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【8/12公開】『キングメーカー 大統領を作った男』60〜70年代韓国、選挙の裏で展開した信頼と裏切りの人間ドラマ

韓国の第15代大統領・金大中氏には、ダーティーな凄腕参謀が存在した。実在の人物を元に選挙戦の裏側を見せるヒューマンドラマ。政治家ウンボムをソル・ギョング、参謀の男チャンデにイ・ソンギュン、監督は『名もなき野良犬の輪舞』のビョン・ソンヒョン。

どれだけ知恵を絞って成果をあげようとも“影”としかその存在を認められない男と、彼の理想であり続けた政治家のつかの間の友情とすれ違いを描く。

2022年8月12日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

理想を胸に、師と仰ぐ政治家を後押しした男

ウンボムの元になった人物が第15代大統領の金大中氏であったように、イ・ソンギュン演じる参謀チャンデにも、モデルが存在する。金大中氏の選挙参謀であった厳昌録(オムチャンノク)がその人だ。

手段を選ばず、誰も思いつかぬ方法で、師と仰ぐ政治家を当選させることから「選挙の鬼才」「狐」と呼ばれていた厳昌録。本作では彼が「影」と呼ばれているのが印象的だ。

卑怯な手段を取ろうとも、チャンデには信念がありただ真っ直ぐに目標を見つめている。そして、押し上げたい人物を浮上させるには、今ある強大な力を捻じ曲げる必要があると判断する。

そもそも恵まれた出生でないからこそ「すべての人民に平等を」求めていたチャンデは、本来、とても純粋な人だ。そんな人物像を、イ・ソンギュンは説得力をもって演じている。

信頼を集め、正義を貫く政治家

金大中氏をモデルにした人物で、名優ソル・ギョングが演じるウンボムは、当初はカネも人脈もない、野党に所属する政治家。ないないづくしの小さな存在ながら「打倒・独裁政権」を目指している。理想を胸に、誠実に熱弁をふるっても、選挙では落選続きだ。

そんなウンボムの運命の流れを変えるのは、自らを“毒にも薬にもなる”参謀として売り込んできたチャンデである。そして「1票を得るより相手の10票を減らす」という彼独自のやり方でウンボムは、初当選へと導かれる。

チャンデに感謝し友情を感じながらも、汚いやり方そのものはたしなめるし、チームメンバーが漏らすチャンデへの不満も受け止める。チャンデや事務局メンバーとの危ういバランスを保ちつつ、ウンボムの態度は一貫している。矛盾を孕みそうなこのウンボムという人物を、俳優ソル・ギョングは巧みに自分のものにして演じる。

ちなみに「5時間も話し続けた」と説明されるウンボム演説の場面では、早回しでわずか数秒のシーンになるのにもかかわらず、ソル・ギョングは演説内容のセリフをきっちりと覚えて演じたという。この役者魂を感じさせるエピソードは、プロダクションノートにて明かされている。

「光が強くなれば、影もまた濃くなる」

大胆なチャンデの手腕によって、国会議員選挙で対立候補を破り、勝利したウンボムは政界でも一目置かれるようになっていく。選挙での勝利を重ね輝きを増すウンボムを光とするなら、その裏に隠れたチャンデは影。

光が輝くほどに、影は濃くなるもの。ウンボムを疎ましく思う政治家は重要な“影”の存在に気づき、またチャンデは自分が“影”の存在であることに苦しさを覚えるようになっていく。ウンボムからも「準備が整えば」と語られ、チャンデは自分が“影”から脱する方向に向かっていると期待を高めるのだが……。

作品ニュース

作品をより深く楽しむための解説満載アフタートーク

8/13(土)シネマート新宿にて本作公開を記念し、トークイベント開催決定!
当選率 99 パーセントを約束する 敏腕選挙コンサルタントを主人公に、日本の選挙の裏側を描き話題となり、映像化もされた小説『当確師』の原作者真山仁さんと、映画評論家の松崎健夫さんによるトークイベント。詳しくはツイートのリンクから。

オススメしたい『キングメーカー 大統領を作った男』

  • 韓国第15代大統領・金大中氏とその参謀がモデル
  • 選挙の裏にあった、信頼と裏切りを描く
  • ソル・ギョング、イ・ソンギュンらの重厚な存在感
  • 繊細な心理描写のヒューマンドラマ

『パラサイト 半地下の家族』ではリッチな家族の父親役だったイ・ソンギュンが本作では「影」の存在である参謀・チャンデ役、今度は地を這うような哀切を熱演。

参考:予告編『パラサイト 半地下の家族』

『キングメーカー 大統領を作った男』作品情報

 【あらすじ】
1961年。韓国東北部で小さな薬局を営むソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、独裁政権を打倒して世の中を変えたいという思いから、野党の新民党に所属するキム・ウンボム(ソル・ギョング)に肩入れしていた。現職大統領率いる与党と比べてカネもなければ人脈もないウンボムに、ネガティブキャンペーンや手段を選ばない戦略を提案するチャンデ。理想家肌のウンボムにとって賛成できない案だったが、チャンデに興味を抱き選挙チームに迎え入れる。

チャンデの豊富なアイデアに助けられ、ウンボムは補欠選挙で初当選。さらに63年の国会議員選挙では地元・木浦(モクポ)で対立候補を破り、新進気鋭の国会議員として注目を集めていく。
しかし、手段を選ばないチャンデに党内からは常に不満・不信の声が漏れていた。さらにアメリカ外遊中のウンボムの自宅で爆破事件が発生すると、自作自演を疑われチャンデは逮捕。党内ではチャンデを切り捨てる方針が固まるなか、ウンボムは葛藤し…。

監督:ビョン・ソンヒョン(『名もなき野良犬の輪舞』)
出演:ソル・ギョング(『茲山魚譜 チャサンオボ』)、イ・ソンギュン(『パラサイト 半地下の家族』)、ユ・ジェミョン(『梨泰院クラス』)、チョ・ウジン(『SEOBOK/ソボク』) ほか

原題:킹메이커
提供:ツイン、Hulu 配給:ツイン

<2021年/韓国/123分/5.1ch/ビスタ>
字幕翻訳:小寺由香

2022年8月12日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

kingmaker-movie.com

 

 

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