インド最大の経済都市で2008年に起きた「ムンバイ同時多発テロ事件」。この実在の事件を元に制作された、手に汗握るサスペンス群像劇。テロリストに建物を占拠されるも、ホテルの従業員と宿泊客が力を合わせ1人でも多くの命を守ろうと脱出をはかる。圧倒的な恐怖のリアリティだけでなく、宗教・人種・民族・文化・経済面と、さまざまな隔たりがある多様な人々の、それぞれの濃厚なドラマにも、心を揺さぶられる大作。
2019年9月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
一瞬のスキを見せれば銃撃される…圧倒的な緊張感と迫力!
憎しみと使命感に燃える、まだ少年ばかりのテロリスト集団が、パキスタン海岸からボートで上陸。やがて裕福な楽天地・ムンバイの街角や飲食店をいきなり爆破する。さらに、手当たり次第に人々にライフルの銃弾を浴びせ、無差別テロを展開。
安全を提供するために、逃げ惑う人々を受け入れたのは、五つ星のタージマハル・ホテル。しかしなだれ込んできた群衆の中には、犯人のテロリストたちも混じっていた…。 まずロビーでは、従業員・宿泊客・避難してきた人々は、区別なく命を奪われる。動けば即座にライフルで射殺されてしまう恐怖。
やがてやってきた恐ろしい静寂の中、物陰に隠れてやりすごそうとする人、走って逃れる人、銃弾に倒れる人、残された人々の明暗が次々と分かれていく。この緊迫感で、みるみるスクリーンの中に引き込まれてしまう。
一瞬にして楽園から地獄へと化したVIP客だらけのホテル…レストラン担当の従業員たちは結託し、身を凍らせる客たちを引率して、集団で避難を始める。
その一方で、テロリストたちは、ルームサービスを装って客室のドアを一室ずつノックし始める。そしてドアが開いた瞬間にライフルの銃撃を浴びせる。ある一室には、泣き盛りの赤ちゃんの子守をするベビーシッターの女性もいた…。
非情なテロリストからシッターと赤ちゃんも、逃れることができるだろうか? 老人は? 1,000人の宿泊客と500人の従業員の運命は…?
常に危険と背中合わせという展開、圧倒的リアリティで、手に汗握り続ける123分なのだ。
命の尊さを信じ、正義を貫き…やがて格差を超える人々
突然テロに襲われる客たち、その主要なキャラクターは、VIPな宿泊客だけでなく、様々な立場の人が揃っている。アメリカ人の建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)、その妻は富豪の娘ザーラ(ナザニン・ボニアディ)。赤ちゃんを命がけで守ろうとするベビーシッター、金にモノを言わせる品のない実業家の男、神経質な老婦人ら。さらに、街でテロに遭遇したバックパッカーのカップルも加わる。
立場も考え方も違う面々が、パニックの中、それぞれに立ち回って運命を共にするうちに互いに関わりを持ち、さまざまな人間模様が生まれていく。宗教、人種、民族、文化、生まれ育ち、経済の格差を乗り越える登場人物たちの成長も、心に響く。
しかし、幾度となく危険に晒され恐怖と戦いながら逃げ続ける彼らは、無情にも、常に「命を落とす者」と「逃げ切る者」とに振り分けられていく。
一方でホテルの従業員は、生存する客を守り抜くため、とどまる者もいれば、すぐに立ち去る者もいた。厳格な料理長のオベロイが指揮をとり「帰っても恥ではない」と各自の運命を選ばせる。そして多くの従業員がとどまることを決意する。
臨月の妻と幼い娘の家族を愛し、仕事にも真摯に取り組む、シーク教徒の給仕・アルジュン(デヴ・パテル)も、自ら残ることを希望する。従業員たちはテロリスト弾圧の特殊部隊が到着するまで、あるいは全ての生存者を逃すまで…まさに「丸腰のまま戦う」ことに。テロリストの銃口から逃れ、避難路を確保するため、命の保証もない作戦が始まる。
過激派組織からやってきた、イスラム教徒の若きテロリスト
作品では、 非情なテロリストたちの素顔も描かれる。ロビーでの無差別襲撃の後、一仕事終えたとばかりに、若者らしい会話をかわしたり、ふざけあったり、物珍しい料理に目を惹かれたりもする少年たち。
彼らの会話の一端に「貧困」から家族を救い出したいという夢、「死後は楽園が待つ」などと刷り込まれ、脳された経緯などが見え隠れする。中でも1人の少年は、最終的に人質との対峙する中で、大いなる葛藤を苦しむことになっていく。
ちなみに、本作のモデルとなったの実在する「タージマハル・パレス・ホテル」は、事件から1カ月後には、ホテルを一部再オープンした。この美しいホテルは「テロに屈しない」という意思の象徴となっている。
作品ニュース
感想投稿で豪華プレゼントをゲット!
作品のプレスシート、オリジナルサウンドトラック他豪華商品が当たる、『ホテル・ムンバイ』の感想投稿キャンペーンが実施されている。応募期間は2019年10月31日(木)まで。公式HPの「感想投稿キャンペーン」バナーをクリック。
オススメしたい『ホテル・ムンバイ』
- 国際色と個性あふれるキャスト
- 綿密な仕掛けを巡らせたスリル
- 濃厚な人間ドラマ
- 犯人を含め様々な立場を描く
- 事実を元にした希望の物語
世界各国を代表する粒ぞろいのキャストが、存分に個性を発揮している本作。
最も活躍する従業員アルジュンに、数よりも質で確かなキャリアを築いていきたデヴ・パテル。『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)では少年だったデヴ・パテルが、本作では、説得力と愛ある人柄が滲み出る、大人の俳優になったことが実感できる。
またアメリカ人と結婚して出産したばかりの富豪の娘・ザーラを演じるのは、イランの女優、ナザニン・ボニアディ。女優業の傍ら、人権問題に向き合う国際的な活動家でもある。そんなひたむきな熱意が、本作での役作りを支えているようにも感じられる。
ジェイソン・アイザック(『アルマゲドン』『ハリー・ポッター』シリーズ)が演じる品のない実業家ワシリーは、見せる顔が次々と変わっていくのがミステリアスで面白い。また、アジア系の血を継ぐナターシャ・リュー・ボルディッゾはバックパッカーを演じる。
『ホテル・ムンバイ』作品情報
【あらすじ】
インドの巨大都市・ムンバイ。街の象徴でもある五つ星「タージマハル・ホテル」従業員のアルジュンは、愛する家族にも恵まれ、誇りを持って真摯に働いていた。
しかしある日突然、武装した過激派集団がムンバイに上陸。無差別テロを行い、街を破壊した彼らに、1,000人の宿泊客と500人の従業員がいるホテルは乗っ取られてしまう。
銃の音が鳴り響き、誰もが命の危険に晒される中、特殊部隊が到着するまで、従業員たちは力を合わせ、客を1人でも無事に逃がすための戦いを始める…。
監督:アンソニー・マラス
出演:デヴ・パテル(『スラムドッグ$ミリオネア』『チャッピー』『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』)、アーミー・ハマー(「君の名前で僕を呼んで』)、ナザニン・ボニアディ、アヌパム・カー、ジェイソン・アイザックス、ナターシャ・リュー・ボルディッゾ ほか
原題:HOTEL MUMBAI
配給:ギャガ
<2018年/オーストラリア、アメリカ、インド合作/英語/123分/カラー/シネスコ/R-15>
字幕翻訳:中沢志乃
2019年9月27日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
© 018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC
〔AD〕
(本ページの情報は2019年9月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT サイトにてご確認ください。)