東京・ミニシアター生活

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【11/11公開】『映画(窒息)』モノクロで描く、国家も言語も失った時代の濃厚な心理劇

言葉が失われたはるか遠い時代に、自給自足の生活を送る1人の女。そんな彼女に引き寄せられ、男たちがやってくる……。モノクロ映像にセリフはなし。主演は和田光沙(『岬の兄妹』『菊とギロチン』)、ほかにモデルでもある飛葉大樹やベテラン俳優・寺田農ら5人のキャスト。監督は本作が長編第2作めとなる長尾元。自然と廃墟の中で人間の欲望が渦巻く意欲作。

2023年11月11日(土)K’s cinemaほか全国順次公開

一人、廃墟で暮らし自然とともに生きる女

家族を持たず、孤独に暮らす女の日常は、単調なルーティーンだ。川に出かけ水浴びをし、生活のための水を汲み、糧となる木の実や植物を採取する。笑顔を浮かべるのは主に食べ物を味わうとき。そしてときに雨が降れば、雨だれとの音遊びに興じる。

悪夢に飛び起きても一人、口にした毒キノコに当たって苦しんでも、一人。倒れたまま自然治癒に任せ、回復するとまた日常のルーティーンへと戻っていく。そんな彼女の元に幾種類かの男たちが近づいてくることで、物語が転がり始める。

言語がなくなった世界で、登場人物たちは言葉を交わすことないため、本作にはセリフがない。そこに音楽が効果的にはめ込まれている。そして、川のせせらぎなど自然の環境音のほか、ときに登場人物たちは、ため息や苦しみのうめき声、怒りの唸り声を漏らす。

シンプルな世界で浮かび上がる人間の本質

女は行商の老人とは物々交換をする。交渉ごとも身振り手振りで意思疎通を試みる。しかし誰もがフェアな取引をしにやってくるわけではなく、侵略者に狙われれば一方的に強奪されてしまう。牧歌的なばかりでなく、野蛮な恐ろしい時代でもあるのだ。

奪われれば、悔しさに突き動かされ咆哮するばかり。そんな女の姿に現代の女性の姿が重なるようにも見える。原始的な暮らしの世界であっても現代であっても、理不尽に奪われる人の姿は、本質的には何ら変わりがないのかもしれない。

恐怖の裏側で芽生える欲望

恐れを克服する際に、人はときに残酷になる。そうして自分の中のダークな面を育てていく。負の経験を重ね、欲を深め、徐々にいろんな顔を持つようになる。恐怖と欲望は裏返しだ。

女はたびたび、悪夢にうなされることで眠りから目覚める。そんな悪夢が、やがて彼女を疑念へと導くことにもなる。

こうして、ごく限られた人数のかかわり合いの中でも各人の心理は徐々に変化し、関係は突然ひっくり返されることもある。そうして、この物語は不規則にうねっていく。

作品ニュース

K’s cinemaでトークショー開催

オススメしたい『映画(窒息)』

  • モノクロの映像で、原始的な人間の本能が描かれる
  • 純度の高い世界で発生する人間関係と事件
  • 欲望、恐怖、怒り…裏返る心理、そして予想外の展開へ

『映画(窒息)』作品情報

 【あらすじ】
廃墟のような建物に住む一人の女(和田光沙)。言葉のない世界で原始的な自給自足の生活。狩猟で蓄えた食料を行商人(寺田農)と物々交換したり、女の体と食料を目当てに来た山賊(仁科貴)に襲われたりするが、そんな不測の事態にもめげることなくたくましく生きている。

ある日女の仕掛けた罠に一人の若い男(飛葉大樹)が掛かっていた。家に連れて行くと、何故か女になつく若い男。女も情が移ったのか、二人は共同で生活し始める。そんな日常が続く中だんだんと人間の欲望の姿が明らかになっていく。暴力・セックス・食欲……そして世界は崩壊に向かって動き始める……。

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監督・脚本:長尾元
出演:和田光沙、飛葉大樹、仁科貴、田嶋悠理、仁木紘、寺田農
配給:トラヴィス
<2022年/日本/モノクロ/DCP/108分/ユニビジウム/ステレオ>

2023年11月11日(土)K’s cinemaほか全国順次公開

tissoku.com


©2022「映画(窒息)」製作委員会 

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