東京・ミニシアター生活

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【10/11公開】『ボーダー 二つの世界』北欧ミステリー! 醜い容姿に悩む女性に与えられた天賦の才能と出生の謎

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カンヌ国際映画祭をはじめ、世界で高い評価を受けている北欧ミステリー作品。イラン系デンマーク人の新鋭アリ・アッバシ監督と「スウェーデンのスティーブン・キング」と称されるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(『ぼくのエリ 200歳の少女』原作)が共に原作・脚本を担当。醜い容姿に悩む女性が自らの出生の秘密に迫りつつ葛藤する、ジャンル映画を超えたストーリーが展開する。

2019年10月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

特殊メイクの奥で演じられるティーナの豊かな情感

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本作のヒロインは、ティーナという女性。嗅覚の特別な能力を生かして税関で働いている。違反物を持ち込んでいる人間を嗅ぎ当てられるのだ。

また、周りとの関係や環境の中でなんとなく年齢も察することはできるが、詳細不明。しかし、おそらく過去も現在も未来も、あまり関係ないような暮らしぶりであることがうかがえる。

ティーナは見捨てられた人ではない。孤独ではあるが優しい性格で、誇りを持って生きており、それに値する環境にも恵まれている。職場で信頼され仕事に打ち込んでいるし、森の中に、かなりの広さの家もある。近所づきあいもあって、近しい人との関係は良好だ。

しかし、ティーナは、決して満たされることはない。容姿のみならず、人とは相容れない面がいろいろあって、幼い頃から孤独を感じていたと語る。

醜い容姿に悩んでいるティーナの顔面は、特殊メイクによるもの。見事な仕上がりだが、厚いマスクは、リアルな範囲で、やや無表情な部類の人に見える。しかしティーナを演じるエヴァ・メランデルは、表情の微妙な変化や仕草で、その心理や状況を伝える。むしろ、豊かな内面が際立つようだ。 

ティーナの運命の鍵を握る旅行者ヴォーレとの出会い

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近隣の夫婦には赤ちゃんが生まれる予定があるというのに、日々旅行者たちを見送るばかりのティーナには代わり映えのない日々が続いていた。幼児愛好家らしき男を摘発しても、それ以上踏み込めず、その悪事の根源を断つことすらできない。

しかし、ある日怪しい旅行者ヴォーレが税関を通ったときから、ティーナの運命が動き始める。何か違和感を感じ(ティーナの嗅覚は、見えない部分にも働く)ヴォーレを取り調べるも、荷物から出てきた怪しげな機器は、昆虫を研究するための道具だという。違反物を発見できず、戸惑うティーナ。

不可思議な言動が目立つヴォーレに、いつの間にか興味を覚えたティーナは、同居人の反対を押し切って、ヴォーレを自宅に招き、離れの部屋を貸し出すことにする。そして、この出会いがきっかけで、ティーナは突然、自分の出生の秘密に近づいていくことに…。

ヴォーレは危険で不気味だが、一方で親しげで優しいという両面を見せる複雑な人物だ。ティーナ同様、恵まれた容姿ではないにも関わらず、ティーナだけでなく観客をも惹きつける、奇妙な魅力を放つ。一カ所に落ち着くのが性に合わないような、旅人たる雰囲気も醸し出しているのは、繊細なプランがあってのことだろう。

演じているのは、エーロ・ミロノフ。日本ではまだ馴染みがない俳優だが、フィンランドでは数々の映画に出演している実力派だ。

北欧ならではの美とダーク感

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主人公ティーナの住む家は森の中にあり、木々の鬱蒼と茂った森でのシーンも多く登場する。広い湖、年輪を重ねているであろう樹木、そしてさまざまな動物たちも姿を見せる。本作では、そんな北欧の森の自然が、たっぷり堪能できる。

北欧独特の、少し曇った空と深く暗い森は神秘的で美しくもあり、恐ろしくもある。ティーナの日常がある場所だから当然ではあるのだが、この森の中で、ティーナにはいろんなことに遭遇し、体験することになる。

ヴォーレとの出会いがきっかけとなり、自分の出生の謎に近づいていくティーナ。やがて、ティーナは、タイトル通り“二つの世界”の境界に佇むことになっていく。

原作本も話題に

ボーダー 二つの世界』早川書房より発売中。鑑賞後に読むのがおすすめ。

 オススメしたい『ボーダー 二つの世界』

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  • ヒロイン・ティーナの葛藤の深さ
  • 旅人・ヴォーレの大胆で繊細な役作り
  • 北欧ならではのダークで美しい世界観
  • 伏線が巡らされた独自性の高いミステリー
  • 驚くべき特殊メイクの技術

北欧の美しさと、様々な技術力結集した作品。しかし詳しいストーリーや仕掛けについては、多くはお伝えできない「ぜひ劇場へ」というしかない作品だ。

『ボーダー 二つの世界』作品情報

【あらすじ】
スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分けるという特殊能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。
ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、証拠は出ず入国審査をパスする。ヴォーレに本能的に何かを感じたティーナは、彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にヴォーレに惹かれていくティーナだったが、ヴォーレにはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった…。

監督・脚本:アリ・アッバシ
原作・脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(『ぼくのエリ 200歳の少女』)

出演:エヴァ・メランデル、エーロ・ミロノフ、ヨルゲン・トーション、
アン・ペトレーン、ステーン・ユンググレーン、ケル・ヴィルヘルムスン、
ラーケル・ヴァルムレンデル、アンドレーアス・クンドレル、
マッティ・ボーステッド ほか

音楽:マーティン・ディルコフ
原題:
Gräns 英題:Border
配給:キノフィルムズ
<2018年/スウェーデン・デンマーク/スウェーデン語/110分/シネスコ/DCP/カラー/5.1ch/R18+>
字幕翻訳:加藤リツ子 字幕監修:小林紗季
原作:『ボーダー 二つの世界』早川書房より発売中

ボーダー 二つの世界 (ハヤカワ文庫NV) [ ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト ]

価格:1,408円
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2019年10月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

<INTRODUCTION>
第71回カンヌ国際映画祭 ある視点部門グランプリ受賞
第91回アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞ノミネート
第54回スウェーデン・アカデミー賞 最多6部門受賞 作品賞、主演女優賞、助演男優賞 ほか

border-movie.jp

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