東京・ミニシアター生活

主に都内のミニシアターで上映される新作映画の紹介をしています。

〔AD〕動画サイトランキング

【4/19公開】『愛がなんだ』依存・執着・こじらせ愛…いつまでも片思いの5周先回りする恋

f:id:kappa7haruhi:20190409130907j:plain
直木賞作家・角田光代による同タイトル小説を、今泉力哉監督(『サッドティー』『たまの映画』)が見事に映像化。「なんとなく始まった恋」に執着するこじらせ女子のヒロインを、岸井ゆきのがリアルかつ、愛らしく演じる。恋の相手には、旬の若手俳優・成田凌。細身の猫背体系で、モテオーラを封印しつつ、つかみどころのない魅力で役にハマった。いわゆるラブストーリーのようには想いが”交錯しない”稀有な恋愛映画だ。

2019年4月19日(金)テアトル新宿ほか全国公開

ストーカーを超える”恋するヒロイン”は純度100%!?

f:id:kappa7haruhi:20190415183711j:plain

マモルへの恋にどっぷりハマったことで、彼が生活の、人生の全てになってしまうアラサーOLのテルコ。しかし徹底的に「さりげなさを装う」態度で、マモルへの気遣いを忘れない。だからマモルの方も「彼女」として認めないながらも、テルコにあれこれかまってみせ、家にも泊める。つまりテルコはマモルの”都合のいい女”にされてしまうのだ。

「社会的に自分がダメになる恋愛」を経験したことがある人には、ぐいぐいと刺さるヒロインだろうが、それ以外の人にとってはかなりイタイ存在。そんなテルコを、人気急上昇中の女優・岸井ゆきのが、ちょっとコミカルに、愛らしく演じることで共感を誘う。

思考も行動も「大人失格」だが、テルコには、一本筋が通ったピュアな想いがあることに気づかせてくれ、観るものを作品に引き込んでいく。

唯一の親友・葉子の隣りには”都合のいい男”ナカハラが

f:id:kappa7haruhi:20190415183930j:plain
男に100%夢中になっている女には、女友だちは寄ってこないもの。なぜなら男最優先だから、約束をドタキャンされたり、話かけても上の空。友だちとして大事にしてもらえないからだ。

しかしマモルに夢中になっているテルコにも、唯一友だちと言える存在、葉子(深川麻衣)がいる。母子家庭の複雑さの中で育ったせいか、男に夢中にならない質の葉子。彼女のそばには「都合のいい男」にされてしまっている、ナカハラ(若葉竜也)という年下の男の存在が…。テルコは葉子には気を許し頼りながらも、葉子を女版マモルのようにも見ているのだ。

テルコとマモル、葉子とナカハラ。歪んだ関係のまま対峙している2つのカップルは、似ているようで微妙に違う。ゆえにテルコとナカハラは、共感しあったりお互いをやんわりディスり合ったりもする関係。この2人のコミカルなやりとりも見どころの1つだ。

理解不能の恋敵・すみれ役に江口のりこ

f:id:kappa7haruhi:20190415183808j:plain

テルコにとって、まったく相容れないタイプの恋敵が登場する。タバコを吸い、奇抜なファッションで、まわりに気遣いを一切しない年上の女性・すみれだ。4周も5周も先を読み、マモルの負担にならないよう気を使いまくるテルコとは正反対のすみれ。しかも、自分を振り回してきたマモルが、すみれに夢中で振り回されて一喜一憂しているのだ。

演じているのは、唯一無二の存在となりつつある個性派女優・江口のりこ。性格が悪いわけではないが、気の向くまま、奔放に振舞うすみれに、声や姿も含め、江口のりこは適役だ。

動かざること山の如し、というほどのテルコのマモルへの揺るぎない想い。そんなテルコにとって、このすみれが、起爆剤的な存在になっていく。すみれの登場、そしてすみれに恋心を抱くマモルの変化に触れ、テルコはやがてある決断をすることになる。

作品ニュース

ラジオ・TOKYO FMにキャスト出演中

TOKYO FMの「LOVE CONNECTION」に、メインキャストが出演中。

 
斎藤工イチオシ映画に選出

WOWWOW映画情報番組「映画工房」でMCを務める斎藤工&板谷由夏が、映画解説者・中井圭とともに劇場公開作品のトークを繰り広げるシネマトゥデイとのコラボ企画「はみだし映画工房」。ここで、斎藤工が本作をイチオシ映画に選出した。トーク動画は現在配信中。

 

オススメしたい『愛がなんだ』

f:id:kappa7haruhi:20190415184045j:plain

  • こじらせ女子を好演する岸井ゆきの魅力
  • 非モテキャラにして魅力を放つ成田凌
  • 原作を大事に味付けした今泉監督の作風
  • 「恋」「愛」「執着」「依存」の複雑さ

ヒロイン・テルコを見て「まるで自分のよう」という人にも「私はこうはならない」という人にも、恋・愛・執着・依存について考えるきっかけが、作品の中にぎっしりと詰まっている。

『愛がなんだ』作品情報

【あらすじ】
友人の結婚式二次会で知り合った、手が綺麗なだけの、猫背でひょろっとしたさえない男・マモルに恋をして、気付いたらどっぷりハマっていたOLのテルコ。しかし半年経っても彼女にはなれず、いつの間にか都合のいい女になってしまっている。マモルに呼び出され、家で手料理を振舞っても、深夜に突然追い出される始末。唯一の友人・葉子からは「そんな男やめておきな」と助言されるが、葉子は葉子で年下のカメラマン・ナカハラを都合よく使っており、そんなナカハラにテルコは自分の姿を重ねていた。マモルに振り回されるうち、会社をクビになったテルコだったが、ある日を境に、突然マモルからの連絡も途絶えてしまう。そして3ヶ月後、久しぶりに来たマモルからの連絡に、いそいそと出かけるが、マモルはすみれという年増女性を連れていて…。

監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、穂志もえか、中島歩、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ ほか
原作:角田光代「愛がなんだ」(角川文庫刊)
脚本:澤井香織、今泉力哉
配給:エレファントハウス
<2019年/日本/123分/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/デジタル>
2019年4月19日(金)テアトル新宿ほか全国公開
©2019『愛がなんだ』製作委員会

aigananda.com

〔AD〕

(本ページの情報は2019年2月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

 

〔AD〕

(本ページの情報は2020年6月のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

<