東京・ミニシアター生活

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【11/1公開】『CLIMAX クライマックス』地獄のパーティ、理性を奪われたダンサーたちの一夜

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鬼才ギャスパー・ノエの最新作は、実在の事件をモデルにしたワンシュチュエーションもの。望むと望まざるに関わらず、薬物入りのサングリアを煽ったダンサーたちの、欲望や憎悪にまみれた、阿鼻叫喚の集団トランスが描かれる。美醜を詰め合わた狂乱パーティに巻き込まれ、身を委ねたような、臨場感溢れる強烈な97分体験。

2019年11月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開  

圧巻のダンスパフォーマンスと個性あふれるキャラクター

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事件の一端を見せる不可解なオープニングから一転、全てを飲み込むような、ダンスシーンが始まる。クレーンを使用し、上から見下ろすアングルを活用した、総合的に完成度の高いパフォーマンスだ。

さまざまなジャンルから選ばれたアスリート的なダンサーたち22名が集結し、フルパワーで観せるダンスシーンは、作品全体と切り離して観ても、濃厚な観ごたえがある。

キャストのほとんどが、鍛え上げた肉体を持つバリバリの現役ダンサーで、ストレートプレイの演技は未経験者も多いそうだが、芝居パートもしっかり演じる。

それぞれに与えられた、あるいは本人そのままの、個性的なキャラクター。退廃的な者、真逆にストイックな者。兄妹がいたり、ナンパ師がいたり、メンヘラがいたり…具体的な脚本ではなく、即興的に演じているそうだが、かなりリアルだ。

臨場感あふれる地獄のパーティ

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もともと一癖二癖あるダンサーたちに、やがて異変が起こりはじめる。振舞われていたフルーツたっぷりのサングリアに、薬物が入っていたことに、冷静なヒロイン・セルヴァが気づく。しかしすでに時遅し…何がどれだけ入っているのか、誰が入れたのかもわからない。

やがて犯人探しもままならないほど、全員が酩酊していく。自己の感情、他者への憎悪、ねじれた関係。隠されていた負の感情や欲望がどんどんむき出しになり、増幅されていく。

DJがかけているのか、脳内の音楽なのかもわからぬまま、激しいビートが響く中で、数十人のダンサーの、理性も倫理も、性欲も生死も、全てがぐちゃぐちゃにかき混ぜられていく。あちこちで事件が起き続け、一気に阿鼻叫喚の恐怖の一夜へとなだれ込んでいく。

ハイブリット女優、ソフィア・ブテラ

f:id:kappa7haruhi:20191028235318j:plainマドンナやリアーナら一流アーティストのツアーに参加するダンサーから転身、『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』『キングスマン』など映画作品に出演し、女優として花開き始めたソフィア・ブテラ。ダンサーばかり出演している本作では、彼女が演技者として作品全体をリードする存在になっている。

そんなソフィア・ブテラ演じるセルヴァが、周りと同様に飲み物に手を付け、望まぬ薬物の影響で、理性と狂乱を行き来する脳内カオスを、肉体で表現する演技は秀逸だ。意識を通さない純粋な肉体の反応と、抵抗しようともがく意識がせめぎ合う「肉体の二重人格」のよう。

生粋のダンサーから女優へと表現ツールを広げているソフィア・ブテラ。その移ろいの途中にある狭間の、今だけ可能な表現なのかもしれない。肉体表現に興味がある人は、特に必見と言えるだろう。

作品ニュース

ギャスパー・ノエ監督の直筆サイン

ギャスパー・ノエ監督の、この動画でサインしたパネルの実物がヒューマントラストシネマ渋谷で見られるようだ。

 

フェティッシュバーとコラボ企画

『CLIMAX クライマックス』をイメージしたサングリアが飲めるコラボ企画。フェティッシュバーという響きにも興味をそそられる。

 

 スタイリッシュなグッズを販売

黒が基調の本作のワンシーンなどをプリントしたTシャツや、ロゴのバッグと缶バッジ。映画に痺れたら、ぜひゲットしよう。

 

オススメしたい『CLIMAX クライマックス』

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  • さまざまなタイプのダンサーが揃う圧巻のパフォーマンス
  • 臨場感ある集団トランスは、まるで「観るドラッグ」
  • ダンサーから女優への過渡期、ソフィア・ブテラの今
  • さまざまな人生が垣間見えるそれぞれのエピソード

地獄のパーティに足を踏み込んだような体験ができる。まるでアトラクションのような映画でもある一方で、ダンサーたちのの“生き様”もしっかり感じ取れる。

『CLIMAX クライマックス』作品情報

【あらすじ】
リハーサルのため、雪が降る山奥の廃墟に集まった22人のダンサー。彼らは、知らず知らずにLSD入りのサングリアを飲み、集団ドラッグ中毒に陥る。抜け出すことも逃げ出すこともできないその空間で、狂乱とカオスの一夜の幕が開いて…。

監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演:ソフィア・ブテラ 、キディ・スマイル、ロマン・ギレルミク、スエリア・ヤクーブ、クロード・ガジャ・モール、ジゼル・パーマー、テイラー・カスル、テア・カーラ・ショット ほか
原題:CLIMAX
配給:キノフィルムズ、木下グループ
<2018年/フランス、ベルギー/スコープサイズ/97分/カラー/フランス語・英語/DCP/5.1ch/R18+>

日本語字幕:宮坂愛
音響:ケン・ヤスモト
振付:ニーナ・マクニーリー
2019年11月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開 

climax-movie.jp

 

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