東京・ミニシアター生活

主に都内のミニシアターで上映される新作映画の紹介をしています。

〔AD〕

【3/1公開】『岬の兄妹』障碍、貧困、犯罪…禁断のテーマの奥から、たくましい生命力がほとばしる意欲作!

f:id:kappa7haruhi:20190222004938j:plain
貧困、障碍(しょうがい)、性、犯罪、暴力と衝撃的な要素をてんこ盛りにした話題作。「一切の妥協なし」という片山慎三監督の言葉通りではあるが、いや、むしろそれ以上…鬼のような不動の覚悟だ。どうしようもないやるせなさを、生きることへの執着に昇華するような、凄まじいエネルギッシュな衝撃作。

2019年3月1日(金)よりイオンシネマ板橋ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

障碍ゆえの貧困、貧困ゆえの犯罪…躊躇なく暗部に切り込んでいくf:id:kappa7haruhi:20190222005459j:plain

映画に禁断のテーマなど存在するのか? と思う方もいるだろうが、タブーにタブーが重なっていく本作には「えっ、大丈夫か…」と及び腰になる人も多いだろう。その上で、どんどん作品の持つ力に引き込まれ、目が離せなくなってしまう。

自閉症で社会に出たことのない妹をかかえた、片足が不自由な兄。先の見えない生活でも、懸命に働き自分なりに妹を守っている。しかしそんな兄が突然、リストラされてしまうのだ。

食べ物に困るほどの貧困に追い詰められた兄は、知らぬ間に妹が行きずりの男に体を許し、1万円を受け取っていた、つい最近の出来事を思い出す。妹はわかっているのか、いないのか「冒険にいく…」と嫌がる様子もない。「そうだな、冒険に行くか」と、兄は妹を連れて町へと出かけていくのだった。

想定内の展開から、やがて予想外の展開へ

f:id:kappa7haruhi:20190222005439j:plain
こうして、兄は妹の売春斡旋を始めるが、最初はなかなか上手くいかない。自閉症の妹は、どうやってもプロの売春婦のようには振舞えないし、お約束の「勝手に商売しやがって」というヤカラが登場。ここまでは想定内の展開と言えるだろう。

だが少しずつ兄妹のそんな生活に、偶然の選択、出会い、出来事が重なっていくことで、新たな心の変化が起こる。そこから徐々にこの作品独自の世界へと繋がっていく。多くの人が、今まで知らなかった”何か”をそこに見るだろう。

本作の撮影は約2年がかりで行われ、監督が主演キャストと撮影をしながらディスカッションし、展開を考えていったという。そんな中で、人物やストーリーがここまで生きている脚本が作り出されたのだろう。


暗さや悲惨さを凌駕する、登場人物の生存本能!

f:id:kappa7haruhi:20190222005547j:plain

本作のテーマを聞いて「暗澹たる気分になりそう」という予測のもと、劇場へ行くことを躊躇する人もいるだろう。しかし、実際に作品を観れば、受け取るものは全く想像もしていなかったものになるだろう。例えば、それは、生きる力への感動、障碍をかかえた人生への共感、生きねば! という勇気…かもしれない。おそらく、それは人それぞれだ。

この作品が規格外に素晴らしいのは、テーマに逃げがないだけでなく、”取り扱い注意”のテーマへ、繊細なリアル、ユーモア、生命力を盛り込み、観ている者を”とんでもない場所”へと連れ出してしまうことだ。

そう、これが決して自分の物語ではないと、誰が言えるのだろうか?

作品ニュース

「注目の問題作」として取材殺到

片山監督は、ポン・ジュノ監督(『母なる証明』)や山下敦弘監督(『苦役列車』)の助監督という経歴がある。そして本作が初長編監督作だというから驚きだ。2年間の制作期間で、脚本も編集も自ら手がけている。

本作を観たポン・ジュノ監督からは「君はなんてイカれた映画監督だ。(中略)それでも映画は力強く美しいんだから驚いた…」という熱いコメントが寄せられている。

本作は業界激震の問題作として、多くのメディアが片山慎三監督へのインタビューを希望したという。そんな日のツイートがこちら。

 さぬき映画祭で上映、集まる賞賛

うどん県こと香川県で開催された「さぬき映画祭」で『岬の兄妹』が2月10日に上映された。鑑賞した多くの人の感想もツイートに流れている。

また、菊地成孔、ピーター・バラカン、尾崎世界観、呉美保監督、犬童一心監督、瀬々敬久監督、池松壮亮、高良健吾らから寄せられた、熱いレビューコメントを『岬の兄妹』公式サイトで読むことができる。

  

オススメしたい『岬の兄妹』

f:id:kappa7haruhi:20190222005517j:plain

  • 俳優たちの体からほとばしる、圧倒的な生命力
  • 禁断のテーマを扱いながらも、散りばめられた抜群のユーモア
  • 悲劇の果てに見えてくる、人間賛歌の不思議
  • 追い詰められた人にも優しさやおかしみを見出す視点

この作品がこんなにも力強いものに仕上がったのは、片山監督による妥協知らずの粘りに加え、主演俳優たちの力も大きいだろう。

兄・良夫を演じる、お人好し感あふれるキャラをもちながら、エネルギッシュな松浦祐也。そして妹・真理子を、無邪気かつ艶やかに、そして障碍を持つ人のちゃっかりした面まで演じている和田光沙。

この2人の「人物像を浮き彫りにする役者力」がすさまじい。今後の日本映画に大きな力を与えるであろう、注目していきたい存在だ。

『岬の兄妹』作品情報

【あらすじ】
とある地方の港町、自閉症の妹・真理子と、兄・良夫は2人きりで賃貸ボロ屋に住んでいる。兄が仕事に行く間、監禁状態にされている真理子は、ときどきうまく家を抜け出しては放浪している。ある夜、やっと見つけ出した妹が、町の男に体を許して1万円を受け取っていたことを知り、良夫はきつくしかりつけるのだった。

足の障碍を理由に、良夫が突然リストラされてしまうと、あっという間に食べ物は尽き、電気は消えた。唯一の友人で警察官の肇くんにももはや頼れず、困り果てた末、良夫は、妹の売春斡旋で金銭を得るようになってしまう。

そんな日々の中、良夫は今まで知り得なかった、真理子の中にある本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑いを感じるのだった。そしてやがて起こる新たな展開に、良夫はまた追い詰められていく…。

監督・製作・プロデューサー・編集・脚本:片山慎三

出演:松浦祐也(『ローリング』)、和田光沙(『菊とギロチン』)、
北山雅康、中村祐太郎、岩谷健司、時任亜弓、ナガセケイ、松澤匠、芹澤興人、杉本安生、松本優夏、荒木次元、平田敬士、平岩輝海、日向峻彬、馬渕将太、保中良介、中園大雅、奥村アキラ、日方想、萱裕輔、中園さくら、春園幸宏、佐土原正紀、土田成明、谷口正浩、山本雅弘、ジャック、刈谷育子、内山知子、万徳寺あんり、市川宗二郎、橘秀樹、田口美貴、風祭ゆき(特別出演) ほか

配給:プレシディオ
<2018年/シネマスコープ/89分/5.1ch SURROUND SOUND/R15+>

2019年3月1日(金)よりイオンシネマ板橋ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

misaki-kyoudai.jp

© SHINZO KATAYAMA

〔AD〕

(本ページの情報は2019年2月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

 

〔AD〕

(本ページの情報は2019年8月のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)

<