みんなが幸せな気分になってくれるのがうれしい。昨年亡くなった母にも報告しました。『何でもない日万歳』が口癖だった母も、今日は喜んでくれていると思います」

夫婦W受賞を受けて

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「こんなお祭りさわぎ、一生ない」と涙ぐむ安藤、さらに柄本がコメントを求められると「こういうときは男の人は黙っていていいんです」とフォローした。

助演女優賞は木野花、助演男優賞は松坂桃李

助演女優賞は「今までずっと賞とは無縁だった」と語る木野花が、『愛しのアイリーン』(吉田恵輔監督)の母親・ツル役の怪演で受賞。
助演男優賞は、終始丁寧に頭を下げる好青年感あふれる松坂桃李が『孤狼の血』(白石和彌監督)の新人刑事・日岡秀一役で受賞した。

木野花コメント

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「50年近く役者をやっているんですが、賞とは無縁。『愛しのアイリーン』ツル役は、谷底に飛び降りるような気分でお引き受けしました。新井英樹さんの原作には、とてもたどり着けず、それでも息子を溺愛する母親を私なりに生きられました。振り返ってみると『なんとか生還できた』というくらい、貴重な体験でした。本当に自分1人で取れた賞ではないと、心から思います。ベテランと言われますが、この受賞を励みに、まだまだ精進していきたいです」

松坂桃李コメント

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「キネマ旬報とは7年前に新人賞をいただき、そのとき、今でもついてくれているマネージャーが、ぼく以上にすごく喜んでいたのが嬉しくて『またここに来たい』と強く思ったんです。それからいろんな作品に出会い、いろんな現場で監督・キャストの方・スタッフさんに支えられ、いろんな言葉・思い・刺激、そういった様々なものがすごく支えてくれた7年でした。支えてくださった全ての方にありがとうと言いたいです。30代になっても、着実に、粛々と精進していきたいです」

新人賞は『菊とギロチン』主演でW受賞!

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新人女優賞は『菊とギロチン』(瀬々敬久監督)と『鈴木家の嘘』(野尻克己監督)2作品に主演している木竜麻生(きりゅうまい)が受賞。『菊とギロチン』では女力士の花菊ともよ役、『鈴木家の嘘』では長女・富美役を演じた。
新人男優賞は『菊とギロチン』で眼鏡をかけたアナーキスト・古田大次郎役を演じた寛 一 郎(かんいちろう)が受賞。

受賞にあたり、木竜は終始喜びに涙ぐみ、野尻克己監督のサプライズ登場にも感動の様子を見せた。
一方、殻の堅そうだった寛 一 郎も話しながら、徐々にオープンになり、父・佐藤浩市についても質問にも答えた。最後には『菊ギロ』メンバー(俳優・川瀬陽太、プロデューサー・坂口一直氏)が並んで、2人の受賞を祝福した。

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木竜麻生コメント

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「一生で一度しか頂けない新人賞を、この歴史ある映画賞でいただけて、本当に嬉しく思っています。経験がない中、今回は『菊とギロチン』『鈴木家の嘘』で、自分の思ってもみなかった気持ちだったり、思ってもみなかった出会いだったりをいただけて『自分はこんな風に今まで思っていたんだ』『こんなものが好きだったんだ』ということに気付かせていただきました。この賞は作品に関わったみなさまといただいた賞だと思っています。これからもっと誠実に真摯に、自分とも作品とも関わる方とも向き合っていきたいです」 

寛 一 郎コメント

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「正直、ぼくはあまり賞に興味がなくて…というのも『実感していない』というのが正しいかもしれないですけれど。この賞をいただけるとわかったときに、ぼくを支えてくれる人たちがすごく喜んでくれて。自分がやったことが顕著に形になって返ってくるというのは、それをやった自分への褒美ではなく、支えてくれた人たちへの報恩なんだと解釈し、この賞の価値というのが自分の中に見出せました。新人賞というのは、ある種の期待値でしかないと思うので、これからも映画の中に邁進していけたらと思います」

新設「特別賞」は樹木希林さんが受賞

f:id:kappa7haruhi:20190211185331j:plain今回、故・樹木希林さんが受賞した特別賞は『キネマ旬報』創刊100周年を機に制定した新たな賞とのこと。映画人の業績を讃え、先達への敬意と感謝の意を表すべく制定。受賞代行には、樹木希林の娘でエッセイストの内田也哉子(ややこ)氏が登壇した。

内田也哉子さんコメント「代理で賞をいただくのは感慨深い思いがあります。母は『白黒・善悪で割り切れない、それが人生だ』と常に憂いていたところがあります。映画が人生のほころびや人の心の揺らぎ、目に見えない部分を表していくものだと考えると、映画に携わった母が、誇りに思える存在だと感じます」

 

「キネマ旬報読者賞」は立川志らく

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キネマ旬報読者賞は『立川志らくのシネマ徒然草』で立川志らくが5回目の受賞となった。「私は2年連続5回目の受賞だけど、上には上がいて、川本三郎先生はもっともらっているから、トロフィーじゃなくて旅行券をいただいているそうです。私も迷ったけれど…」とコメント。是枝監督との思い出も語った。


【個人賞】監督賞・脚本賞 瀬々監督代行で川瀬陽太が登壇

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瀬々敬久監督(監督賞・脚本賞)の代行で、俳優の川瀬陽太が登壇。瀬々監督のコメントを代読しながら、持ち前のサービス精神を発揮し、会場を大いに沸かせた。
個人賞の、監督賞・脚本賞の結果は以下のとおり。

  • 日本映画監督賞 瀬々敬久監督『菊とギロチン』『友罪』
  • 日本映画脚本賞 相澤虎之助氏、瀬々敬久氏『菊とギロチン』
  • 外国映画監督賞 マーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード』
  • 読者選出日本映画監督賞 是枝裕和監督(『万引き家族』)
  • 読者選出外国映画監督賞 マーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード』


脚本家・相澤虎之助の代行は『菊とギロチン』プロデューサーの坂口一直氏が登壇。マーティン・マクドナー氏の代行はアソシエイトディレクターの平山義成氏。是枝裕和監督の代行は、製作の依田巽氏。

【作品賞】日本映画・外国映画・文化映画 ベスト・テン第1位

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各作品賞の結果は以下のとおり。文化映画ベストテン第1位の『沖縄スパイ戦史』三上智恵監督、大矢英代監督が登壇。硬派な作品の監督ながらコンビで華やかに。是枝裕和監督の代行は製作の桑田靖氏が登壇。

  • 日本映画ベストテン第1位 是枝裕和監督『万引き家族』
  • 外国映画ベストテン第1位 マーティン・マクドナー監督『スリー・ビルボード』
  • 文化映画ベストテン第1位 三上智恵監督、大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』

三上智恵監督コメント「沖縄戦では20万人あまりの人が亡くなりました。この死を無駄にしないたった1つの方法は、戦争をしないこと。つらい戦争体験を聞かせてくださったおじい、おばあたちの力で押し出されて、私はここに立っています」

大矢英代監督コメント「映画のために語ってくれた全ての体験者の方に受賞を報告したい。彼らが生き抜いたからこそ、今命を受けて生きている沖縄のみなさんと、この喜びを共に分かち合いたい。この作品が一条の光となって、沖縄と私たちの未来を照らしてくれることを願っています。今回の受賞を今後の責任に変え、頑張っていきます」


ビデオ屋さん大賞2018・大賞『カメラを止めるな』

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この日はビデオ屋さん大賞2018の受賞も行われた。大賞は『カメラを止めるな』。同作品は、読者選出ベスト・テンの第2位にも選ばれている。監督の日暮隆之役を演じた濱津(はまつ)隆之が登壇し、プレゼンターのキネマ旬報編集長三浦氏とゾンビポーズをきめた。

濱津隆之コメント「(好評による上映が続き)上映しながらDVDレンタルが始まって『すごい状況になった』と驚いています。たくさんのレンタルビデオ屋さんに、コーナーを作っていただき、ポップや似顔絵で盛り上げていただいたり、ツイッターで盛り上げていただいたり。応援を強く実感し、胸を熱くしています」

キネマ旬報・最新号に受賞者インタビュー掲載!

キネマ旬報 2019年2月下旬ベスト・テン発表特別号

受賞者インタビュー記事は『キネマ旬報 2019年2月下旬ベスト・テン発表特別号』に掲載。充実した内容なので、ぜひ手にとってみてください。
表紙は安藤サクラと柄本佑。着物は先日亡くなった義母の女優・角替和枝さんから譲り受けたものだそうです。

【2/15公開】『盆唄』福島伝統の唄をハワイに託す?! 日本人移民の歴史も紐解く楽士たちの旅

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福島県・双葉町に伝わる「盆唄」の存続問題から始まるドキュメンタリー。ハワイの日系人による”ボンダンス”の幻想的な夜、アニメーションで観る福島へ移住した先祖のストーリー、再生する盆唄。見どころ・聞きどころと希望がいっぱいの、時を越える盆踊りムービー。

2019年2月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー!フォーラム福島まちポレいわきも同時公開!

震災後の双葉町とかつての住人は…

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東日本大震災、津波の影響で起きた原発事故により、帰宅困難地域になった福島県・双葉町。2015年、歌い継がれてきた「双葉盆唄」を絶やしたくない楽士たちは、再び集って練習を始める。
しかし4年間のブランクで、唄の名手の声は思うように出ず、笛の音も心地よくは響かない。そして祭りが行えない今「盆唄の存続危機」が頭をよぎるのだった…。

導入部分では「双葉盆唄」で太鼓を担当し、音楽を愛してきた横山さんをクローズアップ。横山さんは、住むことはできなくても大事なふるさとである双葉町へ、折に触れ様子を見に戻っている。人はおらず動物が走り回る、様子の変わりゆく双葉町にすら、愛着を抱く横山さん。悲壮感はないが、なつかしい思い出にひたるしかない。いつ再び双葉町に人が住めるようになるのかは、まったくわからない。

ハワイで「フクシマオンド」に「ボンダンス」!

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「双葉盆唄」存続に悩む横山さんら楽士たちは、ある日、双葉の人々を撮り続けるカメラマンの岩根愛さんから、ハワイに伝わる盆踊りの存在を聞かされる。ハワイに住む日系人たちの生活を撮影することも、岩根さんはライフワークとしているのだ。

場所が変わり、日本語の歌詞の意味が理解されなくなくなっても、ハワイに移住した日系人の子孫に歌い継がれているという”フクシマオンド”。「一度聞いてみよう、見てみよう」と一行はハワイに向かうことを決意。

そして迎えたハワイ・マウイ島の”ボンダンス”当日。会場では輪になって、日系人だけでなくあらゆる人種の人がみな、浴衣や思い思いの服装のまま、熱心に踊り続ける。
昔は同じ曲を延々と歌いトランスしたという。そんな話を聞きながら、遠くハワイの熱いボンダンスの夜に、福島県・双葉町の楽士たちの心は突き動かされる。

そして横山さんの中で「双葉盆唄」について、ある考えがひらめく。それは「双葉盆唄」を一度自分たちの手でハワイに託し、いずれ子孫の代で町が復興した際に、双葉町に戻し伝えてもらう、という壮大な「伝承のスタートを切る」ことだった…。

 余貴美子、柄本明らが演じるアニメーション

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今は多くの人のふるさととなった福島県双葉町。だが、その住民の中には、かつて「相馬移民」と呼ばれた先祖をもつ人もいた…双葉町住人のルーツを探るこのパートは、味わい深いアニメーションで描かれる。声の出演は、余貴美子、柄本明、村上淳ら。

200年以上前、福島県双葉町がある相馬地域へ、北陸地方からやってきたのが相馬移民だ。よそ者として理不尽な差別を受け、農作業に苦労をしながら長い日々を過ごし、時を経て土地に根付いていった。こうして先祖の「新たな地」は、子孫の「ふるさと」となるのだ。

福島で、ハワイでと繰り返されてきた移民の歴史。その中で、黙々と働き労苦に耐えた人々がいた。彼らの働きを支えてきたもののひとつには「盆唄」があったという…。

作品ニュース

出演者による「双葉盆唄」を生演奏で!

ドキュメンタリーである本作の舞台挨拶で、双葉盆唄の生演奏が聞けるという。映像から飛び出したような名演奏を堪能できる、スペシャルな体験をするチャンスだ。


著名人のコメントチラシ完成

福島を愛する人々から、本作についての熱いコメントを集めたチラシが完成。劇場で手にいれられるとのことなので、ぜひ。

 

オススメしたい『盆唄』

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  • その後の双葉町・帰還困難区域の貴重な映像
  • ハワイマウイ島のボンダンスの幻想的な夜を撮影
  • アニメーションで知る日本国内の移民の歴史
  • 名演奏が蘇る!横山さんら地元民による「双葉盆唄」
  • 壮大な歴史を感じるロードムービーでもある

かつての笛の、太鼓の、唄の名手たちが、自分たちの音とリズムを取り戻していく様はシビれるほど格好いい。

双葉町の櫓(やぐら)で歌われてきた「双葉盆唄」が何度も登場する本作。盆踊りではは、幾度も同じ歌が繰り返し歌われ、その曲で踊ることにより、ある種のトランス状態になるという。劇場で唄を耳にしていく中で、そんな酔いしれるような体験できるかもしれない。

『盆唄』作品情報

福島県の双葉町、ハワイのマウイ島、相馬移民がやってきた北陸・富山を、伝統の「盆唄」でつなぐ、ドキュメンタリー作品。監督は、『ナビィの恋』『ホテル・ハイビスカス』など、沖縄を舞台にした作品が多い中江裕司。
本作は双葉町の盆唄から始まり、日本人移民の歴史を紐解く”盆踊りロードムービー”になっている。

監督:中江裕司(『ナビィの恋』『ホテル・ハイビスカス』)
アニメーション:池亜佐美
出演:福島県双葉町の皆さん、マウイ太鼓 ほか
声の出演(アニメ―ション):余貴美子、柄本明、村上淳、和田聰宏、桜庭梨那、小柴亮太
配給:ビターズ・エンド
<2018年/日本/134分/ビスタ>

2019年2月15日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー!フォーラム福島まちポレいわきも同時公開!

©2018テレコムスタッフ

www.bitters.co.jp

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【2/8公開】『ちいさな独裁者』敗戦直前のドイツで起きた恐怖の殺戮パワハラ騒動…軍服が若き脱走兵のすべてを変える

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偶然見つけたナチス将校の軍服と尊大な態度で周囲を欺き、恐怖政治をエスカレートさせていく若き脱走兵の、狂気の進撃を描く。実在の人物・事件に基づいた驚愕の物語。
「2017年サンセバスチャン国際映画祭」撮影賞受賞、「ドイツ映画賞2018」音響賞受賞・作品賞ほか4部門ノミネート。

壮絶な描写の中に、人間の残忍さ、愚かさ、弱さが浮かび上がり、1945年敗戦間近のドイツが舞台でありながら、現代の社会にも警鐘を鳴らす、優れた心理サスペンスだ。

2019年2月8日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町新宿武蔵野館YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

 
わずかな偶然が、雪だるま式に恐ろしい独裁者を作り上げる

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若き脱走兵・ヘロルトが逃げ惑うどころから始まる本作。殺されるかもしれないという恐怖、寒さと空腹、孤独。そんな中で偶然見つけた軍服は、当初彼が、寒さから逃れるツールに過ぎなかった。

ところが、泥だらけのヘロルトがナチス将校の軍服に着替えたところへ、偶然1人の上等兵が出くわしたとことから、新たな方向へ運命は転がりだす。ヘロルトのつじつま合わせの舌先三寸の言葉に、軍服の威力が魔法のように効いてしまうのだ。
ナチスの圧倒的な権力を知る者であるからこそ、そして初めに出会った上等兵が生真面目だったからこそ、心理的に軍服の威力は強く働きかけてくるのだろう。

権力に弱いという人間の心理は、ときとしてコメディにもなりえる。おそらく、ヘロルトが、初めて残虐行為に及ぶ瞬間までは、彼に好感を持つ観客も多いだろう。
しかし、バレたら死と隣り合わせである嘘をついているヘロルトが、初めて残虐行為に手を染めるまではあっという間だ。それをきっかけに、ヘロルトの行動は歯止めの効かぬ「権力の進撃」へと加速していくのだ。

人を欺き、自分すら欺くようになっていくヘロルトのテクニックが、悪魔的な才能に満ちていることは確かだが、やがて大きな事件となるこの惨劇は、ヘロルト1人によって起こされたわけではない。ヘロルト親衛隊をはじめ、それを支えた膨大な数の人々が存在する。権力者にすがる者、権力者を利用する者、権力者を崇める者。恐るべき独裁者は、多くの権力を取り巻く人々によって、形を保ち、育ち続けるのだ。

権力の象徴である”軍服”を身にまとう影響とは

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コスチューム、中でも軍服・制服は、一定の組織によりその人物の立場を明確化する。軍服や制服を身につけることによる影響の力は、自分にとっても他人にとっても大きい。本作でも、実際の事件でも、何より若き脱走兵・ヘロルトという若い男の中身を豹変させたのは、高官を表す丈の長い軍服や、仰々しい階級章の力だろう。

軍服や、立場を明確化するコスチュームを身につけることにより、人は中身がガラリと変わってしまうという。これはある”特殊な人”に限ったことではない。1971年に米国で行われた心理実験の「スタンフォード監獄実験」を思い起こす人もいるだろう。

「スタンフォード監獄実験」は、一般市民を看守役・囚人役に無作為に振り分けることから始めた心理学的実験で、それぞれの制服を着用し、実験開始の入り口に多少の演出を加えることで、看守役になった善良な一般市民が、みるみるうちに「処罰」の名のもと残虐行為に染まっていくという恐ろしい展開に。この実験は『es [エス]』(2002年日本公開/オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督)として映画化されている。

危険すぎるこの実験は、わずか7日で中止となり、現在は禁止されているという。看守服と囚人服、これもまた大きな影響力があるコスチュームなのだろう。権威や立場を示すコスチュームは、ときとして人を狂わせるような威力を見せるのだ。

「罰のない残虐行為」の誘惑はいつの世にも存在する

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罰せられないことが分かっていれば、罪に手を染める可能性は誰にでもあると言われている。もちろん可能性、ということであり、いつなんどき、誰もが必ず犯罪に走るわけではないだろう。

しかし、死の危険を味わった直後や、今後の人生がまるで読めないときであればどうだろう。人が犯罪に手を染める可能性は、ぐっと高まるのではないか。本作における、戦時下で自国の敗戦が色濃いとき、混乱に乗じた暴力が横行される世相というのも、十分その可能性を高める要因になり得るだろう。

権力を手にした人間の、歯止めの効かない危うさは、いつの世にも存在する。もちろん今現在もどこかでその闇は、そこここで渦巻いていて、日々、人の生き死にに結びつくような信じられないパワハラ・いじめのニュースが耳に入ってくる。本作は、そんな現代の権力にまつわる問題を考えるきっかけにもなりうるだろう。

作品ニュース

マイケル・ムーア監督もコメント

過去の出来事では片付けられないテーマである本作は、時代を見つめ、鋭く切り込むマイケル・ムーア監督も注目の作品だ。

 
トークイベント付き試写開催

公開に先立ち、津田大介氏、藤えりか記者のトークイベント付き試写が開催予定されている。試写申込は、1月21日いっぱいまで受付。

 

オススメしたい『ちいさな独裁者』

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  • 実在の人物に基づいた物語
  • 迫力と緊張感ある戦時下の異様な空気を体感
  • 逃げ場なしの現場で戦ったキャスト&スタッフ
  • 現代に通じる「権力」についての気づき
  • 「主人公・ヘロルトとは何者か?」答えは観客に委ねられている

監督は徹底して歴史、心理学についてリサーチ。一方、セットや演技、映画としてのトーンは思い切って自由に演出をしたそうだ。しかし、軍服についてはその存在に重きを置いて、忠実に再現している。

悪夢のようなシーンを撮るにあたり、俳優も監督も、ショック状態に陥りながらの撮影になったという。心理的に衝撃を受ける濃厚な作品には見る側にも逃げ場はない。

権力の怪物になる前に立ち止まれ。 人間が正気を保ちながら、まっとうに機能している社会を生きていくためには、常に自戒が必要だと思い出させてくれる作品だ。

『ちいさな独裁者』作品情報

【あらすじ】
終戦間近の1945年4月。ドイツは敗戦色濃厚で、兵士の略奪も頻発し混乱していた。命からがら逃げまどっていた若き脱走兵・ヘロルトは、道端に打ち捨てられた車を見つける。そこにはナチス将校の軍服があった。
軍服を身につけて大尉を名乗り、架空の任務をでっち上げながら、出会った兵士を次々と服従させていくヘロルト。強大な”借り物の権力”の快楽に酔いしれ、傲慢な態度をエスカレートさせていき、やがて人間の生死にも無頓着になっていく……。

 

監督・脚本:ロベルト・シュヴェンケ(『RED/レッド』『きみがぼくを見つけた日』)
出演:マックス・フーバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ ほか
原題:Der Hauptmann
英題:The Captain
配給:シンカ/アルバトロス・フィルム/STAR CHANNEL MOVIES
<2017年/ドイツ=フランス=ポーランド/ドイツ語/119分/カラー/シネマスコープ/5.1ch>
日本語字幕:吉川美奈子
提供:ニューセレクト/シンカ/東北新社

2019年2月8日(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町新宿武蔵野館YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

© 2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film

dokusaisha-movie.jp

 

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(本ページの情報は2018年12月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

【1/12公開】『ひかりの歌』短歌と映画のコラボ、みずみずしい4話長編オムニバスドラマ

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五・七・五・七・七の三十一音が基本の短歌。本作はこの短歌を原作としている、4話の長編オムニバス作品だ。
原作となった短歌は「光」をテーマとしていて、本作への映像化を前提とした短歌コンテストが行われ、その中から選出された4首。

もともと良き短歌とは、情景が映像のように浮かぶものだという。本作では、各章とも映像と短歌が溶け合っていくような、コラボレーションを見せてくれる。
どこか孤独でありながら、誰かを優しく思いやる……そんな4人の女性が、それぞれの話のヒロインだ。

2019年1月12日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

4章それぞれのヒロインの、ナチュラルな輝き

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各話のヒロインを演じているのは、北村美岬、伊東茄那(かな)、笠島智(かさじま・とも)、並⽊愛枝(あきえ)の4人の女優。それぞれナチュラルなキャラクターを等身大で演じている。

4人の中で、最も実績を積んできた女優は、第4話のヒロインを演じた並⽊愛枝。かなりの実力派と評判の高く、映画『14歳』(2007年公開、監督:廣末哲万)で、第22回高崎映画祭・最優秀助演女優賞を受賞。さらに、映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(『2008年公開、監督:若松孝二)では、新左翼活動家・永田洋子を演じ、第2回アジア太平洋映画賞(APSA)・最優秀女優賞アジアの5人に選出されている。

そんな並⽊も本作では、落ち着いた慈愛に満ちた市井の女性を演じる。ただそこにいるだけで強い内面を感じさせる、しなやかな存在感が見事だ。

各章に登場するアマチュアヴォーカリスト

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本作のタイトルに含まれる”歌”だが、これは短歌という意味だけではないようだ。歌唱する歌も作中に登場する。4話いずれのストーリーも、ヒロインを含む登場人物のうち、誰かがヴォーカリストなのだ。

アマチュアイズムを感じさせるタイプの、素朴だったり、ちょっとヘンテコだったりする歌が、さまざまなライブシーン(ときには定食屋で)歌われる。

彼らは、日常に歌や音楽がある人たちだ。同じように日々音楽に触れている人には、より親近感が湧く物語、リアルな情景として心に響くだろう。

 

映像の結びに現れる短歌は、すっと心に馴染んでいく

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各章(各話)の冒頭近くで、原作となった短歌がスクリーンに浮かぶ。原作の短歌なので当然ではあるが、見事にラストシーンにマッチする。あるいは最終的に、ヒロインが詠み人となったようにも見える。腑に落ちる、というか心地よくはまる加減がとてもいい。

第1章 反対になった電池が光らない理由だなんて思えなかった(加賀田優子)
第2章 自販機の光にふらふら歩み寄りごめんなさいってつぶやいていた(宇津つよし)
第3章 始発待つ光のなかでピーナツは未来の車みたいなかたち(後藤グミ)
第4章 100円の傘を通してこの街の看板すべてぼんやり光る(沖川泰平)

作品ニュース

クラウドファンディング目標金額を上回り達成

クラウドファンディングによる支援を求めることが多い、ミニシアター系作品。本作もチャレンジし、目標金額を達成した。公開前から、期待値の高い作品であることがわかる。


心温まる作品にふさわしい「草の根宣伝」

公開初日に向け、本作関係者が飲食店や映画館などに足を運び、草の根宣伝を続けている模様。
「ここでフライヤーを置いてもらった」「ポスターを貼ってもらった」といった、ツイートが『ひかりの歌』公式アカウントから連投されている。「ガンバレ〜!」と応援の言葉をリアルにつぶやきたくなるほどの連投だ。

 

オススメしたい『ひかりの歌』

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  • 呼吸をするようにナチュラルでリアルなヒロインと演技者
  • さまざまなアマチュアミュージシャンの存在
  • 短歌と映像のコラボレーションの巧みさ
  • 誰かを思うヒロインを優しい眼差しで見守るような世界感

本作は、だれもが声を張ることなく、力がこめず、のびのびと演じている。力まず自由に演じているところに、ドキュメンタリーと見間違える場面もある。
おそらく、実際に演技未体験という出演者もいるだろう。アマチュアイズムを感じさせる俳優もいれば、プロフェッショナルを感じさせる俳優もいて、両者が混在しているのが面白い。しかし、それが決して不自然ではない。

4話いずれのヒロインとも、だれもが少し寂しそうであり、孤独を抱えているようで切ない。しかし「カメラの視線」は彼女たちを暖かい眼差しで見守り、彼女たちを照らすような光のぬくもりがある。
そんな世界観により、観終えると、孤独を知りつつも心がほっこりと温かくなるような感覚を味わえるだろう。

『ひかりの歌』作品情報

【あらすじ】
4話(章)の長編オムニバス作品。舞台は都内近郊。誰かを深く思いながら、それを胸に秘めたままのヒロインたちの日々と、次へと踏み出す一歩を描く。キャッチコピーは"だれかがをおもう気持ちがこの世界のひかりになる"
各ヒロインは、高校の美術臨時講師をしている詩織(第1章)、閉店近いガソリンスタンドで働き、アマチュアランナーでもある今日子(第2章)、亡き父への思い出の地・北海道へ旅するヴォーカリスト雪子(第3章)、長く行方不明だった夫が突然帰ってくるも、動揺せず受け入れる幸子(第4章)。

監督・脚本:杉⽥協⼠
原作短歌:加賀⽥優⼦、後藤グミ、宇津つよし、沖川泰平
出演:北村美岬、伊東茄那、笠島智、並⽊愛枝、廣末哲万、⽇髙啓介、⾦⼦岳憲、松本勝、⻄⽥夏奈⼦、渡辺拓真、深井順⼦ 佐藤克明、橋⼝義⼤、柚⽊政則、柚⽊澄江、中静将也、⽩⽊浩介、島村吉典、鎌滝和孝、鎌滝富⼠⼦、内⾨侑也、⽊村朋哉、菊池有希⼦、⼩島歩美、岡本陽介 ほか
配給:Genuine Light Picture
<2017年/日本/153分/カラー/スタンダード/G>
2019年1月12日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

© 光の短歌映画プロジェクト

hikarinouta.jp

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【1/5公開】『迫り来る嵐』 連続猟奇殺人事件を追う男の運命は? 香港返還時代が舞台のリピート必至のミステリー!

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東京国際映画祭、アジア・フィルム・アワードなどで、数々の映画賞を受賞。初の長編作品にして「非常に良くできている」と多くの映画人をうならせた。クライムムービーだが、観客は通常の作品とは一線を画す、意外な後味を味わうこととなる。

香港返還直前の中国の小さな町が舞台。庶民にとって心もとない時代に「猟奇殺人事件の真相を暴くこと」に生きがいを見出した、男の生き様はあまりに切ない。

2019年1月5日(土)新宿武蔵野館ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

刑事物でも探偵物でもない、猟奇殺人事件を追うミステリー

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本作の主人公は刑事でも探偵でもない。工場の警備をしている素人の男であるのが、この作品の大きな特徴だ。

描かれる時代は1997年、香港が英国から中国に返還された年。主人公である警備員のユィは、職場の製鉄所が寂れていくことで、時代の変化を思い知らされる日々を過ごしている。そんなとき、女性が被害者の連続猟奇殺人事件が起こる。

そんな生活だからこそ「なんとか手柄を立てたい」という野望に火がついたユィは、周囲の人々を巻き込みながら、犯人を捕まえることに固執していく。

1997年の中国の空気感をリアルに描く

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激動の時代となった90年代の中国には、独自の雰囲気があるのだという。急変しつつある時代の中で、躍進する人々と、取り残されて無力感にさいなまれる人々は、確実に分断されていったのだろう。

企画・脚本も担当しているドン・ユエ監督は、資料を集めリサーチを行い「90年代の中国」を色濃く残す地域を探し、最終的に湖南省でロケを行った。
常に雨に濡れそぼつ荒涼とした町は、憂鬱ながら、観るものを惹きつけてしまう哀愁の風景といえるだろう。

人間というミステリー、その謎と闇の深さ

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猟奇的な連続殺人事件は、事件に執着するユィの身近なところで起き続ける。すぐそばに犯人の匂いを感じているユィは、まわりの人々を巻き込みながら真相に近づこうと突き進む。

何かに執着する人の心は、暴走するものだ。やがて自分ではコントロールできなくなっていってしまう。人間というミステリー、その謎と闇は予想外に深く、だれもが永遠に解くことができないのかもしれない。

本作には、そんな人間の心理そのものを差し出されたような、えも言われぬ味わいがある。謎解きの後に、より大きな謎が残るかもしれない。心して観るべき濃厚な作品だ。

女優ジャン・イーイェンの鬼気迫る演技

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謎めいた恋人イェンズを演じるのは、ジャン・イーイェン(江一燕)。彼女が登場すると、その存在感に画面が支配されるような強烈な力を感じる。

自分を事件に巻き込んでいくユィに真正面から挑む場面では、静かな狂気を漂わせる。ユィ役のドアン・イーホンに迫る表情と間。その緊張感がたまらない。今後も活躍が楽しみである。

作品ニュース

「何度も観たくなる」という前評判にリピーター割引決定!

ミステリー作品には、さまざまなヒントが散りばめられているものだが、本作には観終えた後に「あれ?」とふと引っかかり、確認したくなるシーンや一瞬が、幾つかあるはず。人によってもそのポイントは違うかもしれないが、2回3回と繰り返し観たくなる人もいるだろう。
公開前にリピーター割引が決まったのは、その前評判ゆえだろう。


まだまだ伸びしろあり! 台湾で映画賞受賞

また新たに受賞歴を重ねている。アジアを中心に高い評価を得ている。今後世界へと評判が行き届くことを期待したい。

 

オススメしたい『迫り来る嵐』

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  • 香港返還目前の哀愁あふれる中国と、その時代の人々をリアルに再現
  • 通常のミステリーではないダークな後味、狂気と緊張感に満ちた演出
  • リピートしたくなる、緻密な仕掛け
  • 人の心理に潜む謎について考えられる作品
  • 驚きの真実が明らかに……

時代に追い詰められた男の身に起こったミステリー。猟奇的な連続殺人事件の真実はいったいどこにあるのか?

その結末を見届けたうえに、さらなるミステリーが用意されている。ぜひ劇場でこの世界観を体験してほしい。

『迫り来る嵐』作品情報

【あらすじ】
1997年、中国の小さな町の国営製鉄所で働くユィは、泥棒検挙で実績を上げている警備員。近隣では猟奇連続殺人事件が起こっており、3人目被害者が発見される。ユィは現場に赴くと、懇意にしている警部から情報を聞き、刑事気取りで事件に首を突っ込んでいく。ある日、不審者を見つけたユィは、製鉄所の部下リウとともに、危険な追跡をするが……。

監督・脚本:ドン・ユエ(董越) 
出演:ドアン・イーホン(段奕宏「ミッション:アンダーカバー」)、ジャン・イーイェン(江一燕「レイン・オブ・アサシン」)、トゥ・ユアン(杜源「草ぶきの学校」)、チェン・ウェイ(鄭偉) 、チェン・チュウイー(鄭楚一)  ほか
原題:暴雪将至 英題:The Looming Storm 
配給:アット・エンタテイメント
<2017年/中国/カラー/中国語/119分/シネスコ/5.1ch/G>
字幕翻訳:牧野琴子
2019年1月5日(土)新宿武蔵野館ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
© 2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited

『迫り来る嵐』公式サイト

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【12/28公開】『それだけが、僕の世界』イ・ビョンホン演じる兄が、サヴァン症候群の弟との絆をたぐる感動作

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韓流スターであるイ・ビョンホンは、かつてないタイプの役作りをし、弟役パク・ジョンミンは、サヴァン症候群の特徴を適確にとらえ、ピアノを奏でる。さらに老母演じるユン・ヨジョンの涙を誘う演技も加わり、三者三様、それぞれの役を生きる俳優たちと、そのアンサンブルを堪能できる本作。

笑ったり泣いたりしながら、人間の可能性、そして「人と絆を結ぶことで世界が豊かになる」ということを気づかせてくれる、ハートフルストーリーだ。

2018年12月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

朴訥なボクサーの兄を演じたイ・ビョンホンの新たな魅力

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今回、主演ながらスターオーラを封印したイ・ビョンホン。
図太そうな立ち居振る舞いで、カッとするとすぐに手が出てしまう元ボクサーのジョハを、ときにコミカルに、ときにシリアスに演じる。
肉体はしっかりボクサーであることを感じさせる筋肉美だ。一方、ぱっと見に「この前髪は……」と気になってしまうが、これは「見た目に気を使わない」というキャラクターを表現しているのだろう。

ジョハは、中年のオジさん丸出しでありながら、同時に捨てられた少年の自分を心の奥に住まわせたままでいる。それゆえに優しく、それゆえに一度火がつくと激昂してしまう。心の奥に優しさを奥に秘めた不器用さ(なんとなく俳優・遠藤憲一っぽさを感じる)は、ジワジワと愛おしくなってくる。
今までにない役作りで、新たな魅力を発揮しているだけに、スターであるイ・ビョンホンに今まであまり思い入れがなかった人にも、本作での彼は強く心に残るだろう。

コミカルでピュア。サヴァン症候群のピアニストを演じたパク・ジョンミンの豊かな表現

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1988年公開の映画『レインマン』(バリー・レヴィンソン監督、トム・クルーズ、ダスティン・ホフマン主演)以降、どんどん認知度が上がってきた「サヴァン症候群」という症例。知的障がいや発達障がいを抱える一方、特殊な才能が開花する人たちだ。

今回、パク・ジョンミン演じるジンテは、障がいにより自立できず母に頼りきりな日常を送りながら、ピアニストとしての才能を芽生えさせた人物。特徴的な動きやしゃべり方をものにし、ピアノも代役なしで弾きこなしている。撮影3カ月前から猛特訓し、数々のクラシック曲を覚えたそうだ。

技術的にも素晴らしいが、パク・ジョンミンの豊かな表現はその先にある。無表情さを利用したコミカルな演技でさんざん観客を楽しませた後、クライマックスでは感動的な表情を見せる。胸がいっぱいになる瞬間を、ぜひ劇場で堪能してほしい。


苦労を重ねた母の献身。ユン・ヨジョンの凄みある演技

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弟のジンテを溺愛する親バカの母インスク。しかし、それが不快にならず可愛らしく見えるのは女優ユン・ヨジュンの腕なのだろう。一方で、ときに兄ジョハに心ない言葉を浴びせてしまう、愚かさもリアルな老母に見える。
作品によってはハイソなマダムを演じることもあるユン・ヨジュンだが、本作では、かなりの庶民寄りの母親役だ。

なぜ母インスクは、若き日にジョハを捨てて家を出てしまったのか、そして今、なぜまた家を空け、兄弟を2人きりにするのか。様々な悲劇を乗り越え、ときにはドロップアウトする母インスクには、愛と意地が心を打つ、凄みあるドラマが用意されている。

作品ニュース

アドリブ満載でノリノリだったイ・ビョンホン

『それだけが、僕の世界』では、芸達者な役者が揃ったことで、アドリブが満載になったという。軽妙なやりとりが楽しめるのも本作の魅力だ。
メイキングには各俳優のコメントも収録、作品を観る前でも後でも楽しめる。

イ・ビョンホン&パク・ジョンミンよりメッセージ映像

主演2人から、日本のファンに熱いメッセージが到着。

 

オススメしたい『それだけが、僕の世界』

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  • 無骨なボクサーを演じるイ・ビョンホン新たな魅力
  • オーケストラと共演するパク・ジョンミンの天才ピアニストっぷり
  • 母の献身を体現したをユン・ヨジョンの涙を誘う演技
  • 過去を乗り越えようとする兄ジョハのドラマ
  • 常に飽きさせないエンタテイメント作品

前半は、障がいを抱え「自立を望めない日常」というイメージの弟・ジンテだが、後半になるとピアノを弾く姿が中心に描かれ、クライマックスではその喜びを爆発させて見せる。そのパク・ジョンミンの豊かな表情が、実に感動的。
原因をはじめ、まだ謎の多いサヴァン症候群だが、本作では、まるでその秘密を覗き見たような気持ちになれる。

ボクシングだけに没頭し孤独に生きてきた兄と、ピアノとゲームに没頭し母に守られてきた弟。両極端にそれぞれの「それだけ」を生きてきた兄弟が、お互いの世界を分かち合い、自分の世界を豊かにしていく姿は、兄と弟、そして人と人が絆を結ぶことの素晴らしさを教えてくれる。

『それだけが、僕の世界』作品情報

【あらすじ】
孤独の中で自分の拳だけを頼りに生き、東洋チャンピオンにまでのぼり詰めた元プロボクサーのジョハ。しかし今では定職も住む場所もなく、その日暮らしをしていた。そんなある日、子どもの頃、家出した母と17年ぶりに食堂でバッタリ再会。家に招かれ、初めてサヴァン症候群である弟・ジンテの存在を知る。
自分を捨てた母、そして一人では生きていけず母にベッタリの弟と、ギクシャクした関係のまま、生活のため、家に住み着いたジョハだったが、ジンテの天才的なピアノの腕を目の当たりにすると、次第に心が動かされ……。

監督:チェ・ソンヒョン
出演:イ・ビョンホン(『天命の城』)、パク・ジョンミン(「アントラージュ~スターの華麗なる人生~」)、ユン・ヨジョン(『ハウスメイド』) ほか
原題:그것만이 내 세상 英題:Keys to the Heart
配給:ツイン
<2018年/韓国/120分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/G>
日本語字幕:本田恵子
2018年12月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
© 2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED

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