東京・ミニシアター生活

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【11/17公開】村上虹郎主演! 中村文則の小説『銃』をノワールフィルム調に映画化

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日常とかけ離れた存在「拳銃」。偶然、それを所有することによって、満たされる感覚。その「自信のようなもの」は、やがて日常を侵食し、主人公・トオルの言動を狂わせ、運命を変えていく。ノワールフィルムのような、スタイリッシュなモノクロ映像に酔いしれることができる1作だ。
2018年11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー


何よりも強く美しい存在……”銃”

 

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引き金を引くだけで、他者も自身も、一瞬にして死へと導くことができる武器"銃"。おそろしく危険で美しい圧倒的な存在だ。めったに手にすることのできない、そんなものをもし手にしてしまったら、人は一体どうなるのだろうか。

本作でそれを叶えるのは、ほころびそうな自分を取り繕い、世間とそれなりにうまくやっていながら、密かに鬱屈していた大学生トオル。
こっそり美しい銃を所持することで満たされていたが、やがてそれは分不相応な自信をもたらすことになり、トオルの言動に現れる異常さは少しずつエスカレートしていく。

愚かではあるが、わからなくもない……そう感じながらトオルの日常を見つめているうちに、作品にどんどん引き込まれてしまう。


トオルをめぐる2人の女

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明るさの中に繊細さを隠し持つ清純なヨシカワユウコ(広瀬アリス)。そしてあっけらかんと火遊びの関係を望む通称「トースト女」(日南響子)。両極とも言える2人の女性の間に身を置き、それぞれとの関係を築こうとするトオル。

2人の間でバランスを取ろうとするが、若くまだ未熟な青年であるトオルにとって、正常な関係を結ぶに至れない2人の女の存在は、むしろ狂気へ駆り立てるきっかけになっているようだ。

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『銃』みどころ

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  •  著者自ら偏愛しているという中村文則の小説『銃』を映画化
  • 村上虹郎演じる、青きアウトロー・トオルの魅力
  • 広瀬アリス、日南響子がそれぞれ両極ともいえるタイプの女性を演じる
  • リリー・フランキー、後藤淳平、中村有志らバイプレイヤーの味わい
  • フィルムノワールのようなスタイリッシュな雰囲気

小説の著者が、自分自身を少なからず反映したであろう主人公の青年・トオル。もしかしたら、誰もが心の奥に、彼に似た鬱屈した自分の姿を見ているのではないだろうか。

出自の複雑さにより弱者であった青年が、偶然手にした銃に心酔していくという危険な状況は、観るものの暗い欲望を心地よく満たしてくれるかもしれない。

女性たちや同級生、まわりの中年男たちの言動は、意図せずに、トオルの運命を少しずつ破綻へと導く。周囲との小さなやりとりが積み重なり、潤滑油のようにトオル少しずつ狂気へ追い立てていく脚本の手際も見事だ。


作品ニュース

東京国際映画祭で上映

本作は「東京国際映画祭2018」にて先行上映された。レッドカーペットにも監督やキャストが華やかに登場、会場を沸かせた。

「日本映画スプラッシュ監督賞」受賞(武正晴監督)、「東京ジェムストーン賞」受賞(村上虹郎)※11/9追記 

"狂気を偏愛する映画たち"オールナイト上映×トークイベント

11月10日の深夜、公開に先立って本作のオールナイト上映イベントが決定した。
狂気と銃を偏愛する作品をオールナイトで一挙上映、当日は豪華ゲストを招いてのトークイベントも予定。上映作品のラインナップは以下の通り。
★『GONIN』監督・脚本:石井隆
★『トカレフ』監督・脚本:阪本順治
★『タクシードライバー』監督:マーティン・スコセッシ
お問い合わせはテアトル新宿まで。

 

オススメしたい『銃』

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主演・村上虹郎は、撮影時20歳。年齢的にも無理なくピタリとハマっていて、主人公トオルには、理想的なキャスティングと言えるだろう。鬱屈した青年の心理をたどりながら観ると、実に説得力ある作品に仕上がった。村上にとっても代表作になりえたる作品だろう。

誰もが自信をもちづらい現代だからこそ、拳銃のような危険で圧倒的な存在に惹きつけられてしまう……。自分の中になんらかの欠落を認める人ならば、本作へ共感する感情が現れるのではないだろうか。
現実を離れた世界をただよい、スリルを味わうにはもってこいの作品だろう。

『銃』作品情報

【あらすじ】
大学生の西川トオル(村上虹郎)は、雨の夜、河原で男の死体を発見。そこに放置されていた回転式拳銃(コルト ローマン)を密かにアパートへ持ち帰る。美しい銃を所有していることで、今までにない自信に満たされるようになったトオルは、合コンで出会った女(日南響子)を欲望のままに抱く一方、大学で親しげに話しかけてきたヨシカワユウコ(広瀬アリス)とはあえて時間をかけて親しくなるプラトニックな関係を築いていく。
銃の存在により「冷静さ」と「気分の高揚」を併せ持つ日々を過ごす中、トオルはアパートの隣室から聞こえてくる子どもの悲鳴に自身の子ども時代を思い出したり、近所をパトロールする警察との会話を楽しんだりしていた。しかしヨシカワユウコと会った日の帰り道、公園で猫を見かけ、誘惑されるように発砲してしまう。それからしばらくするとアパートに刑事(リリー・フランキー)がやってきて……。


監督・脚本:
武正晴(『百円の恋』)
出演:村上虹郎、広瀬アリス、日南響子、新垣里沙、岡山天音、後藤淳平(ジャルジャル)、中村有志、日向丈、片山萌美、寺十吾、サヘル・ローズ、山中秀樹、リリー・フランキー ほか
原作:中村文則「銃」(河出書房新社)

配給:KATSU-do、太秦
<2018年/日本/カラー&モノクロ/DCP/5.1ch/97分/R15+>
2018年11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

Ⓒ吉本興業

thegunmovie.official-movie.com

 

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