戦争でさえ奪えなかったものは民族を越えた愛と、歌に込めた希望だった……ウクライナ人、ポーランド人、ユダヤ人の3家族が第2次世界大戦下、迫害の危険にさらされたながら、隣人に託すことで子どもたちを守り、託された母は子どもたちと懸命に生きようとする。
監督は、ドキュメンタリーを撮り続けてきた、ウクライナ生まれ、キーウ在住のオレシア・モルグレッツ=イサイェンコ。愛と思いやりにあふれながらも研ぎ澄まされてた戦争下の家族の物語。
2023年7月7日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
子どもたちの無邪気な友情
時は1939年。ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)にあるユダヤ人のアパートに、店子としてウクライナ人家族とポーランド人家族が同時に引っ越してくる。初対面からずっと、ウクライナ人とポーランド人の大人たちはあからさまに「折り合えない」空気を漂わせる。
互いに反発しあう大人に、ユダヤ人の家主は困惑気味。しかしそんなことを意に介さない各家の子どもたちはすぐに仲良くなり、遊ぼうとする。やがて子どもたちの思いつきをきっかけに、3家族は打ち解けていく。
歌を聴かせるウクライナ人の娘・ヤロスラワ役のポリナ・グロモヴァを始め、表現力豊かな子役3人は、観客を物語へとスムーズに誘って行く。
音楽という救い
ウクライナ家族の両親が音楽を生業にしていることもあり、3家族の交流には、いつも子どもたちの歌や音楽があった。
本作のタイトルにもなっている「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、クリスマスキャロルとして有名な楽曲。ウクライナで古くから歌い継がれている民謡に、“ウクライナのバッハ”の異名を持つ作曲家マイコラ・レオントーヴィッチュが編曲し、英語の歌詞をつけた(映画『ホーム・アローン』の劇中で歌われ広く知られるようになった)。
この歌はウクライナ語、ウクライナ文化の象徴でもあり、重要なシーンで繰り返し登場。ウクライナ人の少女・ヤロスロワの願いや祈りを込めて歌われ、その都度胸に響く。一方で、この歌により危機に陥らされることもあるのが切ない。
それでも、戦火と迫害で閉じ込められた日々に、一貫して希望と明るさを灯したのは、この楽曲を中心とした“音楽”だったことが印象深く心に残る。
戦争では誰もが死と隣り合わせに
舞台となった地、ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)では、第2次大戦開戦後、ソ連による侵攻があり、やがてナチス・ドイツによる侵攻があり……と、次々と情勢は変わって行く。こうした激しい変化の情勢の元では、どの民族であっても民間人にセーフティゾーンはない。そして今日守られていた者が、明日には立場が逆転する。戦争では、誰もが死と隣り合わせになるのだ。また、そんな状況下で、子どもたちは最も険にさらされやすい、最たる被害者である。
この地の不安定な情勢を、本作は巧みに脚本に落とし込み、手に汗握る危険な事態や恐ろしい事件が次々とつながって行く。監督がドキュメンタリー出身であるためなのか、ステレオタイプの表現はなく、細かいところまで俳優のリアルな反応や新鮮な表情が見られ、ハッとさせられるシーンが多い。
作品ニュース
公開初日から開始 感想ツイートキャンペーン
7/7(金)〜7/25(火)、感想ツイートキャンペーンに応募できる。抽選でウクライナ産ハーブをブレンドした紅茶セットが当たる。
映画『#キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』
— 映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』7/7(金) 全国公開 (@carolmovie0707) 2023年6月29日
感想投稿キャンペーン🇺🇦✨
7/7(金)からの全国公開を記念して抽選10名様にウクライナ産ハーブを使用したハーブティーを含む紅茶3種セットをプレゼント!☕
商品提供:AOBA(@fukujin403)
✍応募方法は画像をチェック#AOBAハーブティー pic.twitter.com/JHZy9XUEKu
新宿武蔵野館で入場者にプレゼント
新宿武蔵野館先着プレゼント&抽選プレゼントあり。
⋱7/7(金)より公開⋰
— 新宿武蔵野館(公式) (@musashinokan123) 2023年7月4日
『#キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』
入場者先着プレゼント&抽選プレゼントあり!
【先着プレゼント】
\7/7(金)~/
🎁ウクライナ復興応援うちわ
詳細▷https://t.co/HH7KNH7Wv1
【抽選プレゼント】
\7/7(金)・8(土)・9(日)/
詳細▷https://t.co/iiERMQyzCg pic.twitter.com/7BnFks4TuT
オススメしたい『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』
- 次々と状況が変化していくスリリングな展開
- 豊かな人間性とリアルさを感じるディテール
- 「キャロル・オブ・ザ・ベル」を通して音楽の力を感じる
- ウクライナ人、ポーランド人、ユダヤ人の歴史的関係と交流を描く
『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』作品情報
【あらすじ】
1939年1月、ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)にあるユダヤ人が住む母屋に、店子としてウクライナ人の家族とポーランド人の家族が引越してくる。
ウクライナ人の娘ヤロスラワは音楽家の両親の影響で歌が得意で、特にウクライナの民謡「シェドリック」=「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面でその歌を披露する。
第2次大戦開戦後、ソ連による侵攻、ナチス・ドイツによる侵攻、さらにソ連によって占領される。ポーランド人とユダヤ人の両親は迫害によって離され、それぞれの娘たちが残される。3人の娘たちをウクライナ人の母であり歌の先生でもあるソフィアが必至に守り通して生きていくが……。
監督:オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ
出演:ヤナ・コロリョーヴァ、アンドリー・モストレーンコ、ヨアンナ・オポズダ、ポリナ・グロモヴァ、フルィスティーナ・オレヒヴナ・ウシーツカ ほか
脚本:クセニア・ザスタフスカ 撮影:エフゲニー・キレイ
音楽:ホセイン・ミルザゴリ 美術:ブラドレン・オドゥデンコ
プロデューサー:アーテム・コリウバイエフ、タラス・ボサック、マクシム・レスチャンカ
原題:Carol of the Bells
配給: 彩プロ 後援:ウクライナ大使館
<2021/ウクライナ・ポーランド/ウクライナ語/シネマスコープ/122分>
2023年7月7日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
©︎MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020
〔AD〕
(最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)