東京・ミニシアター生活

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【10/9公開】『82年生まれ、キム・ジヨン』生きづらさ、閉塞感に悩む人へ心温まるメッセージ

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現代女性の生きづらさをテーマに、日本でも社会現象を巻き起こした韓国の大ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)待望の映画化。ヒロインのジヨンを演じるのはチョン・ユミ。ジヨンを優しく見守る夫デヒョン役にはコン・ユ。どちらも『新感染 ファイナル・エクスプレス』のメインキャストとして知られる実力派だ。

監督は自身も2人の子をもつ母であるキム・ドヨン。長編デビュー作ながら、観客の心をがっちりとらえる、繊細で見事な演出をみせる。

2020年10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー

全世界の女性が共感する“生きづらさ”

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男女問わず生きづらい世の中ではあるが、女性には女性に共通する、特有の生きづらさがある。

就職すれば昇進は絶望的、結婚すれば不躾な言葉で妊娠・出産を急かされる。気が利かない夫との暮らしや、難しい姑との関係へのストレス。……セクハラ事件を耳にすれば、ハッとして呼び起こされる少女時代の恐怖体験。……そういえばさらに幼い頃に遡れば、あからさまに「男の子がよかった」と母に繰り返す祖父母の言葉に、居心地の悪さを感じていた記憶も蘇ってくるような……。

世の中は確かに、昔に比べれば変わってきた。男女平等が叫ばれ、主婦という仕事への理解が広がり、男性の育児休暇も広く認識されている。出産後の女性の再就職だって普通のことだし、必要なときにはベビーシッターなんかのサービスも利用できるはず。

でも、それらは本当に機能しているだろうか? 否。世界中の女性が叫びたいはずだ「どれもこれも、絶賛発展途上!」と。現実には、男女平等もハラスメントの禁止も、あれもこれも、少なくとも自分の身の回りでは「絵に描いた餅にしか見えない」というのが実感だろう。本作はそんな「女性の生きづらさ、苦しさの詰め合わせ」みたいなエピソードに溢れた作品だ。

 作品に身を委ねた分だけ、苦しみが昇華されていく

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「ならば、どれほどつらい作品なのだろう」と不安に思うかもしれないが、むしろ逆である。これは思い切り身を委ねて共感することで、大きなカタルシスを得らえる作品でもあるのだ。

日頃から抱えていた不満はもちろん、自分の奥深くにしまいこんで蓋をして、二度と開かないつもりだった悲しみや悔しさまで、いつの間にか押し流してくれるような力を持っているとも言える。

この映画には、しんどい現実だけでなく、優しく共感してくれる女性たちも登場する。このひとときに身を委ねられた分だけ、苦しさや生きづらさが昇華され、憑き物が落ちたようにスッキリできる人もいるだろう。苦労を知る素敵な女ともだちに会いに行くような感覚に似ているかも知れない。

物語の中で、精神のバランスを危うくしているヒロイン、ジヨンはときどき他人が憑依したような状態になる。その言動は異様ではあるものの、中には心を打たれるような深い優しい言葉や心づかいも垣間見える。憑依されている間、ジヨン本人の記憶はすっぽりと向け落ちてしまうのだが、そ子には彼女を救ってきた人たちの優しさが宿っているようで、なんとも不思議な気分にさせられる。

夫婦を演じる韓国の実力派、チョン・ユミとコン・ユ

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本作の主人公の夫婦を、映画韓国の実力派、チョン・ユミとコン・ユが演じている。2人は韓国社会に一石を投じた社会派映画『トガニ 幼き瞳の告発』でも共演。

さらに2016年の大ヒットパニック映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』でも共演。こちらは完全フィクションの作品だが、恐怖と共に大きな感動を呼んだ。虚も実も問わず、繊細でリアルな表現をみせてくれる俳優たちだ。

さらに脇を個性派、実力派キャストが固めた。多種多様のリアルなキャラクターによって、丁寧に編み上げたられたような、隙のない作りに惹きつけられる。本作は、繊細かつ芯の強い作品として多くの人の心に響くだろう。

作品ニュース

キャスト・監督からのメッセージ

この度、チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ドヨン監督が本作に込めた想いを明かす特別映像が公開中。「今の時代を生きる大勢の“ジヨン”の物語」と語る熱いメッセージが受け取れる。

youtu.be

「これは私の物語」ハッシュタグの賛同続々

この作品には女性からの共感、男性からは「家族や友人の姿が重なる」といった多くの賛同の声が集まっている。「#これは私の物語」のハッシュタグ通り、作品を身近に感じるというコメントが、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』の公式アカウントから投稿されている。

 

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』観どころ

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  • 女性の生きづらさがテーマのベストセラー小説が原作
  • 原作に沿いつつ、オリジナリティ溢れる脚本に
  • リアルで繊細な演出に心を掴まれる
  • 個性や華を備えた実力派俳優の集結

話題の原作を、テーマをしっかり見据えながらブラッシュアップしたような作品。最後には希望が見えてくる、苦しさからの見事な“昇華”を味わえる。

ジヨンを演じるチョン・ユミは美しいが庶民性も兼ね備え、その表現は繊細でリアル。違和感なく多くの女性が自分を投影できるだろう。

若い女性の生きづらさを描いた韓国映画『はちどり』(キム・ボラ監督、2020年6月に日本公開)に共感した人には特に、併せて見て欲しい作品でもある。

『82年生まれ、キム・ジヨン』作品情報

【あらすじ】
結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。そんな彼女を夫のデヒョンは心配するが、本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻には受け止めない。

しかしデヒョンの悩みは深刻だった。妻は、最近まるで他人が乗り移ったような言動をとるのだ。ある日 は自身の母親になってデヒョンの母に文句を言い、ある日はすでに亡くなっているデヒョンと共通の友人になりアドバイスをする。

その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻を傷つけるのが怖くて、デヒョンは真実を告げられず、ひとり精神科医に相談に行くが……。

監督:キム・ドヨン
出演:チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョン、コン・ミンジョン、キム・ソンチョル、イ・オル、イ・ボンリョン ほか
原題:82년생 김지영
配給:クロックワークス
<2019年/韓国/118分/アメリカンビスタ/DCP/5.1ch>
2020年10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー

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