アーティストである恋人の成功を目前にした平凡なヒロインに芽生えた「私だってもっと注目されたい」という承認欲求。その思いが、彼女をある種の肉体改造へと駆り立てる。果たして行く先に待つのは、破滅か幸福か? 嫌悪と共感を呼ぶメディケーション・ホラー。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で絶賛され、欧米を中心とする世界の映画祭を圧巻、アメリカではスマッシュヒットを飛ばし拡大上映となった話題作。
2023年10月13日(金)新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかロードショーほか全国順次公開
私だって注目されたい
カフェで働くヒロイン・シグネの恋人は、そこそこ人間性がクズの売れないアーティスト。そんな彼・トーマスが、成功をつかもうとすると、シグネの中に「私だって、もっと注目されたい」という欲望が芽生える。
近しい人の成功が承認欲求に火をつけることは珍しくない。若ければ若いほど敏感な感受性が働き「私ももっと!」という承認欲求に強く突き動かされるだろう。それがプラスに働く場合もあるし、マイナスに働く場合もある。そして、本作はとことんマイナスに働くパターンを描いている。その振り切りが、シリアスを飛び越え、本作を見事なブラック・コメディに仕上げている。
グロテスクだが魅力的なコメディを編み出す脚本と俳優たち
愚かな行動に走るヒロインに、嫌悪だけでなく共感を覚えてしまうのが、この作品の不思議な魅力。それは主演女優クリスティン・クヤトゥ・ソープの力もあるが、何しろトーマスが尊敬できる人柄でない、といった細かな設定が絶妙なのである。
余談だが、恋人トーマス役のエイリック・セザーは美術や映像、パフォーマンスと幅広い分野で活躍、ノルウェーの国立美術館などにも作品が収められている本物のアーティスト。実際のお人柄はきっと良いものと想像する。
そのほかの登場人物たちも、キャラクターがクッキリと立っていて「承認欲求モンスター」ヒロインの歯車にグイグイと噛み合ってしまうのだ。
「承認欲求」は現代のホラー
世界的にSNSが生活に浸透して以来「イイネを欲しがる」という表現はよく耳にするようになった。現在、誰であろうと、自分の発言や存在を、インターネットを通じて世界中にシェアしやすくなり、一般人の承認欲求も自然と高まっている。
また、他人の関心を引きたがる目的で、病気を作り出したり自らを傷つけることをいとわない「ミュンヒハウゼン症候群(作為症)」という一種の精神疾患が、昔から存在してきた。現代特有の承認欲求の高まりが、作為症をより過激なものにしていく。ヒロインのグロテスクな暴走こそが、まさに現代のリアルなホラーなのだ。
作品ニュース
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『#シック・オブ・マイセルフ』
— 映画配給会社クロックワークス (@KlockworxInfo) 2023年10月12日
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2.監督の短編映画を公開中
YouTubeにてクリストファー・ボルグリ監督の、2021年の短編作品を公開中。本作に共通するおそろしい世界観が広がっている。グロテスクな描写もアリ。閲覧注意!
オススメしたい『シック・オブ・マイセルフ』
- 嫌悪と共感を呼ぶ「承認欲求モンスター」のヒロイン
- 恋人、友人、業界の人々とクセのある人物が続々登場
- 暴走し続ける寓話的ブラック・コメディ
- 最後まで引き込まれ続ける展開
『シック・オブ・マイセルフ』作品情報
【あらすじ】
シグネ(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)の人生は行き詰まっていた。長年、競争関係にあった恋人のトーマス(エイリック・セザー)がアーティストとして脚光を浴びると、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られ、自身が注目される「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートしていき……。
脚本・監督:クリストファー・ボルグリ
出演:クリスティン・クヤトゥ・ソープ 、エイリック・セザー、ファニー・ベイガー ほか
原題:SYK PIKE 英題:SICK OF MYSELF
配給:クロックワークス
<2022 年/ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フランス/97 分/COLOR/ノルウェー語・英語/ビスタ/5.1ch/PG-12>
字幕翻訳:平井かおり
2023年10月13日(金)新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかロードショーほか全国順次公開
© Oslo Pictures / Garagefilm / Film I Väst 2022
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