南仏のアパルトマンを舞台に、第二の人生をスタートさせることを夢見た2人に突如襲いかかる病という悲劇。そして物語は思わぬ方向へと転がっていく。女性同士の長年の恋愛の行方を、サスペンスフルに描く注目作。監督は本作で長編デビューを飾るのは、イタリア生まれのフィリッポ・メネゲッティ。主演はアメリカとヨーロッパを股にかけ、カンヌ国際映画祭・女優賞も受賞しているバルバラ・スコヴァと、フランスの名門国立劇場の団員でもあるマルティーヌ・シュヴァリエ。
2022年4/8(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
高齢者レズビアンカップルの悲恋は思わぬ展開へ…
長年、女性同士の恋人という関係を隠してきたニナとマドレーヌ。2人はアパルトマンの向かいの部屋に住んで、互いの部屋を行き来して暮らしている。マドレーヌの夫は先立ち、子どもたちはすでに独立。時も熟したとばかりに、2人はアパルトマンを売り払い、ローマに移住する計画を実行に移そうとしていた。
気性の激しいニナは、家族になかなかカミングアウトできずにいるマドレーヌに苛立ちの言葉をぶつけるが、その直後、マドレーヌが大病の発作に倒れてしまう。幸せを夢見た2人は、マドレーヌを世話する介護士や娘に阻まれて、今までの当たり前だった日常まで失うことに……。
観ている者は「高齢者同士の恋だし、こうなっては風前の灯だろうな」とシットリ哀しい雰囲気へとなだれ込むのだと考えそうになる。ところがニナは、マドレーヌとの幸せな日々を取り戻そうと、あの手この手で果敢に障壁に挑んでいく。困難を乗り越えようとするパワフルな姿は、高齢の女性たちという設定を吹き飛ばさんばかりに激しい。やがてニナのエキセントリックさが、本作を思わぬ方向へと導いていく。
美しい映像 音楽・音響の効果
本作は映像の美しさにも目を惹かれる。ドアの覗き穴視線のカメラワークはスリラー感を盛り上げるし、アパルトマンの窓から射す日差しのや照明の色合いが豊かで、登場人物たちの心情を反映しているかのようだ。また、少女とカラスが公園にいる、不穏で美しい映像が何度か挿入されているのも印象的だ。
音響では、公園に響くカラスの鳴き声や、プライパンの上で肉が焦げ付く音、ドライヤーの騒音など、不穏な音が目立つように聞こえてくるのも、心理的に揺さぶられる。
一方で、甘さを醸し出す60年代ポップス「I will Follow Him」のイタリア語カバー曲が、ふたりの思い出の歌として幾度か流れるのも心に残る。2人がかつて過ごしたロマンチックな青春の日々の象徴なのだろう。懐かしく聞き覚えのある名曲ポップスが流れることで、60年代という時代を観客にもリアルにイメージさせてくれる。
作品ニュース
シネスイッチ銀座、金曜日レディースデー950円
上映館スネスイッチ銀座は金曜日がレディースデー。初日の上映をお得に見られますね。
🚪いよいよ明日4/8(金)より公開!🚪#シネスイッチ銀座 では金曜レディースデー950円でご鑑賞いただけます!
— 映画『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』| 4.8(金)公開 (@deuxmovie) 2022年4月7日
4/8(金)〜4/14(木)
10:10/14:20/16:25/18:30
オンライン予約は↓https://t.co/PTRU9HJxga#ふたつの部屋ふたりの暮らしpic.twitter.com/aqV1QtgZ5x
オススメしたい『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』
- 高齢者の型にはまらないニナとマドレーヌのキャラ
- スリラーサスペンスのような意外な展開
- 心に残る映像や楽曲の挿入
- 心理的に不安を煽るような音響や照明の効果
『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』作品情報
【あらすじ】
南仏モンペリエを見渡すアパルトマン最上階、向かい合う互いの部屋を行き来して暮らす隣人同士のニナとマドレーヌは、実は長年密かに愛し合ってきた恋人同士。マドレーヌは不幸な結婚の末に夫が先立ち、子供たちもいまは独立、家族との思い出の品や美しいインテリアに囲まれながら心地よく静かな引退生活を送っている。2人の望みはアパルトマンを売ったお金で共にローマに移住すること。だが子供たちに真実を伝えられないまま、時間だけが過ぎていく。そして突如マドレーヌに訪れた悲劇により、2人はやがて家族や周囲を巻き込んで、究極の選択を迫られることに……。
【予告編】
監督:フィリッポ・メネゲッティ
出演:バルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、レア・ドリュッケール、ミュリエル・ベナゼラフ、ジェローム・ヴァレンフラン ほか
脚本:フィリッポ・メネゲッティ、マリソン・ボヴォラスミ
共同脚本:フロランス・ヴィニョン
原題:Deux
字幕:齋藤敦子
配給:ミモザフィルムズ
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、在日ルクセンブルク大公国大使館、ベルギー大使館
<2019年/フランス語/フランス・ルクセンブルク・ベルギー合作/95分/カラー/2.39:1/5.1ch/G>
2022年4/8(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
© PAPRIKA FILMS / TARANTULA / ARTÉMIS PRODUCTIONS - 2019
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