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【1/21公開】『声もなく』スリルとユーモアと哀切と…絶妙なバランスの、貧困クライムサスペンス

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闇の仕事を請け負う口のきけない青年と、両親に身代金を払ってもらえない孤独な少女の交流を描いた、韓国発のサスペンスドラマ。セリフをしゃべらない主人公テインをユ・アイン(『バーニング 劇場版』)が好演。新人監督ホン・ウィジョンとタッグを組み、スリルとブラックユーモアを行き来する、哀愁漂う傑作がここに誕生した。

2022年1月21(金)よりシネマート新宿シネマート心斎橋ほか全国順次公開

体重増量、愛嬌あるルックスと表情で口のきけない青年を好演

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口がきけないテインと足を引きずるチャンボク。このコンビを演じるのは、ユ・アインとユ・ジェミョン(『梨泰院クラス 』)。ともに実力派で人気の高い2人だが、共演は今回が初めてとか。

親子のようにも兄弟のようにも見え、障害と貧困という共通の苦労を重ねている 「気の合う仲間」という雰囲気が伝わってくる。しゃべれないが力仕事はお手の物のテインと、片足が不自由だが口が達者なチャンボク。2人の関係はお互いを補い合っているところがあるのだろうと想像させる。

今回、テインを演じたユ・アインは体重を15キロも増量。がっしりと体格良く、肉体労働をしていそうであり、かつ坊主頭にぼんやりした表情で若干愚鈍そうにも映るルックスを作り上げ、社会的弱者であるテインという人物をリアルに見せている。テインにセリフがなくてもその人柄が伝わってくるのは、脚本のうまさに加え、ユ・アインの繊細な表現によるところが大きいのだろう。

一方、チャンボク役のユ・ジェミョンは、他のメインキャストが「しゃべらない男」に「小学生」であるので登場するたび、物語を展開させるべくセリフを回して活躍する。このチャンボクが信心深いキャラクターという皮肉が、キャラクターの味わいをさらに深める。

サスペンスと哀愁、ユーモアの絶妙な加減

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貧困のために「闇の清掃員」という顔をもつテインとチャンボク。この裏稼業のシーンには、生臭さだけではなく、ブラックユーモアをふんだんに取り入れ、コミカルな雰囲気も醸し出す。さらに、誘拐された少女の世話を押し付けられたことをきっかけに、テインとチャンボクがまずい状況に巻き込まれてしまう流れも、程よい毒を盛りつつ、気持ちよく繋がれていく。

誘拐された子、チョヒが女の子であるがゆえに、金持ちだが身代金を出し渋る親、というのはファンタジーとも言い切れない。社会的に見捨てられているテインたちと疑似家族化していくチョヒ……そこには「切なさ」と「救い」が同時に存在する。諦めの視線で大人たちの行動を冷静に見つめるチョヒ。彼女を演じる子役、ムン・スンアの存在感もすごい。

リアルとエンタメ、ブラックユーモアと哀切、それぞれの間を見事に行き来しながら、子どもの人身売買や貧困ゆえに犯罪に手を染める人々など、ともすれば重く暗くなってしまう題材を、観客に温かい気持ちで見守らせる本作。俳優に恵まれたとはいえ、これがデビュー作とは、おそるべき監督(脚本も!)ホン・ウィジョンである。

派手なアクションはなくとも、スリリング

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クライムサスペンスといえば派手なアクションがつきもの。しかし本作は主人公たちの貧しさゆえか、銃撃戦やカーチェイスといった派手なアクションを観せることはない。田園風景の中、日常的で飄々としたトーンで進んでいく。

しかしその一方で、ここぞという場面では状況や設定、さらにカメラワークを駆使し、クライムサスペンスならではのスリリング感をしっかり楽しませてくれる。演出のアイデア、センスの一つひとつが素晴らしい。近年、多くの映画で描かれてきた「貧困」というテーマだが全く新鮮であり、クライムサスペンスとしても個性的な作品だ。

作品ニュース

韓国からアジアまでを圧巻、数々の賞を受賞!

オススメしたい『声もなく』

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  • ブラックユーモアを織り込みながら、貧困や犯罪を描く
  • ユ・アインとユ・ジェミョンの初共演
  • あきらめと希望を行き来する少女の表情
  • クライムサスペンスとしてのスリル

『声もなく』作品情報

 【あらすじ】
普段は鶏卵販売をしながらも、犯罪組織から命令され死体処理などの裏稼業で生計を立てる、口のきけない青年テイン(ユ・アイン)と相棒のチャンボク(ユ・ジェミョン)。ある日、犯罪組織のヨンソクからの無茶な命令で、身代金目的で誘拐された 11 歳の少女チョヒ(ムン・スンア)を1日だけ預かることになる。ところが、依頼をしたヨンソクが組織に始末されたために、テインとその妹と、行き場のないチョヒの疑似家族のような奇妙な生活が始まり……。

監督・脚本:ホン・ウィジョン
出演:ユ・アイン、ユ・ジェミョン、ムン・スンア、イ・カユン ほか

製作:キム・テワン 撮影:パク・ジョンフン 
音楽: チャン・ヒョクジン&チャン・ヨンジン 編集: ハン・ミヨン

原題:소리도없이 英題:Voice of Silence
配給:アット エンタテインメント
<2020年/韓国/韓国語/99分/ビスタサイズ/G>
2022年1月21(金)よりシネマート新宿シネマート心斎橋ほか全国順次公開

koemonaku.com

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