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【12/8公開】『VORTEX ヴォルテックス』ギャスパー・ノエ監督カリスマを主演に迎え「老夫婦の終焉」を静かな迫力で描く

鬼才ギャスパー・ノエの新作にして異色の「静」のドラマ。元医師で認知症になった妻と暮らす、映画評論家の夫。2人の生活には日々さまざまな問題が起こり、穏やかとは言えなくなってしまう……そんな老夫婦の人生の終わりを、スプリットスクリーン(2画面分割)を駆使し、ドキュメンタリータッチで描く。主演に映画監督のダリオ・アルジェントと伝説の女優フランソワーズ・ルブランを迎えている。

2023年12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷新宿シネマカリテヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

全編通してのスプリットスクリーン

本作は全編を通し「スプリットスクリーン」。2つのスクリーンが並んだ状態で、同じ時間を映し出す仕掛けだ。当初は高齢者の「孤独な時」を強調する目的であり、一部にだけ採用する予定だったが、ギャスパー・ノエ監督は撮影後の編集をしながら、登場人物の一方がフレームから離れ、1人だけになったとき、そこにいない「彼または彼女が何をしているのかを、同時に、かつ、ずっと見ていたかったことに気づいた」のだという。よって、追加の撮影が行われ、全編を通しての仕掛けになったのだ。

2つの画面はそれぞれ「夫の視点」「妻の視点」を描くことが中心ではあるが、ときには息子の行動を追うこともあり、開放的に活用される。何か事件が起きるとその裏側で「知らぬが仏」といった様子の別の人物がいる。それを同時に味わうことができるのはカットバック(2つのシーンを交互に入れ込む描写方法)以上に楽しめる。

ヨーロッパ映画界の2人のカリスマが主演で共演

本作は主演のキャストが多くの人を驚かせた。本業が監督のホラーの帝王ダリオ・アルジェントが夫役に。また、デビュー作『ママと娼婦』(1973年)娼婦ヴェロニカ役で鮮烈な印象を残した伝説的女優フランソワーズ・ルブランが妻役に。

ギャスパー・ノエ監督と20年来の友人だという80歳のダリオ・アルジェントは、娘からの説得に後押しされ、初主演のオファーを受け入れた。母国語ではないフランス語に苦労しながら「自分の存在を全て注ぎ込んだ作品となった」と語っている。

一方、フランソワーズ・ルブランは徹底的に研究したという認知症をリアルに体現。その見事な説得力が、ギャスパーノエ監督が狙った「ドキュメンタリーを見ているような感覚」を観客に与えているのだろう。

ギャスパー・ノエ監督「静」の作品

近年、ギャスパー・ノエ監督自身も、死を意識するような大病を経験。病後の回復期間にコロナ禍が相まって、幸か不幸か、じっくり本作について思いを巡らせる時間が取れたのだという。ちなみに、昭和の日本映画にもインスパイアされたそうだ(『生きる』 <1952年/黒澤明監督>、『楢山節考』<1958年/木下恵介監督>『心中天網島』<1969年╱篠田正浩監督>など)。

しかし、老夫婦の終焉を描くとは言っても、それは「美しく穏やかな日々」ではなく、また人物像は退屈なステレオタイプの高齢者ではない。本作では暴力もセックスも封印し「静」の作品になっている……とはいうものの、垣間見える狂気や愛人問題なども出てきて、ギャスパー・ノエ監督の描いてきたテーマや要素が姿を変えてそこここに脈々と波打ち潜んでいるのを感じ取れる。

作品ニュース

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オススメしたい『VORTEX ヴォルテックス』

  • 鬼才ギャスパー・ノエ監督の新境地「静」のドラマ
  • 主演は映画界のカリスマ
  • 全編通して効果的なスプリットスクリーン
  • 驚くべき状況が次々と訪れる老夫婦の終焉

『VORTEX ヴォルテックス』作品情報

 【あらすじ】
映画評論家である夫(ダリオ・アルジェント)と元精神科医で認知症を患う妻(フランソワーズ・ルブラン)は2人暮らし。離れて暮らす息子(アレックス・ルッツ)は両親を心配しながらも自身も問題を抱えていて、自分の子を連れて家を訪れては、最後に金を無心する。

心臓に持病を抱える夫は、日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがて、日常生活に支障をきたすようになる。そして、ふたりに人生最期の時が近づいていた…。

youtu.be

監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ ほか
原題:VORTEX
提供:キングレコード、シンカ
配給:シンカ
<2021年╱フランス╱フランス語、イタリア語/148分/カラー/スコープサイズ╱5.1ch/PG12>
字幕翻訳:横井和子
2023年12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷新宿シネマカリテヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
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